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第3話「優等生の二つの顔」

〜二時間目終了後〜

〜グラウンドにて〜

「さて、今日は何しようかな。」

立輝は授業が終わったので外に遊びに行った。今日の立輝は普通に授業を受けていた。その為、クラスメイトからは──────

──「立輝が授業を受けている…だと!?」

──「それな。いつもは寝てんのに。」

──「何か、桧崎先輩と話してるらしいよ。」

──「桧崎先輩って…むちゃくちゃ良い人じゃん!良いな〜おれも話したい!」

──「てか、立輝、最近僕達、同級生とも話す機会が多くなったね。」

──「立輝って皮肉的な事しか言わないと思っていたけど、面白いな。」

褒められていた。一つ目の言葉と二つ目の言葉以外は。どうやら立輝も秀と関わった事で毎日が楽しくなり、授業も悪くないと感じたようである。

「(今日の授業…悪くなかったな。僕も起きれるレベルだったし。)」

「(ただ…花御の授業は嫌だな…古見先生は良いけど。)」

古見先生は国語担当の先生。面白く人気がある。女性。因みに花御先生は男性。

「やっぱり、休み時間が最高!」

「さて、今日も遊ぶか。…あ、アイツだ。」

立輝がボールで遊ぼうとすると、向こう側には秀が居た。その横には秀の同級生らしき人が見える。

「啓斗!一緒に遊ぼうぜ!」

「…はぁ。全く…教室に居ても集中出来なかったから外に出ただけで…」

「(あの人は…区川啓斗(くかわけいと)先輩?)」

「(なんて言うか凄く礼儀正しいな…僕とは相性が良くなさそう。)」

秀の同級生。それは拓実が言っていた区川啓斗だった。だが、拓実から聞いていたイメージとは異なり、とても礼儀正しい。因みに実は啓斗には双子の兄がいるらしい。

「(やっぱりあの人には拓実が言った"裏側"なんてないんだよ。)」

立輝が一人で考えていると、秀と啓斗が彼に気付いたらしく立輝の所に近付いて来た。

「立輝〜?そんな所でどうしたんだ?」

「秀?…と、その横に居る人は区川先輩?」

「ええ。わたくしは区川啓斗と申します。」

「阿久津立輝と言います。よ、よろしくお願いします。」

啓斗は優等生らしく礼儀正しい挨拶をする。その様子には立輝も驚くレベルだった。

「あ、あの区川先輩?凄く礼儀正しいですね。どこか位の高い家に生まれたんですか?」

「いや、わたくしはそんなに位の高い家には生まれていません。確かに少しは位は高いでしょうけど。」

「(れ、礼儀正し過ぎる!僕でも、タメ口では話せない!)」

「啓斗〜?そんな猫かぶりしなくていいんだぜ〜?」

「おい、秀っ!そんな言い方しなくても!」

秀は啓斗をからかうように言った。立輝はからかう秀を止めようとするが、無意味だった。

「おいおい、立輝〜そんないい人振らなくても良いんだぞ〜?」

「………」

「…うるさい。黙れ。秀。」

啓斗は小さい声で言った。その声は遊んでいるクラスメイトには聞こえない。

「(あ、やってしまいました…これが阿久津さんに聞こえていたら…)」

「…あ、あの!僕と話してくれてありがとうございしました!」

「区川先輩、忙しいのにかかわらず...」

しかし、立輝には啓斗の小さい声は聞こえなかった。…最も、秀には聞こえていたみたいだが。

「え、ええ。阿久津さんと話せてわたくしも嬉しかったです。」

「それじゃあ、さようなら!区川先輩!」

「さようなら。阿久津さん。またいつか話しましょう。」

立輝は今の所から西側に行く事にした。

立輝が完全に西側に行った後、啓斗が猫かぶりを辞め、秀と話していた。

「おい。秀。重要な所で猫かぶりを辞めさせるような事言うなよ。」

「えぇ〜別にいいじゃん!だって、立輝面白いし?」

「阿久津さんはどちらかと言えば物事を暇な事と考える人じゃあ無いのか?」

「いや、俺に会う前はそうだったんだよ。でも、俺と会ってからは面白くなったんだ!いやー俺って凄いなー。礼儀なってない奴の性格を変えるなんて。」

「はぁ。お前の自画自賛飽きるんだよ。それに礼儀なっていないのは秀もだろ。」

「そうか?」

「そうだよ。高三の先輩にいきなりタメ口で話しかけて少し引かれてたぞ?」

それは一ヶ月前の事──

秀は遂にクラブで憧れの人と話す事となった。勿論、前にも話していたのだが本格的に話すのは初めてだ。

〜体育館〜

「俺の憧れの先輩は…」

「あ、居た!」

「おーい!水明〜!」

水明(みずあき)。秀の憧れの人。本名は水屋明来(みずやあきら)。水明は高三の友達が呼んでいるあだ名である。本人は気に入っている。

「あ、秀君!…って、その呼び名は…」

「おいおい。秀って奴、高三に向かってタメ口だと!?」

「落ち着けって。今時、そんな言い方する奴いないって。まあ、でも水明呼びは…」

「……はぁ。」

啓斗は秀に来た方が良いと言われたので、来た。だが、来た結果がこれである。啓斗が混乱するのも当然である。

「(秀は礼儀がなって無さすぎる。一応、本格的に話すのって今日が初めてでしょう?)」

「(まあ、彼奴だったら謝る事もしないでしょう。代わりにわたくしが謝らないと行けないですね。)」

「あの、秀がすみません。あの人、ちょっと礼儀なって無くて…腹が立ったらごめんなさい!」

「?ああ。啓斗さんか。大丈夫だよ!」

「ごめん、さっきは秀に言い過ぎた。」

さっきとは一変、バレー部のメンバーも言い方が優しくなった。だが、啓斗は「それでも、秀は反省しない」と感じてしまった。

「…本当にバレー部の人が優しくて良かったです。」

〜現在〜

〜グラウンド〜

「ああ〜そんな事あったけ?なかった気がするが…」

「あったに決まってんだろ。どんだけ記憶力悪いんだよ。」

「後、俺水屋先輩の事を水明呼びしていなかっただろ。」

「してたぞ?自分のやった事は覚えてないのに人のやった事は覚えているんだな、お前は。」

「酷いな〜啓斗は。俺だって立輝と話したは覚えているよ。」

「それは良いことだから覚えているんじゃないのか?」と啓斗は思ったが、言うと面倒な事になるので言わなかった。

「…とにかく。もう時間が無い。わたくしは戻るからお前も遅れずに来いよ。」

啓斗は走って教室に戻っていった。教室に戻っている間、色々な人に挨拶されたが秀の時の態度は取らなかった。

「…よし!俺も帰るか!」

「(いやー啓斗も面白い!立輝にアイツの本性教えたら絶対、楽しい事になるな!)」

「それより目線感じるな…」

「まあ、いいや!そんな事気にしていたら授業に間に合わない!」

秀は急いで教室に向かった。

「…………へえ。」

「あの人が桧崎秀先輩か……」

階段の近くにある茂みの中には卓実が居た。彼は秀を観察し、彼に興味を持ち始める。

「区川先輩と仲が良いんだな…」


〜数時間後〜

〜昼休み〜

〜グラウンドにて〜

「ふう!午前の授業疲れた!」

秀は大きな声で言う。それを聞いた立輝は呆れながら秀に言った。

「声大きいって。僕の耳が潰れる。」

「あはは!ごめんごめん!」

「はぁ………ってあれ?アイツは…」

立輝はグラウンドの中央階段に誰かがいるのを見つける。

「(……!三宮卓実!?何でアイツが此処に…)」

「(ん?冷静に見てみたら僕を見ているんじゃなくて…秀を見ている?)」

其処に居るのは卓実だった。立輝は不思議そうな目で卓実を見た。

「ん?どうしたんだ?立輝…何かあったか?」

「え?其処に三宮卓実が…って何かこっちに近付いて来てる!?」

「え?ごめん。運動部の人達の声で聞こえなかっ……」

秀はそう言おうとした瞬間──

──(ビューン!!)

「うわああああ!で、出たー!」

卓実が走って来て、立輝が叫んだ。まるで妖怪が出た時のように。

「おい!待てって立輝!」

そう行った頃には立輝はもうグラウンドにはいなかった。

「(え?待って俺、三宮さん?と二人きり?…終わった。流石の俺でも『素行不良の三宮卓実』と話すのは難しいぞ。)」

「(かと言って逃げるのは差別だしなぁ…ちょっと世間話したら帰ろうか。)」

「…桧崎先輩。気になる事あるんですけど。」

こんにちは小山シホです。さて、遂に区川啓斗が登場しましたね!初登場から二重人格を見せる啓斗…幸い、立輝にはバレませんでしたけど。

恐らく、立輝と啓斗はまた何処かで関わりが見えてくると思います。

次回予告

秀は卓実と二人きりで話す事となってしまう。体が若干震える秀に卓実が話した事とは──?

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