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異世界ソビエト高校   作者: 石田研
3/23

第三話 召喚者の村

翌日の朝は早い、

俺たちがこの世界に召喚されてからの生活パターンは物凄く変わった。

まず朝が早い、大体腕時計で4時半頃、まだ日も昇らない時間に、

全員で一斉に起きる、

起こし方はその時間に議長となった三河ら村の議員らが、

倉庫で鍋を叩くので銅鑼の様に耳障りな金属音がするから起きる。


全員で川の水で顔や体を洗って、川の水は飲まないようにしつつ、

井戸水で口を濯ぎ歯ブラシの代わりに枯れ枝を裂いた物で歯を擦る程度、

そして、しっかり顔を洗うと目を覚める程にこの水が冷たいが、

そこは我慢でと言われるそして次に畑に向かい全員で水やりと別班が雑草抜きをする。

そしてこの畑だが移動中に事前に全員で話し合った結果、地元民が言う。


「何故か衰弱して死んじまう~」うんぬんは、恐らくこの世界の食料になる野菜等の作物の

何かしら栄養価とか何かしらが無くて俺たちに栄養が入ってこない事が、

関係があるだろうと推測して、とりあえず第一回の耕す畑は、

腐葉土と俺たちから出る物を足して井戸水で育てる中規模のA畑と川の水と

腐葉土をやるだけの中B畑また一番規模の大きい俺たちの○○○な物と

森から腐葉土で作った肥料を川の水+して畑を肥やし、

更に狩った動物の骨なども焼いて骨粉として

肥料として使い栄養価をとにかく増やしてみるC畑といろいろ環境を変えて

育てることにしたつまり作物は育つが栄養価が無いのか、

あるいは何かしら原因が有るだろうという予測が立ったわけで、対策を試みる事になった、

既に王国からの支援で貰った穀物の種苗などをドルムントの農民に師事して、

各畑に小麦と野菜を対応を変えて植えてあるので、後は予想を信じて育てるだけだった、

そして基本肥料は計画道理にする。

とりあえず今は腐葉土を全ての畑分調達できるまで順次投入していく、

そして最初の行動としてA班とB班の0人ずつに別れ朝飯前の仕事をする。

朝食前に井戸水を家の瓶に入れ、川から水を汲み洗濯など多目的な水をして事にして、

畑に水をやるとやっと朝食だ朝食は昨日簡易の議会により集会所に指定された倉庫で、

2交代で全員が必ずその場所で取る事になってる、

理由は食料の均等な配給のためだ、簡単に言うと誰かが多く食べたがり、

摂るのを避けるためと予想してそうなった、

あと2回に分けたのは60人も入りきらないためでもある。


「ふう、やっと朝飯だぜ、俺ら完全に農家だな」と武下が気楽な感じで話しているが

確かにそうかもしれない。

「まあ最初のうちだけですな、我々でも向く人を選別してそれぞれの職に

付けた方が早いですな」と伊織が簡単に言う。


「あ~職業適性な確か俺は「技工の徒」だったかう~ん、

こりゃ昨日森で切り出した枝とかでなにか作るかね」

と俺は思いつきを言うと「それが良いですな、辰巳は細かい仕事がうまいですし、

意外とそういった方面に向いていると思われてのかもしれませんな」と伊織も言う。


「だが、あの職業って誰が決めるんだろうな?神?」

と武下が素朴な疑問を言い

「まあ私なんて職業「商神の徒」で商人ですよ一体いつ商売したというのですかな」

伊織が憤慨してる。


「そうだよな、職業はよく分からない判断基準で決まってるよな、

俺も「神の徒」で神官だし俺いつ宗教に入ったんだかわからないよね」

と吉田も嘆いてるすると集合場所に仮指定されてる倉庫兼集会所で

初代代表議長の三河が声を掛け始めた。

「皆さん、朝食を配ってる間に聞いてください、今日から3班体制で生活したいのです、

理由はこの世界の常識の習得です、1班が畑の対応、

2班が各自の職業適性を利用した工作物の制作これは穀物が出来るまで、

時間を有効活用して金銭を得るためですそして3班が商業です、

この世界の事を王国の兵士であるキースさんが教えてくれるそうなので、

講師として習いそれを応用して街に出向き2班が作った物品を売ります、

一応ジャムスさんと一部2班で狩猟をしてもらい肉を得たいため、

2班は午前中はA・B班に別れて作業としたいですし、

3班の学習内容ですが、まず貨幣価値と物品の価値、周辺の国とかの知識や動物の

生態と種類など知る必要の有る事は多いです、そして知った知識に合うように調整して、

商品を2班に作って貰い国境街ドルムントで売り、

その代金を資金に1班用の肥料や2班の作成用の材料を買ったりする計画です、

また学習授業ですが、基本ローテーションで各班も順番に授業を受けて貰います、

この体制でいいと思う人は手を上げてください」

という言葉が終わると俺も含め7割が手を挙げる。


残りは棄権した生徒だ一部俺達の生徒の中には生きる希望が薄くなり、

自暴自棄になったものや生きるの意義を無くして

ブツブツ言ってる奴や食事を取らなくなった奴も居て、

他の生徒達で何とかしてと励ましたりしてるものも居る、

まあ、いきなり中世時代に似た異世界だ人生を終わったと嘆くのも無理は無い、

まあ俺は逆に少しワクワクしてる部分もあるが怖くも有る、


なにせ死が令和の日本より近い生活だだが兎に角俺らはこの世界の事を、

もっと知らなくちゃいけない、なにせ生きる場所だしね。

と眼の前の各自で用意したここの村に有った木皿の上にかなり

小さい元は萎びた野菜でそれは人参風の野菜だが色が茶色で生では

食べるなと言われる野菜だが煮るとかなり濃い青い色に変化して

そのスープは濃い色が出るらしいがその野菜を煮た物の筈だが

今は薄青い塩味スープをかなりお湯で薄めたのか水煮と成り果てて、

それ以外の未知の豆などが入ってるが水で戻した為か弾力があり

噛み砕けないし味もない更に小さなカチカチの黒パンに干し肉のかけらが配られる。


「では、採決の結果、挙手が多かったので今の話が可決しました食後より

3班体制で動きます、各自後で自分の職業を報告して班分けに貢献してください」

と言ってまた静かになり全員で食料に齧りつき食べ始める、

もう既に全員腹が減ってて頭の中は食事の事だけだったからだ、

王都から持って来た古くなった黒パンを固くなってるのを片手に持ち、

鍋で順番に作るので最初の方は冷たく成ってる豆と街の住人がくれた干からびた野菜?

を煮た結果薄い青い色のスープもどきを木皿に盛った物に

パンと干し肉を浸してふやかしつつパンに齧りつく、

正直この色にも慣れてきた、

そしてこの食べ方は兵士のキースさんから誰かが見て学び広まった食べ方だ、

また集落にはまだパン焼窯が無いし、煮炊き用の窯は有るが1個だけだし、

鍋も1個だけでとても60人程に温かい食事を供給でき無いので、

ほぼ現在は供給を受けるだけだが今後もパンだけは供給して貰う必要が出ている。


現代日本より余りにも酷い食事なので中には食べない生徒もいるが、

その分は調理せず乾燥したまま保管してある、一応現在は生徒内で倫理が

まだ生きているからだ、この状態を改善するために、

食後に昨日切った木の分乾燥した木を細かく切って薪を作って自分たちで、

煮炊きできる状況まで持って行くらしい、

生きるって大変だと此処に付いた初日から思い知った俺たちだった。


食後、俺達は倉庫の片隅で一人ずつ職業を報告、農業系の育てるとか育むとか言った、

職業に関係してそうな人は1班の場所に移動し、2班の中で2-A班が作成

2ーB班が狩りに別れ3班は基本商業関係つまり1・2班が作った物を売る

予定だがそもそも人数は少ない

俺は木を切り倒して柱を作る木工班に配属された、

ここに来る前に兵士に聞いた話によると俺の職業「技工の徒」

とは木工・金属工作などが基本出来て木をいじると感覚的に少し

他の人より早く木が加工出来るらしいそして職業よりもスキルのほうが

優位に働くらしくこの世界はスキル至上世界らしく職業や魔法を超える

優位で働くらしい例えば、木工スキルを持ってると、

職業が木工関連の奴より早く木が切れるとか木工がうまく作れるとかが有るらしい、

またこのスキルだが平民や召喚された者でもどういった理由で決まるのか理由は解らず

更に召喚された者は基本この世界の平民や騎士より良いスキルが貰えて、

そのスキルに関連した魔法しか使えないらしい。


更にレベルが高く成るとこの世界の人間では一部だけが知れる自分のステータスを自分でも

確認出来るが、一般市民や低階級の貴族もほとんどがレベルが低すぎて分からないらしい、

また召喚者でも何故かレベルが低いと自分ではステータスが分からないらしく、

高レベルの鑑定スキル持ちか、それを再現した石版でしかわからないらしい、

そのため俺らは現在の自分のステータス状況が分からない。


一応最初、鑑定持ちが学生内にいたのだが3割の方に入れられ連れて行かれたので、

現状は生徒の中には鑑定持ちが居ないそして余り物の俺ら7割は、

有用なスキルや召喚者の中でも俺達は現時点でスキルの無い者で在るので、

それらの発生するのを待ってるらしいそんな話を証明するかのように

4人の兵士が話始めた。

「あ~お前らは王国によって大半がスキル無しの者と判明したので

切り捨てられた者たちだがその中である程度経つと不思議系スキルが

発現するものが結構居るので珍しかったり有用な者が出れば3割の仲間入りとして

連れて行く用命令を受けているスキルが発現したと思われる者は

この我々が連れているズックに名乗り出るように」

と俺達が食事を食べ終わった時に言いやがった。

そのため食後に各派閥の代表を出してその対策の話し合いが今倉庫裏で話合われてる。


「やはりあの兵士はここを離れるのが嫌だからこの話を漏らしたっぽいな」

と知らない奴が言「どういうことだ?」と俺は聞くと。

「ここで優良なスキル持ちが見つかれば王都につれていかなきゃいけないだろう?」

「ああ恐らく」

「で、報告すれば下手すればその兵士はそいつを連れてそのまま戦場行きだしな、

ここは楽だし俺らが死ねば、その報告をするまで適当に過ごせるしな、

食料もたくさんあるし監視って言うけど楽な方だろう」

と説明してくれる確かにそうだ。


「だな、だからスキル無しの中に珍しいのが出れば~なんて言うんだろう」

と言ってる顔は知ってるが名前までは知らない他クラスの生徒の中で俺は考えを言った。


「だが、この中で鑑定スキル持ちは居るのか?居なければ現れても判らないだろうし、

ここに来る道中兵士は鑑定スキル持って無いって言ってたろ」

と言うが答えは直ぐ出た。


「それなんだが、兵士が連れてる平民のズックとか言うおっさんが1人居るだろ、

あの男が鑑定持ちらしい連れて行かれたうちの奴は鑑定が3だったが、

あのおっさんは1らしいから、

スキルのレベルが高いアイツが王国の奴にとっては使えると思われたんだろ」

と吐き捨てるように言う。


「つまりそのおっさんを味方に付けとけば良いスキルを貰ったやつが居ても

バレないという訳か」と俺が言うがあっさり言い返された。


「それ無理、あのおっさん奥さんと娘が王国の人質らしいぜだから見つければ

話すしか無いって、今日も食堂で見てたしな」

俺はその言葉に呆れた「うわ~それ反則でしょ王国の人質手法ってホント酷いな、

コレじゃ見つかれは直ぐ兵士に報告されて連れて行かれるだろ」

「それがそうでもない、つまり兵士に報告されてもその兵士が仲間の兵士に

言わなけりゃ良いわけだだからウチラが考えた結果、

兵士に賄賂渡す事にした訳だそのための2班だって事よ」


「「「おお」」」と全員が小声で感動した様に唸る。

「ツウ訳で2班は稼げる物作ってくれよ、俺らに戦う方法は今の所ないしな、

だから兵士のおっさんに習うわけだけどさ、じゃそういうことで、あ、

俺は元2年C組の石元岳なよろしく、一応この考えを決めたのってあの三河なんだぜ、

手芸部って言うけど結構やるよな、じゃ」

といって石元は3班の集まりに走っていってしまった、

う~んみんな結構考えてるのな、そう言えば俺も含めてスキル無しは結構居たな、

そう言えば飯田もスキルは無かったな、伊織は商人で水魔法持ちでスキルは無かった、

で吉田は神官で火魔法持ちで初期の回復スキル「軽減」持ちらしい、

このスキルは神官なら誰でも持ってるので、

一般的に見ても魅力がない物だとか幾ら頑張ってもヒールとかになるのが精々で、

上位のにもならないので連れて行かれなかったと本人が言ってたな、

武下は狩人で土魔法持ちスキルは無いらしい、

つまり俺も含め周囲に今は1人しかスキルが在る奴が居無いので、

ここに居る生徒の中にも結構なスキル無しな「原石」が眠ってるって事になる、

当然王国も監視して調べるよな、

なにせ召喚者だから勇者レベルの有用なスキル持ちが出る可能性だって

無いわけじゃ無いしこりゃ狙われないようにしないとってスキル取得に

俺の意思なんて入るわけ無いかと諦め仕事に向かった。


「2班の仕事は、最初は木を切るか使える資材の捜索をしたいと思いますです」

と少し青白い顔の細身な生徒が言う、

「なあ、いつお前が班のリーダーになったんだ?」

と少し苛立った声でサッカー部の生徒が言うとそいつは返した、

「そ、それについては能力がある人なら誰でもいいって事だけど、

とりあえず最初に始める人が居ないといけないからって近くに居た僕に話が来たんだよ、

やってくれるなら君でも良いけど…やる?」と聞かれ、

「お、俺にゃそういうのは詳しくねえし…イイよ」と絡んだ生徒は嫌がって断った。

「それじゃ、仮の2班班長は僕三ツ矢羅生がします、

なりたい人がいれば言ってください交代します」と言っておどけた、

こうして集まった20人でとりあえず周囲の森の探索と

切りやすい木の伐採をまず最初にする事に決まったと言うか作る材料が無いと、

作れる物も決まらないし、そして狩りをする2-B班を選ぶことになった。


当然さっきのサッカー部の生徒も狩りの班になり、

兵士のジャムスから狩りの心得を教わるが素人以下の異世界人の俺たちが出来るわけも無く、

初日は森の探索に成ったので2-A班と一緒に移動を始めた、

今頃1班は畑で作業3班はあの倉庫でこの世界の常識をキースさんから学び始めた筈だ、

そして移動し始めると森の一番前の木が目に入る。

その木は下から上1メートル程まで樹革が剥がされそれと同じのが3本有る、

そしてその木の内1本の根本に斧で入れた切込みが見える、

「あの木は確か昨日斧を貸した奴らがしたのだったか?」

と兵士のジャムスに聞かれ俺が代表として答える。


「ええそうです、床がない家が当たったので床を作ろうかと、

まだ初日だったので革を剥がしただけですが、

この後は切り倒して乾燥させ床にする予定です」と俺が言うと。

「お前らバカか?木が乾燥するには最低1月から半年はかかるんだぞ?

あの太さなら半年はかかる無理だ無理、とにかく切って寝かせる事を考えろ、

後に残すんだ、あっちに木が積んであるだろう、

あれは歴代のお前らの同類が切った木だ、あれが乾燥してるからそれを使う、

と現地人目線なのかウンウンと悩みながら兵士のジャムスが言って来る。


「まあ、取り敢えずやってみることだ、斧で怪我だけしないようにすれば良い」

と言いボソッと「こりゃ子供に教えるようにしなきゃな」と言ってるのが聞こえた、

なんとなしに俺って耳が良くなったのかな?この世界独特な職業適性だろうか?

兎に角兵士には注意しておこう、と俺は思った。

しばらく森を歩くとやはり地面の起伏が激しくなり雑草や木の根がじゃまになる。

「良いか?こういった雑草や木の根は狩りの時には出来るだけ踏んだりして

音を立てないことが相手の獲物に気づかれないコツだ、出来るだけやってみてくれ、

出来るだけ森と同化する気持ちで居ると気配を消しやすい。


それとこの辺りに生えてるこの黒い木は黒樹と言う、

見ての通り黒くて太く基本的にこのあたり国の南側で多い木だ覚えておけ、

この木は硬いから水に浮かない、タンスや金持ちの家の骨格に使われる木だ、

葉は蚕の餌になるし燃えやすい枝は頑丈で撓るから弓に使われることも多いが、

加工が難しいという欠点も有るぞ」と言われ、

(へえ、黒檀みたいな木なんだなこれはいい木だろうが切れるかな?)

「へえ、ジャムスさんって結構教え上手ですね、意外です」

と2班の班長で今回A班の班長をするという三ツ矢が軽口を言う、

結構度胸があるようだ、

「あ~どこが意外だって」とジェムスさんは少し嫌そうだが怒って居なさそうだった。

「だって見た目黙って付いて来いって感じじゃないですか」

「へん、こう見えて兵士の中じゃ勉強家だって有名だったんだぞ」

と言うと皆少し笑って緊張がほぐれた感じになった。


と「おい、あれって竹か?」という声が聞こえた、当然ジャムスさんも見る。

「ああ、ありゃオークの角だな、あれは伐採処分対象だ、

見つけたら早めに切らないと直ぐ一体に生える厄介な木だ」

と言うのでみんなで近づくとジャムスさんが切るように話してくるが。


「これは俺たちが居た国で「竹」って言って在った奴で、

結構加工に適してて役に経つんだぜ」とさっきのサッカー部の奴が言う。

「だな、切って持ち帰ろう」と俺の隣の奴が言ったので俺は慌てて皆に言う。

「なあ、さっきの切りかけの木見たと思うけど、

先にこの竹切るなら少し多めに切ってくれないか?、

俺らの家って床がなくてさ、ここらの木で作るより早く作れるし、

寝る場所もなくてさ欲しいんだできれば手を貸して欲しいんだけど」


「まあ、そういう事なら少しは分けてやってもよくねえか?」

「だな、それぐらいなら良いぜ」と同意を得て、流石に3戸分とまでは行かなかったが、

とりあえず1戸分の床になりそうな分の竹を伐採して持ち帰る分に追加できた、

それ以外の分は後で取りに来よう、という形になり全員で竹を切り始めた。


「全く、異世界のガキは不思議だなこのオークの角を使って木工品を作るとか訳が判らん」

「え?使わないんですか?」と同じ班の女子が聞く。

「ああ、この木は硬いし薪に使えないし火に焚べると破裂するんだ、

そして燃えにくい割にあちこち生えやがる、大昔の召喚者が持ち込んだって話だが、

ホント役に立たん木だよ、それより木を切れ木を」と言われる。


へえ召喚された人が竹でも持ってきたんだろうか?ってのが最初の印象だった、

そしてジャムスさんの言葉を多少無視して竹を切る、

そして切った竹を全員で運べる20人居ても持てないほど竹を切り2回運ぶことにした、

何しろこの竹って素材は非常に有用だからだ、

早く育って加工がしやすいし、耐火性が有るので調理道具の補助製品や、

重さが軽いので木製の製品の代わりにもなるといい事ずくめなのを、

現地の住民は薪として使えないとしか知らなかったようだ、当然今回発見したことで

俺たちが考える目標も変わった最初はあの黒い木を使った木工家具や農機具とかの

基礎材等を想定していたが今回竹を発見した事で竹を利用した家庭用品を優先して作り、

自分たちの分を用意しつつ販売をしようという話になってる、

「で、この竹どうやって運ぶよ」とやはりあのサッカー部の男子が言う、

こいつって意外と率先して動くな、と思っていながらも運搬方法を答える。

「それなら上下をそこらの雑草の茎で縛って下部分を背負って

上の先部分を地面に接地してまとめて引きずって運べばいいよ意外と竹って頑丈なんだぜ」

「おお、そうだな」と言いながら働くサッカー部の奴に負けないように俺も率先して

縛っていく、まとめた竹を全員で2回運び集落に竹が集まった。

「ほう竹ですな~」と伊織が言う、

「ああ、この竹で床を貼るぞ、床の基礎になる石を置いて基礎を作ってさ、

先達が切った木で枠を作って安定させたら細い竹を互い違いに十字に編んだ

床板を作って張って行けば多分床ができる筈だ」

と俺がとりあえずの工程を話してみると伊織が聞いてきた。


「ですが、それをどうやって固定するんですかな?」

「そりゃ釘で…ああ釘無いか…じゃ細い草か何かツタとかで縛ってしまえば、

良いんじゃないか?ほらアジアン雑貨とかでよくある」

「ふむ、私は竹細工とかよく分からないですなですがやってみるしか無いですな」

とやっと納得させ全員で試行錯誤で作ってみることに成った、

周囲両隣の2戸の生徒も巻き込んで夕方になるまで借りた小さいナイフを

使い合ってなんとか基礎になりそうな形まで倉庫となってる

食堂の横の資材置き場から持ってきた硬い木の柱を削って互い違いの凸凹を作り家の床に

四角く組み上げた。


「まあこんな物?」と俺が聞き「そうですな良い方では、無いですかな?」と伊織が答え。

「まあ素人が作ったにしては上出来だって」と武下が言う。


必死になっても技術がなきゃ只の人だとやっぱり納得俺たち現代の日本人は

こういった農業やらその先の細工物など基礎的な農産業や加工等の技術は、

街住みの高校生には無いのだから当然だ、まだ多少の知識が有るだけマシと思った。

そして予定時間に倉庫兼集会所兼食堂になった場所から薄い鉄の板を叩く様な音が聞こえた、

誰かが「飯だってよ」と言った声が響き夕食だと理解して移動する。

「さて皆さん今日の成果を各班ごとに発表します、が、

その前に重要な話の方を先に話します、今話す内容は重要事項なので忘れずにいてください、

まずノルマは有りませんが最低限の生活必要物資としての食料の必要数が計算できました、

コレは周囲の街や村の生活してる市民の人が1年間に使う食料の量を目安に決めたもので、

我々にとってかなり厳しい数字が出ました、食料の必要数が一人あたり年間大体2トンです、

これは肉や魚など栄養価の高いものを加えた数字です、

つまりここにいる全員が生きていくには大体最低でも120トンの食料が必要です、

現在作物に肥料を与えて見ましたが、

現地の人は肥料を与える農業をしていないそうなので、育つ作物が私達に

どれだけ栄養をくれるかも不明ですし将来の先行きは不明ですが

今の所健康に問題のある人が出ていないのでとりあえず様子を見ながら畑を耕していく

予定です」

と議長になった三河が真剣な顔で言うと誰かから声が上がる。

「それってどのくらいヤバいの?」

「そうですね、ここの王国市民の人が食べる野菜や小麦を作るためにしていることが

植えて水やりだけと雑草抜きだけ言うのですから、

収穫技術や肥料などの知識はまったく無いらしいです。

今ここの集落に与えられた畑では3回は収穫しないと足りません、

それも狩りをした成果も含めての予定でです、かなり大変です」


「なあ、なぜここの王国民は畑に肥料をやらないんだ?今まで勇者召喚を

何回か来てるって言ってただろ?」と誰かが言う。

「それは今まで言葉が通じる人が着ていなかったと聞きました、

恐らくそれが原因でしょう、身振り手振りじゃ限界があります」

と三河が言う。

「だが行動することは可能だったろう?自分たちだけでも出来たんじゃないか?」

「それについては何故か体が弱って直ぐに死ぬため伝わる技術が少ない言うことで、

召喚者の体が弱るその事自体も原因はわかりませんし…」

と三河に他の生徒が質問するたびに暗くなっていく食堂そこで俺は声を上げた。

「それは今対策をしてるじゃないか俺たちは彼らと言葉が通じただけまだマシだって」

「そうです、未来は私達の行動で決まります、ですから今言ったのです、

必要な元種苗は今回十分あると予想しています、兎に角肥料です、

まず肥料を作るために森の腐葉土の運搬をしたいので明日から3班は腐葉土の運搬、

2班は運搬用の1輪車の制作、1班は学習の初回です、

各班は1日毎の学習のローテーションを守って行動してください、

継続は力なりです!、よろしくおねがいしますね!」

と力強い言い方で言って来た。

「そして良い方の話ですが、明日から隣街の馬車1台を暫くの間借りられることが

決定しましたこの馬車で切り出した乾燥木の運搬をしていきます、

そしてこの後夜寝るまで2時間全員で夕方から魔法や剣の訓練を

本格的にすることになります、朝4時おきですが短い時間真剣にやっていきましょう」

と話が終わり夜の本格的な訓練が決まった、

何しろここはほぼ無法地帯で兵士が監視で4人いるが、

友好的な2人と違い、差別的で寮にいなかったり街で遊んできたりする嫌な2人が居る、

奴らは嫌な感じがする奴らだったので基本的に役には立たなそうだ、

つまり剣も魔法もスキルも何事も自主自立の精神で兵士らを超えることに挑むしか無かった。


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