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Backstreet Tokyo  作者: 夏実
season2

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第一話 プロローグ

 眠らない街「東京」。そこで何でも屋を開いている双子の兄弟がいた。彼らは生まれながら異能を持ち、その異能の力で依頼の仕事を片付けていた。

 兄の「水瀬翔」と弟の「水瀬涼」は、都内で事務所兼自宅を構え、そこで何でも屋を開いていた。仕事の内容は文字通り「何でも」で、家事代行や庭仕事、人探しなど探偵じみた仕事まである。二人は、そんな仕事の数々をこなしながら、日々生活していた。

 これは、そんな彼らが遭遇する新たな出来事の話である。


「翔、起きてください。また酒飲んだんですか? ここのところ毎日ですよ?」

 ある日の朝、いつも通り涼が翔を起こしていた。翔のベッドの周りには酒の缶や瓶が転がっている。一目で酒を飲んで寝たことが分かる。

「……あー? 酒飲む飲まないはこっちの自由だろ。好きにさせろよ」

「別に構いませんけど、もう起きる時間です。早く起きてください。でないと、実力行使に出ますよ」

 涼は一瞬だけ、能力を解放する。涼の目が一瞬蒼く光る。それを見て、翔はめんどくさそうに髪を掻きながら起き上がった。

「へいへい……、起きれば良いんだろ、起きれば」

「最初から素直に起きてください。ほら、朝食が覚めますよ」

「分かった分かった」

 翔は気だるげな様子で立ち上がると、そのまま洗面所に向かって行った。翔を見送った涼は、朝食が並んだテーブルに向かい、席につく。今日の朝食は焼き魚に漬物、白米に味噌汁と簡素な和食だ。

 しばらくして、翔が洗面所から戻ってきた。翔も席につき、朝食を食べ始める。

「今朝の仕事はどんな感じだ?」

「そうですね、まあまあな量の仕事です。といっても、今回は掃除や不用品処分などの仕事が主になりそうです」

「いつもは家事代行やら庭仕事が主なんだがな。まぁ、そんな日もあるか」

 そう会話を交わしながら、二人は朝食を口にする。

 ここ数ヶ月の間、害虫駆除――という名のモンスター討伐の仕事は滅多に見なくなった。恐らくこれは、魔人であるハルキを倒したことによる影響が大きいのだろう。平和なのが一番なのは二人とも理解していたが、少なくとも翔は日々を退屈に感じていた。

「不用品の処分はあなたに任せますよ。得意でしょう、こういうの」

「まあな。……とはいえ、害虫駆除がなくなって、暇で仕方ねぇな」

「いいじゃないですか。あれは一般人にも被害が及びますし、来ないのが一番です」

 朝食を終えた二人は、仕事へ行く準備をする。涼は、一度パソコンを開くと翔にこう言った。

「私は一度事務処理してから行きます。お先にどうぞ」

「言われなくとも行ってくるわ。じゃあな」

 翔はそう言って、外へ出る。タバコに火をつけ、吸いながら目的地へと歩いて行くのだった。


 不用品処分の仕事は、案外力仕事だった。壊れた機械類やら道具やら渡されたので、翔はそれらを潰してまわった。不用品は、少なくともゴミとして出せるくらいにはなった。

「やれやれ。これは涼が押し付けてくるのも納得だわな。あいつにこの仕事は合わねぇ」

 ゴミとなった不用品を片付けながら、翔はそう言った。

 翔は力に自信があるのだが、涼はそうでもない。翔はいつも、涼にもっと食事を摂るように言っているのだが、涼は十分だと言ってそれ以上食べようとしない。そんな弟を、翔は少し心配していた。

「……おっと。考え事してる場合じゃねぇ。これ片づけたら、一旦帰るか」

 ゴミを片付けた翔は、一度帰ることにした。帰りにタバコを買って帰ろうと考え、近くのコンビニに寄っていく。タバコを買い、コンビニの外に出ると、買い物袋を持った涼の姿を見つける。

「おう、涼。ここで出くわすなんて珍しいな」

「えぇ、買い物してから帰ろうと思いまして。そっちは仕事終わったみたいですね?」

「まあな。そっちはどうだった?」

 涼の元へ近づいた翔は、そう話しかける。二人は歩きながら、会話を交わす。

「そうですね。思ってた以上に早く終わりましたよ。時間が余ったので、その時間で買い物に行ってたんです」

「さすが家事代行やら掃除が得意なだけあるな」

「そうでもないですよ。料理が得意なのは認めますけど……」

 二人が歩いて行くうちに、日が暮れていく。そんな空を見て、涼が呟く。

「今日の夕飯、どうしましょうね……」

「ん? 今日買ってきたやつでなんか作れねぇのか?」

「そう言われましても、献立考えるの大変なんですよ。翔も少しは手伝ってください」

 双子の兄弟はそう会話しながら、事務所へと向かって行く。そんな二人を、陰から見つめる人物がいた。その人物は、翔と涼の姿を見つめながら、にやりと笑みを浮かべる。

「……水瀬翔に、水瀬涼。なるほど、面白そうなやつらだ。今度の計画に、あいつらを混ぜてやるとしよう。きっと楽しくなる」

 謎の人物は誰となく呟くと、そのまま踵を返してどこかへ去っていった。

「……ん?」

「どうした、涼」

「さっき視線を感じたような……。いえ、なんでもありません。気のせいです」

 涼は誰かの視線を感じたが、それは気のせいだったと思うことにした。

 何でもない日常。その日常が、再び非日常へ変わろうとしていた。

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