1. 知らない場所
「・・・・・・ん・・・」
がたん、がたん、と揺れる音、そしてその振動で僕―――莉里は目を覚ました。頬に冷たい何かが当たってる。横になっているらしい。目を開けようとするが、何かに当たって開かない。
触って確認しようにも、手は何かに固定されているのか動かない。足も同様だ。それに、体全体を覆う様に何かが被せられている。重くはない。何が乗っているんだろうか。
ここは一体。体の自由が利かない理由は。
疑問だらけで、未だふわふわと現実と夢を行ったり来たりしている頭で考えても、何も解らない。それは、寝惚けていてもなんとなくわかった。まあ、分かってないって事なんだけど。
こういう時、何を最初にするんだったか。
ああ、そうだ。‘‘お は し も‘‘だ・・・・・押さない、走らない、喋らない、戻らない。違うこれじゃない。押すものない、足動かないから走れない、なんか不味いモノ嚙んでて声出ないから喋れない。口に入ってるこれほんと何。くそ不味いんだけど。そして戻る場所どこ。
そうじゃなくて、えっと・・・そうだ、状況把握。
自分は何をしていたか、それを思い出す為に、寝惚けた頭をゆっくりと働かせ始めた。
目が覚めると知らない場所にいた。
なんて、ゲームとか小説とか漫画とか、物語の中だけだと思ってた。知らない天井だっていうのはあるけど、景色ごと違うのは初めてだ。人生で体験した人って凄いレアだと思う。例えば・・・誘拐しか浮かばないや。物騒だな。
僕が体験した知らない天井も、結局は保健室だったし。保健室にいた理由も、体育の時にボールを顔面キャッチしてぶっ倒れて運ばれただけだったし。
こういう事は無い・・・と、思ってたんだけどな。全く見覚えがありません。やっぱり、『ここはどこ?私はだれ?』これをした方が良いのか。
いや、しちゃ駄目だ。
中学の時、保健室で目覚めた時に「知らない天井だ・・・」つって養護教諭の先生に爆笑されたもん。くっそ恥ずかしかった。しかも養護教諭、様子見に来た担任にそのこと話したし。
担任、いい人だったけど養護教諭と一緒になって笑ったの忘れてないからな。それと保健室までの運搬方法がお姫様抱っこだったのも。クラス戻ったらみんなに笑われてすごい恥ずかしかった。鍛えてんのは知ってるけどさ、運び方他にもあったよね。絶対。
きりがないので一旦終了。このまま現実逃避してても解決するわけでもないしね。あと話の終着点が見つからない。
さて僕の今の状況を纏めてみましょう~。
目が覚めると知らない場所にいました。まる。
あっ、これじゃあ句点が三回連続に・・・・・・ってふざけるのもやめようか。このテンション疲れるや。
どういうことですかねぇ。王道なのは誘拐だけど、それは無さそうなんだよなぁ。
いやね、これでどこかに閉じ込められてる、運ばれてる・・・とかだったらわかるんだけど。拘束も何も無いからね。
こういうのって、目隠しとか手を縛ったりとかするもんじゃないの?叫んでいいですよってこと?叫んでいいの?いやでも、誘拐されたなら大人しくしてるべきか?
そもそもあれか?叫んだとしても誰も来ないぞって自信あるのか?だとしたら世の中腐ってる・・・いやまあ、誘拐とかの時点で腐ってると思いますけども。
・・・・・・まあ、ここなら叫んだところで誰も来ないでしょうけど。
心の中で叫んでも誰も来ないでしょうけどっ!
なんて脳内で馬鹿をしつつ、体を起こして周囲を見回す。
何も無い。辺り一面草、草、草。建物無い、森無い、川無い、畑も無い。
視界には遮るものが何もない草原が広がっている。
地元も割と田舎の方なんだけど、凄いな。初めて見た。こんなに広いのに田圃が無い。ビルとかも見当たらないし、あんまり開発が進んでないのかね。
これで進んでるってことはないだろうし。
脳が余計な事しか考えない、って事はまだ混乱してんのかな。
「ふぁ~~」
とてつもない眠気に襲われた。
どうしよう。寝てる場合じゃないんだろうけど凄い眠い。この状況で眠いって我ながら図太いな。どういう神経してんだ。
・・・ちょっとだけ。起きたらきっとこの夢は覚めてるでしょ。
もし夢じゃなかったら・・・そん時はそん時だ。
てことで、ここまで若干テンションの可笑しい僕こと莉里がお届けしました。
おやすみなさい。
なにこれ。
次話は16日18時に投稿。
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