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なろうラジオ大賞7

一時的に雨宿りした家がクラスの引きこもりの家で、彼氏と勘違いされた結果なぜか悩みを聞くことになった件

作者: 透明スケ

 冬の冷たい雨は、容赦なく疲れた身体に刺すように降る。


 俺は下校中のにわか雨から逃れるように、すぐそこの家の(ひさし)の下に入った。



「あらその制服……もしかしてあなた、ユキの彼氏さん?」


 すると突然、買い物袋を提げたおばさんが帰ってきた。


「あっいや、違うんです! すみません、勝手に入っちゃって。すぐに出て行きます」

「良いのよ! こんな(ひど)い雨の中びしょびしょじゃない。とりあえず入って入って!」

「えっ? ちょっ」


 言われるがまま家に入れられ、タオルを渡された。


「あの子ね、最近スマホを見ながらニヤニヤすること多かったの。ほらユキ! 彼氏さんが来てくれたよ」

「いや、違いますって。誰ですかユキって」


 抵抗する余地もなく部屋に押し込まれ、母はどこかに行った。


 布団に(くる)まってそこに居たのは、入学して数日登校して以来一度も姿を見せなくなった、クラスメイトの青野(あおの)由紀(ゆき)だった。


「ごめん! なんか、すごい勘違いが起きていて」

「いや、私のお母さんが全部悪いから気にしないで」

「大丈夫だよ。……やっぱり突然で申し訳ないし、帰るね」

「待って。まだ雨降ってるし風邪ひいちゃうからさ、もう少しここに居て?」


 由紀は立ち上がろうとした俺の手を掴んで座らせようとする。

 袖から見えた小さな手は、キラキラ透き通る雪のようで美しかった。



「……学校、来ないの?」

「うん……(いじ)められるのが怖くて」


 入学してたった数日で虐められていたとは全く知らなかった。


「ごめん、辛いことを思い出させちゃった?」

「ううん。今は辛くはないから」



「もう雨やんだかな。帰らなきゃ」

「今日は、ありがとね」

「えっ、何で?」

「話を聞いてくれて。ちょっと悩みを話すだけで、こんなにもすっきりするんだね」

「俺は何も――」

「いいの。じゃあ、気を付けて帰ってね」


 彼女に一つだけ言っておきたいことがあった。


「あのさ、由紀はこうして俺とも話せてるし、学校でも皆と仲良くできるはずだと思うんだ」

「それは――――」

「悩みがあったらいつでも聞くからさ。あと、隣に居るくらいはできるから。一緒に学校、行こう?」

「うん……ありがと」


 部屋を出ようとブレザーを着て立ち上がった時、由紀が付け足して言った。


「悩みを聞いてくれるの、誰でも良かった訳じゃないから」


 振り向くと、照れながら小さく手を振る彼女の姿があった。

 その(まぶ)しそうな表情に、余計引き込まれる。


「お母さんには誤解を生むかもだけど、また来るね」

「ふふ、いつでも来てね」


指定キーワードの雨宿りは一瞬でした。


お読みいただきありがとうございます!

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