第十一話 イカサマの正体
「な、何故だ。何故予告と違うプレイが出来るんだ!」
モンスターは動揺して叫ぶ。それを聞いて、翔は面白そうに笑いながらモンスターに言う。
「予告してても違うプレイは出来るだろ。なぁ?」
「貴様、嘘をついたのか!?」
モンスターは翔の心を読む。しかし、翔の心は嘘をついていない。先ほどの予告も本当に思ったことだ。モンスターは余計に混乱する。
「(おかしい。私の能力は正確だ、間違えるはずがない。……次のプレーだ、どうくる?)」
次の攻防が始まる。両チームがぶつかる際、翔が言った。
「予告するぜ。次は相手チームに突っ込んで突破するぜ」
「本当だな!? 嘘はついていないな!?」
モンスターは翔の心を読み、それが真実であることを確認する。いよいよ両チームがぶつかろうとした、その時。翔の選手は遠くにいた選手にパスを繋ぎ、そのままゴールまで持って行く。翔に得点が入っていく。
「翔! 貴様、イカサマをしているな!?」
翔に対して、モンスターは尋ねる。すると、翔の心はイカサマをしているという返答をした。だが、イカサマをしていることがバレても、翔は余裕そうだ。
「まぁ、イカサマなんてバレなきゃいいもんだしな? 見破れるもんなら見破ってみな」
「この……! イカサマをしているのは、ゲーム本体か? それとも、テレビにしているのか!?」
色々尋ねて、モンスターはイカサマを見破ろうとする。しかし、どの質問にも翔の心は否定をしてきた。どうやらゲーム本体にも、テレビ画面にもイカサマはしていないようだ。
「(なんだ、どういうイカサマなんだ!? くそ、なめやがって……! 私はゲームの天才だ、イカサマなぞ見破れずとも勝ってやる!)」
イカサマを見破れぬまま、モンスターは翔に勝負を挑んだ。翔の心を読み、それに対応すれば勝てる。勝てるはずなのだ。――しかし。
「また俺の得点だぜ。どうした、最初の勢いじゃねぇじゃねぇか」
翔に得点を取られ、気づけば逆転されていた。その頃にはモンスターは意気消沈し、無意識のうちに自分の負けを認めていた。
「……どうやら、俺の勝ちで良いらしいな? イカサマも見破れずじまいで、可哀そうなこった」
翔はタバコを咥えながら、そう言った。ふと、モンスターは翔のコントローラーを見る。すると、翔が触ってもいないのに、勝手に動いている。
「な、なんだ? コントローラーが勝手に……。……ま、まさか!」
モンスターは涼を見る。涼の瞳は蒼く輝いている。これは、能力を使用している印だ。
「コントローラーを操作していたのは、水瀬涼! お前だったのか!」
「おや、バレてしまいましたか。見破るのがもう少し早ければ良かったんですけどね?」
そう。今までコントローラーを操作していたのは、翔ではなく、涼だった。涼は能力を使用し、遠隔操作でコントローラーを操作していたのだ。これでは翔の心を読んでも無駄だ。
「さすが、俺の弟だ。咄嗟に俺の作戦が伝わって嬉しかったぜ」
「あなたの考えていることくらい、お見通しですよ」
このテレビゲーム対決、翔と涼の作戦勝ちとなった。
「さぁ、教えてもらおうか。嬢ちゃんはどこにいる?」
「……彼女なら、この部屋を出たすぐ近くの地下牢にいます。この部屋を出る扉はあそこにあります」
モンスターから、この部屋を出る方法、ユウナの居場所の情報を得る。翔と涼がすぐに移動しようとしたとき、モンスターが忠告する。
「彼女を助けるのならば、ハルキ様との戦闘は避けられないでしょう。……それでも、行くんですね?」
「あぁ、もちろんだ。ハルキってやつがどんなやつなのか知らんが、俺たちの邪魔をするのなら、ただぶっ潰すだけだ。なぁ、涼?」
翔は涼に同意を求めた。涼も頷いて翔に同意する。
「えぇ。それでユウナさんが助けられるのであれば、そうしましょう」
「よく言った。よし、涼。早速行くぞ」
「はい、行きましょう」
翔と涼は、言われた通りに扉を開ける。そこは、薄暗い通路になっていた。通路にはいくつか道が繋がっている。
「……こっちだな。涼、ついてこい」
翔はオイルライターを取り出し、灯り代わりにする。先頭を行く翔に涼が続く。道の先は階段になっていて、奥へ奥へ続いている。その先は暗闇で真っ暗だ。
「本当に、この先にユウナさんがいるんでしょうか……?」
「今は行くしかねぇ。先に進むぞ」
本当にこの先にユウナがいるのか。そんな疑いを抱きながらも、翔と涼は階段を下りていく。オイルライターの光だけが、道を照らしていた。
階段を下り切った先には、牢屋が並んだ部屋が広がっていた。地下牢だ。二人はユウナを探しながら、先へ進んでいく。
「……暗いな。ここに嬢ちゃんがいればいいんだが」
「そうですね。それにしても、なかなか広くて探すのが大変ですね……」
翔と涼が話していた、その時だった。
「……翔さん? 涼さん?」
聞こえてきたのは、ユウナの声だった。それに気づいた二人は、急いで声がした方へ向かう。一番奥の地下牢に、ユウナの姿があった。
「ユウナさん! 大丈夫ですか!?」
涼がユウナの元へ駆け寄ろうとした、その時。ユウナが叫ぶ。
「涼さん! ダメです! 近づいたらダメ!」




