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第1話「参宮男子高の生徒」

〜参宮橋公立男子高等学校 校門前〜

「はぁ…はぁ…!」

「此処まで来れば大丈夫だろ!」

校門前に来て、安心する立輝。だがそんな時も長くは続かなかった。

「お、おい!お前!何で逃げたんだよ!」

「は…?何で…?」

あの生徒が追い掛けて来たのだ。

「何でって…お前、人が話したのに逃げただろ!」

「あー?僕はお前とは関わらな…」

立輝はキッパリ言い放ちかけた。だが、生徒は彼の声を遮る。

「なっ!お前、初対面の奴に向かって『お前』だと…!?」

「はあ。まだ上下関係気にしてんの?まあ、この学校は古いし仕方が無いか。」

「(此奴マジかよ!この学校を古いとか何とか!)」

ある生徒は立輝の性格に驚いていた。すると、立輝が口を開いた。

「………あのさ、名前なんて言う?」

「俺か?桧崎秀ひのさきひで。お前は何て言う名前だ?」

阿久津(あくつ)立輝(りつき)。…よ、宜しく。」

お互いの名前を名乗った後、さっきまで真顔だった立輝の顔が少し赤くなった。

「お!お前〜照れてるな!」

「て、照れてない!ほ、ほら今日暑かったから!」

そう言った後、立輝はそっぽを向いた。

「あ!因みに俺のクラスは高二二組だ!」

「僕は高一二組。」

「と言うか、秀。お前、あれだけ上下関係気にしていたのに今となっては全然僕のタメ口指摘しないんだな。」

「いやー?だってお前何か面白いし?敬語使われたら距離遠くなるしな?」

「はぁ。あれは照れてないから。」

そうは言ったものの、立輝は心の中では嬉しそうだった。

「(でも、僕も秀と話していると何だか…)」

「ところで立輝。音楽ってやった事あるか?」

「…!」

「…『LYric/MUsicS』って知ってるか?」

「リリック…何だそれ?俺は知らないな。」

「LYric/MUsicS」。それはかつて立輝が組んでいたユニット。(略して、リリックミュー)リリックミューはかつての別の学校では有名だった。『優等生らしくない音』で形成された音はどれもインパクトが強かった。ユニットは順調だったように『見えた。』そう、"とある出来事"が起こる前は…

「別の中学校で僕が組んでいたユニット。その学校ではまあまあ有名だったんだよ。」

「へぇ!それは良かった!今も続けているのか?」

「いや…もう続けてない。」

「へ?」

「実はそのユニット、一年前くらいにちょっとトラブルがあって…」

トラブルの内容としては、『立輝が中三だった秋に大きな喧嘩をしてしまい、リリックミューは解散してしまった…』というものである。この出来事は立輝の心に傷を残した。

「そうなのか。じゃあ、その出来事のせいで立輝は参宮男子高の近くの中学校に転校する事になったのか。通りでお前の名前、聞いた事あるなと思っていたよ。」

「…うん。でも、その出来事の原因は僕が悪いんだ。」

「僕がちゃんと…言葉を正しく伝えられていたら、こんな事にはならなかったと思う。」

立輝の言葉に秀は少しびっくりする。「此奴にも辛い過去があったのか」と。秀にとって立輝は自分の事をお前呼びして来る面白い奴という印象だった。しかし、立輝のユニットの話によってそれは薄れた。

「立輝ってさ、優しさあるんだな。」

からかわれたと思った立輝は言葉が荒くなった。

「は、はぁ!?お前、何言ってんの?僕に優しさがある訳無い!馬鹿にしたいのか!?」

「違う違う。言い方悪かったよ。」

「ただ、お前にも人を考える気持ちはあるんだなって思っただけだよ。」

「…そうなのか?自分ではそれが信じられない。」

立輝は生まれて初めて言われた言葉に衝撃を受ける。その為、立輝は少しの間フリーズしていた。

「まあ、お前にも過去があるってのは分かった!」

「今日は話してくれてありがとうな!俺、ちょっと友達と待ち合わせしてるから!」

「あーうん。あ、ありがとう。」

秀は笑顔で去って行く。

「(アイツ、明るい奴だったな…テンションが高過ぎる…)」

「(でも…僕と話したがるなんてアイツも変わってるな。)」

「(もしかして…アイツは僕と…?)」

立輝は一種の可能性を考えるがまあ、そんな事無いだろうと感じ、それを考えるのをやめた。

すると、其処に──

「おい。てめえ。」

──口調の荒い男子生徒が来た。

「…誰?お前は。」

「オレは三宮卓実みつみやたくみ。てめえなら聞いた事はあるだろ?」

三宮卓実。立輝と同じ学年で一組。そして劣等生である。

「(…確か、『素行不良の三宮卓実』と呼ばれていたんだったけ?)」

「(後、僕と同じ高一で、一組。だけど、成績は普通。)」

「その顔、知ってるんだな?」

「う、うん。流石に知ってるけど。」

流石の立輝も口調がキツい卓実には秀みたいな言葉遣いは出来ない。立輝は拓実が参宮男子高の生徒達から恐れられていた事も知っており、余計な事を言ったら、殴られる可能性すらあるからだ。

「面白いな。そういうてめえは阿久津立輝だな?」

「…まあ、知られていて当然か。」

「でも、もしかしたら卓実は噂の一割しか知らない可能性もある。」

「だから、本当に知っているかどうか聞いて見て良い?」

「(…だって、かつての時も僕の本当の姿を皆が知らなかったから──)」

立輝は本当の自分を知っているか確かめる為に卓実にクイズを出そうとする。すると、卓実は不敵な笑みを浮かべて言った。

「ふうん?面白いじゃあねぇか?いい。問いに答えてやるよ。」

立輝の問いの内容としては大半がリリックミューの事である。

「じゃあ、僕が前の学校でやっていたユニットの名前を何と言う?」

「──『LYric/MUsicS』。」

「確か、中三の時くらいにトラブルが起きて解散して、てめえがこの学校の近くの中学に転校して来たんだよな。」

「噂によるとLYric\MUsicSはパフォーマンスも良くて、メンバーの仲も良かったと聞いている。」

「…どうだ?少なくもオレが一割しかてめえの事を知らないという訳では無いだろ?」

「オレ、音楽は苦手じゃねぇんだよ。」

凄まじいマシンガントークをする卓実。立輝は反論出来なくなり、負けを認めた。

「まさか、此処まで知っているなんてね。」

「うん。僕の負け。だから──」

「僕と友達になる?」

「──は?」

予測出来なかった言葉に卓実は混乱する。なぜなら、立輝は卓実の悪い所を知っているのにわざわざ関わりを増やそうとしているからだ。

「てめえ自分で言ってる事分かってんのか?」

「…そりゃあ分かっていなかったら言わないでしょ。」

「──だったら、何故オレとわざわざ関わろうとしている!?」

卓実は冷静さを失い、声を荒らげる。すると、立輝は落ち着いて答えた。

「…卓実と関わったら暇な事無くなるかな、って」

「──そう思ったんだ。」

皆さんこんにちはこんにちは。小山シホです。さて、今回は情報量多いですね笑

今回で立輝が二人の生徒と対面しました。何なら、桧崎秀に関してはちょっと友達になりかけていますからね。先輩と後輩のはずなんですけど。まあ、流石に卓実と友達になるのはまだ先の話だと思います!だって、初対面の人であるにも関わらず、勝手に人を避けた人がそんな友達バンバン増える訳無いですのでね。

…ちょっと話が長くなりました。それでは!

次回予告

立輝はどうしてわざわざ卓実と関わるのかを彼に言う。しかし、やはり彼は立輝の言っている事が理解出来ず──?

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