03.わたしはだぁれ?
「少しばかり、酷な判断だったのではないでしょうか?」
「女子どもだからと言って、甘く見るつもりはない」
「ですがクイーン」
「そもそもだ、何故あんなのを拾った?」
言葉を途中で遮るようにして、クイーンが鋭く問い詰めるように口を挟んだ。
その顔には明らかに不機嫌と書いてある。
「なんとなく、でしょうか?」
「お前がチェシャ猫のようなことを言い出すとはな」
「ふふっ、ですが気になったというのも本音です」
くすりと、口元に手をあてて笑った帽子屋にクイーンは軽く眉をひそめた。
「ヤマネからの報告は聞いておりますでしょう?」
「あぁ。なんでも、気がつけば空から落ちてきたとのことだろう? 馬鹿馬鹿しい」
「ですが事実です。ヤマネだけでなく、チェシャ猫も、私もこの目でしかと見ましたから」
無言でキセルに火を点したクイーンは、それを一瞥し、深く吸った煙を吐き出した。
帽子屋が嫌そうに軽く手を振るう。バタンと、触れたわけでもないのに丸窓が開いた。
「転移魔法に失敗したとか、飛行機とやらから墜落した、そんなところだろう?」
「貴方もご存知の通り、この辺りで大きな魔法が動いた気配はありません。また、この海域は磁場の影響が大きいがために飛行機は飛ばないとのこと。ご存知でしたでしょう?」
「……何が言いたい」
煙が二人の間に漂う。
外から聞こえる波の音しか聞こえない。
互いの碧い瞳がぶつかる。
片や鋭く、片や冷たく。
「彼女は指輪をお持ちでした」
「……指輪、だと?」
「ただの指輪ではないようです。じっくりとは見れませんでしたが、時計を持ったウサギと髪の長い少女が彫られていました」
クイーンの切れ長の目が、鋭く細められた。
「それだけか?」
「さぁ? 詳しくは分かりません。ここにくるまでも、大事に持っていましたから」
「……もしかしたら、と言う可能性がある、か」
「かもしれません」
ふぅ、と煙を吐き出したクイーンは静かに瞳を伏せた。
脳裏に思い浮かべるのは、先ほどの少女。
始終意味がわからないことばかり言っていた、奇妙な娘。長い黒髪に、戸惑いの色ばかり浮かべていた黒い瞳。
花の盛りであろう年頃の娘の格好にしては、少々変わった服を着ていたが、そんなことはどうでもいい。
空から落ちていた、と言い、ここはどこ? と繰り返していた。
可能性の一つとして、考えるくらいはいいかもしれない。
すっと、クイーンは視線を上げた。
「マッド」
「なんなりと」
「娘をここへ」
「我らがクイーンの御心のままに」
深く、美しく。
優雅と言う言葉がふさわしい一礼をして、帽子屋は船室を後にした。
クイーンの所要した娘を迎えに行くために。
* * * * *
つんと、潮の香りが深く鼻をくすぐる。
空は抜けるように青いし、海は絶え間なくキラキラと光って、船が進むときにあがる水しぶきが冷たくて、のびのびと身体をのばしてお昼寝でもしたら絶対気持ちよさそうだと思う。
……思うだけだけど。
「うぅ―…」
「まだ辛い?」
「うぁ―…」
船縁に寄りかかって、だらんと腕を伸ばして頭を壁に押し付けてるわたしは、絶賛船酔い中だった。
意識を失っていたのはほんの少しの間だけだったみたいだけど、その少しの間に外に連れ出されていた。
まさか船酔いで、目を開けなくてもくらくらするなんて思わなかったけど。
どうしよう、物凄く気持ち悪い。
頭がくらくらとするし、胃から何かが逆流してきそうだ。
揺れない陸が、とっても恋しい。
「おい、ネズミ。水、早く持ってこい」
「猫に命令される筋合いはないんですけど」
「ごめ……うぁ―…」
「あぁ、無理しないでいいから。飲める?」
大きく船が揺れると、くわぁんと頭が回る。
ダメだ、気持ち悪い以外の言葉が出てこない。
差し出された水を素直に飲むと、胃が騒ぎ始める。
吐き出せば少しは楽になれるのかもしれないけど、それは絶対嫌だった。
女の子としての何かが拒否していた。
「酷い船酔い。船乗ったこととかないの?」
小さく頷く。
「でも、これ相当穏やかな方なんだよね。相当繊細なわけ?」
「……」
ノーコメントで。
繊細かどうかは、きっと繊細なんかじゃない方に分類されるんだろうけど。
でも、この船乗る前わたし穴って言うか空から落ちるって言う、二度と体験したくない経験をしたのですが。
「マッド呼んでこようか? 少しは楽になるはずだよ」
「余計なことすんな、ネズミ」
「薄情な猫に言われたくないですね」
「何その態度の変化? 食うぞ」
「だ、から! 人肉はオススメできません」
「……ひ、響く響く…」
「ご、ごめん」
大きな声は今本当に止めてほしい。
なったことないけど、二日酔いの気分。
「ま、いいけど。ほら、とっとと仕事に戻れネズミ」
「仕事してない猫に言われたくないですね」
「現在進行形で超仕事中。とっとと行け」
水を持ってきてくれた……えっと、ネズミくん? を追い払うように、しっしっと手を振るう。
あ、ありがとう言ってない。
待ってと言おうとしたけど、再び襲ってきた吐き気にうずくまる。
「さっきの場所よりは全然いいはずだけど?」
「うー」
「それって肯定?」
ゆっくりと頷く。
さっきの牢屋みたいな場所、って言うか間違いなく牢屋なんだろうけど、そこに比べたら全然いい。
空気新鮮だし、いざとなったら海に向かって出せるし。
「そ。なら良かった、勝手に出したら本当はいけないんだけど。緊急時だし」
「うぁ?」
「何不思議そうな顔してんの? 当然でしょ、船長命令は絶対なわけなんだし」
でも、あそこで戻されるよりはマシじゃない?
そうニヤニヤと笑いながら言われたけど、そしたら、この人怒られるんじゃないの?
かと言って、あの場所まで戻れるような気分じゃないけど。
「いないと思ったら、こんなところにいたんですね」
「何、帽子屋。只今取り込み中って言うか仕事中なんだけど?」
「絶対の命令をあっさりと放棄するような、貴方にその言葉を言われたくはないのですが」
苦笑しながらそう言う自称イカレ帽子屋さんは、わたしの側にそっと膝をついた。
なんですか、と聞こうとした瞬間、ぐらりと船が揺れた。
くわんと、目が回る。
また胃から何かがせり上がってこようとしていて、ダメだ気持ち悪い。
「うぁ―…」
「だ、いじょうぶですか?」
慌てたように背中をさすってくれる。
けど、すみません逆効果です! 出る出る!!
「相当酷い船酔いみたいなんだよね」
「船酔い、ですか」
なんだか物凄く申し訳なくなる。船酔いしているわたしが情けない。
こればっかしはどうしようもないんだけど、ね。
「ちょっと動かないでくださいね」
そっと、額に手を置かれる。
くらくらする頭と視界に、眉をしかめて耐えた。
少し間を置いてから、自称イカレ帽子屋さんの手から何か暖かいものが伝わってくる。
それが妙に心地良くて、そっと目を閉じた。
「……いかがですか?」
「へっ?」
「ご気分の方は、先程よりはマシになったのではないかと」
「あ」
ぱちりと、目を開ける。
船は尚も揺れているけど、気持ち悪さも、眩暈も、全部嘘のように消えた。
全然、大丈夫。
なんだろうこれ。魔法とか?
「あ、ありがとうございます」
「お役に立てれば、光栄ですよ」
にっこりと笑った笑顔が眩しいです!
現実離れしたこの人は、無駄にキラキラして見えるのですがどうすればいいの!? とテンパってしまうくらい。
「さて、お迎えにあがりました。少しは冷静になれましたか?」
「頭冷やしたかって。牢屋にぶちこんでおいてそれってないんじゃない?」
そ、それもそうだ。
なんて、今更なんだけどこれ海賊船なんだよね。
ファンタジーは、そんなに詳しいわけじゃないけど、たぶん、大丈夫だと思う。
少なくとも、自分が置かれた状況くらいは分かった。
ありえない、はもう言わない。
「大丈夫です」
「では、お手をどうぞ。お嬢さん」
差し出された右手。
左手を重ねろってことなんだろうけど、船酔いしても、意識を手放しても離さなかった指輪がここにはある。
少し迷った後、そっと胸ポケットに指輪をしまった。
手を重ねようとして、ふと止まった。
「あの、チェシャ猫さん」
「猫に敬称付けはいらない。ただのチェシャ猫」
むっとしたように、眉をひそめられた。
「えっと、じゃあ、チェシャ猫」
「何?」
「ありがとう」
きょとんとしたチェシャ猫は、一体何のこと? とでも言いたそうに首を傾げた。
いやいや、牢屋に入れられたときとか、船酔いに苦しんでたときとか、すっごいお世話になったから。
本当はネズミくん? にもお礼を言いたかったんだけど、なんだか仲が悪そうだったから、言付けは頼まなかった。
「意味が分からないんだけど?」
「えっと、色々?」
「とりあえず、どういたしまして、とでも言っておけばいい?」
最後まで不思議そうにしていたチェシャ猫に苦笑して、わたしは自称イカレ帽子屋さんの手をとった。
再びあの暗い船内の長い廊下を真っ直ぐに進む。
あんなに恐いと思っていた船内も、落ち着いた二回目ともなればそうでもないかも。
ちゃんと見てみれば、白い壁にはちゃんと灯りが灯っているし、所々高級さを醸し出す装丁がされていた。
海賊船っていうよりは、もう少し明るければ豪華客船って言ってもいいんじゃないかなとか思える。
「珍しいですか?」
「あ、はい。じゃない、いいえ!」
「いえ、正直に仰ってくださって構いませんよ」
きょろきょろとしていたわたしは、慌てて返した言葉に赤面した。
何言ってんだろ、って自分でも思う。
「えっと、豪華客船みたいだなぁと」
「海賊船には見えませんか?」
「船内だけだったら、見えないです」
さすがに、海賊旗みたからなんとも言えないけれど。
そうぽつりと付け足した言葉が聞こえたのか聞こえなかったのか分からないけど、自称イカレ帽子屋さんがくすくすと笑っていた。
「それは、光栄な感想です」
豪華客船みたいと言われて光栄だって言ったのか、わたしの呟きに対して言ったのかは分からない。
この人は何を考えているんだろうって、思った。
こちらですよ、とさっきは見えなかった扉の前で足を止めた。
「クイーン、私です。お連れいたしました」
軽くノックをして、ちらりと私のほうを見た。
さっきとは違うけど、それでもどこか探るような視線。
さりげなく、胸ポケットを押さえた。
「入れ」
「失礼致します。さぁ、どうぞ」
キィと、音を立てて開いた扉を押さえた自称イカレ帽子屋さんは、やっぱりわたしに先に入るよう促してくる。
すっと息を吸って、できるだけ真っ直ぐ前を見て、わたしはゆっくり船室へと足を踏み入れた。
さっきと全く変わらない部屋。
同じ場所で、クイーンは煙管を片手に煙を吐き出していた。
「……面構えが変わったな」
「少しは、落ち着いたので。さっきは、取り乱したりしてすみませんでした」
「……構わない」
カタンと、煙管を灰皿みたいな場所に置いて、真っ直ぐ射抜くような視線を向けてくる。
びくりとすくみあがるような視線だけど、向けられた視線を真っ直ぐに受け止めた。
……ん?
「あれ?」
じっと見ていて、ふと思った。
扉を閉めていた自称イカレ帽子屋さんを見る。
それから、ゆっくりクイーンさんを見る。
また、自称イカレ帽子屋さんを見る。
……そっくり?
「あぁ、兄弟なんです。私とクイーンは」
「兄弟ですか!?」
「それがどうした?」
「いや、妙に似ているなって思っていたので、ちょっとビックリしました」
何が言いたいのか汲み取ってくれた自称イカレ帽子屋さんは、優しく微笑んでいる。
対照的に、眉間に皺を寄せたままのクイーンさんは不機嫌そうだ。
それでも、髪の長さと歳による顔の造形の変化を除けばそっくり。
自称イカレ帽子屋さんの髪を短くした三十代予想図がクイーンさんで、クイーンさんの髪を長くして若返らせたら自称イカレ帽子屋さん。
雰囲気はやっぱり違うけど、それくらいそっくりだった。
「そんなことはどうでもいい。話を戻すぞ」
「す、みません」
イライラとしたように頬杖をついたクイーンさんは、ちょっと恐かった。
「それで、お前はどこから来た?」
さっきと、同じ質問。
胸ポケットにある指輪の存在を確認しながら、わたしはゆっくりと答えた。
「わたしは、別の世界から来たようです」
片眉をぴんとはねて、切れ長の瞳をさらに細くしながらクイーンさんはどういうことだ?と低い声で問いかけてきた。
わたしもよく分かってないから、うまく説明できる自信なんか無いけど。
それでも、言った。
「確証はないですけど、頭おかしいんじゃないかと思われるかもしれないですけど、さっき見せてもらった地図はわたしが知っている地図とは違います」
「別の地図だと言うことか?」
「はい、いや、たぶん違う……かもしれません。だって、見たことない地形をしているんです」
日本どころか、ユーラシア大陸とかアメリカ大陸とか、そんなものですらなかった。
自分を納得させるためにも、ゆっくりと。
理論的じゃなくてもいいから、違うと思ったことを全部言おう。
そう思った。
「それから、わたしがいた場所に海賊なんかいません。海賊は、昔いたか、他の国にいるのかもしれないとしか、聞いたことないです」
「……続けろ」
「あとは、こんなに流暢に会話なんか普通はできないはず、です」
自称イカレ帽子屋さんもクイーンさんも、外人さんっぽいのに普通に日本語が通じるんだもん。
ひたすら勉強したって言ったらそこまでだけど、これこそファンタジーだって言える原因の一つなんじゃないかなって、思う。
「それは、どういう意味ですか?」
「えっと、わたしはわたしの母国語、日本語を話しているつもりなんです。お二人とも、日本語、知らないですよね?」
「何を言っているのか、分かりません。私もあなたも、共通言語を話しているだけでしょう?」
「共通言語って、何ですか?」
英語みたいなものなのかな?
広く知られている、通じる可能性が高い言葉みたいな。
聞き返したわたしに、自称イカレ帽子屋さんは絶句したようで唖然としている。
そんなおかしいこと言ったつもりは……言ったみたいです、スミマセン。
異世界甘く見てました。
「あの……」
「馬鹿にしているのか?」
「だから、頭おかしいんじゃないかって思われるかもって、前置きしたじゃないですか」
「あぁ、今の内容だけだと、ただのイカレた女で終わりだろうな」
だが、違うのだろう?
と、そう聞かれたような気がした。
ぎゅっと指輪を握るように、胸ポケットを押さえた。
「お前はどうして空を落ちていた?」
「今までの話、信じているんですか?」
「答えはノーだ。だが、お前が落ちていたと言うのは事実らしい」
それは……それが一番言いにくいんだけど。
「……穴に」
「穴?」
ぴくり、と。
クイーンさんが肩を震わせた。
「大きな桜の木の、根元にあった大きな穴に、落ちて……それから」
がたんと、クイーンさんが乱暴に立ち上がった。
な、何?
「な、んですか?」
「何をっ」
「っ!?」
びっくりして一歩後ずさったら、がしっと自称イカレ帽子屋さんに肩をつかまれた。
さっきまでの優雅さとか、フェミニスト精神とか、そんなのが全部ふっとんだくらい。
恐いって、思った。
碧眼の瞳が、恐かった。
「何を、追いかけたのですか?」
「何って……」
どうして追いかけたって分かるの?
クイーンさんに助けを求めようとしたけど、それも無意味だった。
クイーンさんも、同じ目で、同じ色でわたしを見ていた。
「ゆ、びわ……」
「ゆび、わ? ウサギではなくて?」
一体何を言っているんだろう。
どうしてわたしがウサギを追いかけなくちゃいけないの?
これじゃあまるで……
「アリスだと、思ったの……?」
「!?」
「時計ウサギを、追いかけたと、そう、思ったの……?」
「あ、なたは……っ」
目を丸くして、わたしを凝視した。
碧い瞳にハの字に眉を下げたわたしが映っているのが見える。
こんなに近くに居るのに、わたしは振り払うことすらできない。
ぎゅっと、肩を強くつかまれて痛さに顔をしかめた。
「貴女は、何者なんです?」
それはわたしの言葉だ。
わたしは、一体誰?
どうしてここにいるの?
「……マッド。離せ」
「……しかし」
「離してやれ。聞こえなかったか?」
「……申し訳ありません」
強張った指をぎこちなくわたしの肩から外した。
痛い。
肩が軋むように、痛い。
制服の上からそっと肩を撫でた。
「……おい、女」
低い声に呼ばれて、そっと顔を上げる。
疲れたように椅子に座り込んだクイーンさんが大きくため息をつく。
「……来い」
少し悩んだ後、ゆっくりとクイーンさんの下へ近付いた。
大きな執務机越しに止まる。
「指輪を追った、と言ったな」
こくりと、頷く。
「……見せてみろ」
「……見るだけですよね?」
「……分かった、奪ったりしない。かのルイス・キャロルに誓おう」
軽く両手を挙げて、変な誓われ方をされた。
大切に大切にしていた指輪を胸ポケットから取り出して、軽く指にはめるようにして目の前に掲げた。
不思議の国のアリスをモチーフにした、不思議な不思議な指輪。
くいいるように指輪を凝視していたクイーンは、逆側もだ、と一周を見せるよう促してくる。
「アリス、チェシャ猫、帽子屋、三月ウサギ、ヤマネ、ハートの女王、時計ウサギで一周、か」
「不思議の国のアリスをモチーフにされた指輪みたいなんです」
「どこで見つけた?」
何か考え込むようにしていたクイーンは、尚も指輪を見たままそう言った。
「……たまたま開いてた、シルバーアクセの露店で」
「何故、そんなところに……」
「でも、これ。まだお金支払ってないので」
「その必要はない」
「は?」
何を言っているんだろうこの人は。
どこの世界も、代価を支払わないと品物が手に入らない仕組みは同じなんじゃないかな。
海賊の船長だから、そんなことは関係ないとでもいいたいの?
「……それは盗難品だ」
「はぁっ!?」
言ってる意味が分からないのですが!?
だって、それはわたしがもといた世界にあったもので、それを盗難品だとか、こっちの世界の人が言えるべきことじゃないんじゃないの?
混乱したわたしをよそに、クイーンは唖然とした様子の自称イカレ帽子屋さんに声をかけた。
「マッド」
「っ、はい」
「六時のお茶会の準備だ」
「かしこまりました」
どういうこと?
目を丸くして、この状況についていけないわたしに、クイーンは綺麗な弧を口元に浮かべた。
「歓迎しよう、未来の【主人公】
【不思議の国】号へようこそ」




