これからのイベント
『そういう訳でアレンディアの祭りはエマと過ごしたいです!』
「分かったわ。ねぇ、レナはコーヒーに好みはある?」
せっかくエマが聞いてくれているのに悪いけど、正直コーヒーはあまり得意ではない。私には苦すぎる……。
『全然ない、けどあんまり癖のない飲みやすい物でお願いします……。あ、待てよ?』
この世界ってコーヒー牛乳あるのかな。牛乳と砂糖を入れれば出来ちゃうんだよね? やったことないけど。この国では今の所見たことはない気がする。砂糖や牛乳を入れてるのは見たことあるけど、あそこまで甘くしてるのは多分ないような気がする。コーヒーの概念覆してるもんね。
『コーヒー牛乳にして飲んでみない? 牛乳と砂糖を両方入れるの、かなり甘くするのよ』
「それ、貴方の村ではそうしてるの?」
『ううん、えっとぉ……』
と、言う事にして良いかな?
いや、まずいか……。どっかの国にあるかもしれないし、なんか発案したと思われたらまた騒ぎになりそう。うーでももう言っちゃったしな、どうしよう。
『なんか、そういう風に飲んでるのを見たことがある気がして!』
「未来予知ね!」
『ぐ……』
まぁでも実際そうだしな……。前世の記憶ってそういうことだもんね、多分今までの光魔法の使い手も……。
『……やっぱり黙ってた方が良いかな?』
「別に良いんじゃないかしら? 牛乳も砂糖もコーヒーに入れるには入れるんだから。たくさん入れてみたーって誤魔化しちゃうのはどう?」
『あぁ、確かにそれもそう』
「それじゃあ飲みやすいコーヒーを用意するわ、砂糖と牛乳を沢山入れるならお茶請けは甘すぎないクッキーが良いわね」
良かったー。俄然楽しみになってきた!
「それにしても、貴方の恋は前途多難ね! ジェームズ殿下の婚約者が決まらないと何も出来そうにないわ」
『そうだよね……。でもここまで来たらジェームズ殿下が成人にならないと決まらないのかな』
ジェームズがフリーってことでバランスを保っている部分もあると言うか、ロイシュークの動向を見ている部分もあるのかなぁ……。
あとジョシュアがこの状況を面白がっているのが辛すぎるんですけど。
『あ、そうだ。ジョシュアにエマと過ごすって言わないと』
「私から言っておくわよ」
『そうしてもらえるとありがたい』
お誘いを待ってるって言われただけだし、私が断りをいれる必要もないよね。
これでアレンディスのまつりは無事に終えることが出来るかな。少なくともジョシュアはこれで引いてくれると良いんだけど。
アレンディアの祭りのイベントが終わってしまえば、一年目は半分進んだと言っても良い。後は学芸祭と期末テスト、パーティがあるだけだ。
期末テストはこの世界の私にとっては大きな問題だけど、ゲーム上では特にイベントがある訳じゃない。科目数が違うので入学前試験と違ってクラス変更もないのだ。Bクラスになってしまったエリザベスにとっては災難なことだけど。
期末テストの少し前、春にあるこの学園の学芸祭は、剣術や馬術、魔法、音楽や美術といった実技の得意な生徒のための発表会のようなものだ。その道のプロも見に来る大々的な大会で、きっちり順位も決まる。
大会で良い成績を残せば色んな人の目に留まることができ、生徒達の将来にも影響する大切な大会らしい。
学芸会も一年生の時は特別なイベントはない。一年目はアレクサンダーかウィリアムしか攻略対象がいないので当然と言えば当然だけど。
ゲームでは攻略対象はそれぞれ優勝候補として大会に出る。ウィリアムは剣術、ジェームズは馬術、ジョシュアは音楽だ。アレクサンダーは大会の運営に協力しており、彼のルートを選ぶとまるで婚約者のように連れまわされ来賓に紹介される。
この世界ではジョシュアと出会っている訳だし、もしかしたらジョシュアやウィリアムは大会に出るかもしれない。
一応ゲーム内でヒロインは魔法の大会に出て、一年目も二年目も優勝する。出来れば大会には出たくないけど、自分が出ない訳にはいかないだろうな。多分来賓は光の魔法目当てに来るんだろうし……。
国王陛下も来賓として見に来る。と言うことは、ジェームズも来るのかな? 一年目の学芸祭は結構さらっと終わってしまうから、来賓で誰が来るまでは分からない。
二年目では自分の出番の前と優勝した時に、現時点で一番好感度が高いキャラクターが声をかけてくれるし、攻略対象の出番の前にもイベントがある。
ただ学プリの性格の悪いと思うのが、攻略対象が優勝できるかは運なのだ。優勝できるかで好感度の上り幅が変わるし、慰める言葉の選択を間違えると好感度が下がったりする。
―――何か法則があれば特定のキャラの好感度を下げることも出来るんだけどな……。
まぁ現時点ではウィリアムからの接触があまりないのが救いか。多分、今のところジョシュアの好感度が一番高いような気がするけど、世間の推しがジェームズみたいだからそこも気を付けるべきかな……。
ジョシュアはエマに任せれば無理にどうこうしようとはしてこないような気がするけど。
『エマ、ジョシュアのことなんだけど……本当によろしくね』
「大丈夫。私はレナの味方だから! ジョシュアには諦めるっていう経験が必要よ。ヘンリーにもね」
『仮にセヴァラスと恋愛出来ないとしても、王族とだけは無理だから。本当に無理』
攻略対象4人とも二次元としてはとっても素敵だと思うけど、現実的に考えたら絶対無理!
「レナったら、そこは王子様との恋愛に夢見たって良いのに」
『第三者だったら夢見るかも知れないけど、自分がその立場になったら無理だよぉ……』
今までやってきた恋愛ゲームのヒロイン、おろおろせずに思い切って自分の好きな人と恋しちゃえば良いのにとか思っててごめん!
「ねぇ、だけどアレクサンダー殿下とジェームズ殿下とジョシュアの3人だったら誰が好きなの?」
『もう! エマは第三者じゃないからね! 私の親友ってポジションなんだから!』
「もちろん協力はするけど、そこも大事じゃない? だって、やっぱりプライス様は立場的に難しいと思うわ。学生時代の恋愛は問題ないと思うけど、彼ってそういうの楽しむタイプでもなさそうだし……」
あーエマの言う事は最もすぎる。この世界、後1年後には大抵の人の結婚相手が決まるってタイミングで、婚約が出来ない相手と恋愛するメリットってないよね。
特にセヴァラスは置かれている状況も良くない訳だし、誠実さと言うか、そういう面も大切になってくるだろう。相手をよく考えなければいけないから時間的な余裕もない。
そもそもセヴァラスは私のこと好きじゃないんだから、こんな面倒くさい特性を持った女なんかヤダって思っているかも知れない。セヴァラスのお母さんは私のこと結婚相手として望んでくれている、かもしれないから、まだ可能性はあるはず。
『とりあえず…………リッチ様を悲しませたくない、し、戦争もちょっと……』
「じゃあ次点はジョシュアなのね!」
エマの表情がパァっと明るくなり、両手で手を握られた。
『いや、待って! だったらいっそエマの妹になる! ヘンリー君にプロポーズします! もし良ければ!』
「…………レナ、私貴方に妹になって欲しいんだけど?」
『裏切り者だー!』




