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第2話「てめえなんかとは」

「…卓実と関わったら暇な事無くなるかな、って」

「──そう思ったんだ。」

立輝は最早、卓実の圧には屈す事は無かった。

だが──

「はぁ?『暇な事が無くなる』だと?ふざけるな。」

「そもそも、暇な事を無くしたいんだったら他の生徒と関われば良いだろ!例えば…そうだな…」

区川啓斗(くかわけいと)先輩とかな!」

区川啓斗。高二一組。表向きは皆から頼られ優しい優等生的な存在。成績も良いし素行は完璧。だが、裏では…?

「はぁ〜ぁ。区川先輩?あの人真面目過ぎるだろ。劣等生じゃないどころか、優等生だろ。」

「まあ、てめえは知らないだろうな。区川先輩の"裏側"を。」

「え?どういう…」

「取り敢えず、オレはもう家に変える。…あばよ!」

そう言って卓実は走って校門の外に出てしまった。立輝は何が起きたのは理解出来ずに混乱している。

「(…卓実は何が言いたかった?)」

「(何でわざわざ優等生として知られている区川先輩の名前を出した?)」

「あー!考えるのは辞めろ!僕に考えるって事は向いていない!」

「取り敢えず、僕も家に帰ろう。今日の事は少なくとも家に帰ってからにしないとな。」

そう言って立輝も自分の家に帰って行った。彼の顔は明らかに疲れていそうだった。

〜数十分後〜

〜阿久津家 リビング〜

「はぁ…はぁ…ただいま〜」

立輝は走りながら家に帰った。彼の体は汗だらけだった。

「おい!立輝どうしたんだ?こんな汗だくになって…」

彼は立輝の兄、阿久津武瑠(あくつ たける)。弟とは違って成績優秀。明るくて友達も多い高三である。行っている学校は弟と同じ参宮橋公立男子高等学校(参宮男子高)だ。クラスは三組である。

「あ、武瑠兄ちゃん…」

「実は今日、有り得ないことがあって…」

立輝は武瑠に今日あった事全てを言った。

「へぇ!そんな事があったんだ!」

「にしても、立輝に話しかけてくるなんてその桧崎さんって人優しいな!」

「まあ、少なくとも僕に話しかけてくるのは変わってるなとは思うけど。」

「はは!そうかもな!でも、仲良くなって良かったじゃないか!」

武瑠のその言葉に立輝は顔が赤くなりながら言った。

「な、仲良くはなっていない!…知り合いにはなったけど。」

「はいはい。立輝は顔ですぐに分かるんだよな。」

「 もう、からかわないでよ。武瑠兄ちゃん。」

立輝は武瑠に向かって言うが、心の中では何処か嬉しそうだった。

「(でも、武瑠兄ちゃんの言う通り、友達と言える存在が出来て良かった。)」

「あ、じゃあ俺はちょっと宿題やって来る!それじゃあな!」

武瑠はそう言った後、走りながら自分の部屋に向かった。

「…武瑠兄ちゃんは真面目だな。僕ではやらないような宿題でも絶対にやり切る。」

「僕も今日は頑張ろうかな。」

立輝は珍しくやる気スイッチが入ったみたいだった。彼は宿題をリビングの机でやる事にした。

「(あら?立輝?今日は珍しく宿題やっているのね。)」

「(やるじゃない!やっぱり、貴方は頑張れば出来るのね!)」

すると、母親がリビングに来た。彼女は何も言わずに(珍しく)宿題をやっている立輝に関心していた。

「(よし!だったら私もご飯作るの頑張らないとね!)」

母親は心の中でそう思い、キッキンに向かった。今日作る料理は立輝の好物、ハヤシライスだ。

「(珍しく今回は簡単だな。これなら今日中に解けそう。)」

「(えっと…『be動詞はどれか選びなさい。 1.go 2.have 3.was 4.play 5.she』)」

「(これは3。…今回の宿題本当に簡単だな。違和感すらあるんだけど。)」

しかし、簡単なのは良い事だと思っている立輝は特に気にする事は無く、順調に問題を解いていった。

そして──

〜数分後〜

「よし!出来た!」

立輝は宿題を遂に終わらせた。宿題はやらないものだと思っている彼にとってこれは珍しいと自分でも思っていた。

「いやーまさか僕が宿題を終わらすなんてね。まあ、今回は簡単だったけど。」

「しかも今回は英語だけでは無く、宿題として出されていた所を全てやった!これは凄い筈!」

確かに立輝にとっては凄い事かもしれないが、参宮男子高だと宿題をするのは当たり前で、寧ろやらない方が珍しい。

「これだったら花御でも文句は言う事が出来ない。だって、普通にやったから。」

「…僕、やれば出来んじゃん。」

独り言を呟いていると母の呼び声が聞こえた。

「立輝〜ハヤシライス出来たわよー!」

「あ、分かった。行くね。」

そうやってハヤシライスを食べた後、自分の部屋に向かった。

〜立輝の部屋〜

「ふう……」

立輝が息をすると、スマホの通知音が鳴った。

──ピロン

「ん?こんな時に誰から?」

「桧崎秀…?…っ!秀から!?」

立輝は自分の連絡先を知られている事に驚く。

「…と、思ったら学校用の連絡か。何だ、びっくりした。」

しかし、『Rain』(現実世界で言うLIN〇見たいなもの)では無く学校用の連絡アプリ『mel note』からの通知だった。

「そう言えば僕と秀って同じクラブだったんだな。前までは意識していなかったけど…」

立輝のクラブはバレー部。参宮男子高でも人気のクラブだ。結構練習量も多く、しんどいと感じる人が多い。しかし、メンバーは優しいので辞める人は少ない。まあ、立輝はそもそもサボる事が多いからあまり関係は無いが。

その為、立輝がバレー部をサボる事はもはやバレー部のメンバーの殆どに知られており、呆れられている。

「ああ。そうか。僕ってバレー部をサボるからメンバーの事、あまり知らなかったんだ。」

一方、秀は立輝と違い、サボる事なんて無い。いつも、活躍している言わばエース的存在。まあ、バレー部には秀を超える先輩もそこそこ居るが…

「えっとメッセージは…」

『立輝!今日はありがとな!お前と話出来て楽しかった!』

そのメッセージに立輝は心が明るくなるのが分かった。

「あー、『そ、そう。僕と話しても楽しかったんだ?』」

『決まってんだろ!お前、変わった奴で面白かったぞ!』

『………そりゃあどうも。』

『それじゃあ俺は寝る!立輝、おやすみ!』

『はいはい。おやすみおやすみ。』

──(スマホの電源を切る音)

「はあぁ。」

立輝はため息を吐く。返信が早すぎる秀に少し疲れたのだろう。その為、今日は10:00という早い時間に寝る事にした。

「疲れた…今日は早めに寝ようかな。」

「(…でも、今日は悪くなかったかな。…秀は明る過ぎて困るけど…!)」

立輝は電気を消して寝た。一方その頃、拓実の家では…

〜三宮家 卓実の部屋〜

「チッ。何だよ。今日の阿久津立輝って奴…」

「(妙にウザかったな…結構煽りが凄かったし。)」

「(かと言ってそれを区川先輩に相談しても効果ないしな…)」

卓実は立輝の事を愚痴る。彼はその事を誰かに相談したい程に苛立っていた。

「(強いて言うなら先生達か?信用出来るのは花御先生くらいか…)」卓実は立輝とは違い、花御先生の事が嫌いでは無い。寧ろ、信用しているまである。あくまで卓実は怠惰では無い為、勉強はしっかりする。ただ、素行が悪いだけなのだ。…それが問題であるのだが。

「…ああ!考えたって気が済まねぇ!」

「もう、今日は寝る!」

そう言うと卓実は電気を消し、すぐに布団の中に入ったのだった──。

皆さんこんにちは。小山シホです。さて、今回は長かったと思います笑

というか、今回は立輝が少し成長した気がします!

気のせいかもしれませんけどね!

ていうか、立輝ってクラブ入っていたんですね。しかもバレー部。まあ、サボっている事が多いみたいですが。(何もしているんだ…阿久津立輝…)秀は立輝とは真逆で皆のエースとなっています!サボる事は殆どありません。

因みに今回出て来た区川啓斗は結構裏表が激しい性格となっていますのでお楽しみに。

次回予告

立輝はいつも通り、学校に来た。二限目の授業が終わり休み時間に。立輝は暇だったので、外に出る事にする。そこで見たのは──?


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