(49)犬千代はチーター族に育てられ、殺された
(49)犬千代はチーター族に育てられ、殺された
左軍の戦いはそこまで長く掛からなかった。
相性の差がこの戦いをすぐに終わらせていた。
左軍の師団長代理の犬千代は
炎のオットーの攻撃をその武士刀で
切り裂いていた。
聖騎士国内最速のスピードを誇る犬千代は
猛る炎をそのスピードで消し去る。
最速の刀による斬撃は炎を切り裂いて
オットーに迫る。
犬千代にとって相性の悪いのは
土や水である。
硬い土はまともにぶつかると
本人や本人の刀が力負けをする。
柔らかい水はスピードを半減させられ
刀にもまとわりついて切ることができない。
「なんなんだ!このスピードは」
オットーは犬千代のスピードに悪態をつく。
「誰なんだ。おまえは」
「聖騎士国はこんな隠し玉をもっていたのか」
「全然戦力が落ちていないではないか」
オットーは愚痴を言いながら
防戦一方である。
…… …… …… …… ……
犬千代は武士道国の出身である。
生まれは武士道国の中でも西の端の村だった。
隣りは獣人国のチーター族が住む村だった。
武士道国と獣人国は敵対関係の2国であったが
田舎だったのでそのことは関係なく
お互いに行き来をしていた。
少年のころはチーター族のユバトスと
よくかけっこをしていたものだった。
犬千代はその村で一生過ごすものだと
思っていた。
そんなある日、突然、中央帝国とチーター族が
侵略をしてきたのだ。
犬千代の父と母は犬千代の目の前で殺される。
残虐な中央帝国の命令によって
ユバトスは犬千代と父の目の前で
母を強姦した。
そして犬千代の目の前で
その母を殺したのだった。
父も犬千代の目の前で殺される。
犬千代は今でもその光景が脳裏に
焼き付いている。
犬千代は一心不乱に逃げ出した。
知らず知らずのうちにチーター族と鍛えていた
足腰のおかげで逃げることができた。
犬千代は一緒に過ごしてきた
チーター族のやつらが許せなかった。
父と母を殺したユバトスが許せなかった。
絶対に仇を討つと決心する。
チーター族と戦うにはスピードが必要だった。
仇討ちをするには軍が必要だった。
犬千代は武士同国の軍隊に入り、
日々スピードを鍛え続けた。
ただし仇討ちの機会は訪れなかった。
武士道国は自ら戦うことをしない。
専守防衛を国の基本としていたのだ。
しびれを切らした犬千代は
武士道国に別れを告げて
仇討ちのために一人で
チーター族を襲撃したのだ。
多数に無勢、勝てるわけもなく
犬千代は殺される間際だった。
犬千代はすぐに勝てないと気付き、
ユバトスだけでも殺したいと
逃げながら探していた。
犬千代は致命傷を避けながらも
ユバトスを探しながら戦っている。
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
「犬千代が襲われている」
久太郎が声を発する。
「久太郎たちの仲間か?」
ウァイトが確認をする。
「はい。先日、武士道国を離れた
武士の一人です。
彼は我々の兄のような存在でした。
彼が武士道国を離れなければ
聖騎士国へ派遣されていたのは彼でした」
武士道国はセラファー大陸の東半分の中で
唯一の人間よる国家であった。
聖騎士国にとって武士道国は貴重な国であった。
隣国の中央帝国、獣人族、龍人族、巨人族、
鬼人族に侵略されても負けない国であった。
自ら攻めることはしない武士道国であったが
強い隣国に後れを取らないことを考えると
潜在能力の高さがうかがえる人間国家であった。
聖騎士国は武士道国の強さの秘密を
さぐるためにも国交を結びたかった。
いままさに
ウァイト自らが武士道国を訪れた帰りであった。
国交を結ぶ前にお互いに魅力のある
存在かどうかを確認することとなり
2対2の人的交換トレードがなされた。
武士道国から派遣されたのが久太郎と蘭丸であった。
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
「犬千代を助けるぞ!」
ウァイトは久太郎と蘭丸に声をかけたのであった。
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