表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/14

十四、真面目な恋

「お兄さん、出掛けちゃったね」

「多分、小牧先生と会うんよ。晶楽(あきら)君の、快気祝いの打ち合わせ」

「でも、晶楽君、凄いよね。意識不明だったのに、もうリハビリしてるんだもん」

「公式から色々発表されるけど、その度に俺、舞い上がってる」


 ゲームを止め、お菓子タイム。

 一息ついてから、他のゲームの予定。


「和葉ちゃんさ、俺と自然に話せるようになったね」

「当たり前だよ。付き合ってるんだもん」

「最初の頃はさ、凄く俺に敵対心を向けてた」


 あの頃が嘘だったかのように、今では自然に話せるようになった。

 それに、たくさん遊べる。


「俺さ、いつか、和葉ちゃんと暮らしたい。絶対に、幸せにするから。だから、いつか必ず、結婚しよう」


 束の間の沈黙。


「いきなりだね。びっくりしたよ」

「和葉ちゃんのこと、本気で好きだから」

「私も。紘斗君のこと好き。ちゃんとしたプロポーズは、その時に受け取るよ」



 ***


 本当に時間の流れは、とても早い。

 気がつけば、高校を卒業し、就職していた。

 そして、二十四歳の今日は……。        


「いよいよ今日か……。紘斗、おめでとう」

「まさか、紘斗に先を越されるとはね。おめでとう、紘斗」

「ありがとう。水希(みずき)君も晶楽君も、忙しいのに来てくれて、ありがとう」


「新婦様のご準備が整いました。新郎様は、こちらへどうぞ」


 スタッフの方に案内され、俺は、和葉ちゃんが待つ部屋へ。


「うわーお。めちゃくちゃ綺麗だよ。和葉ちゃん」

「紘斗君も、凄くカッコいい」

「行こうか。皆、待ってる」

「うん」


 純白のドレスに身を包んだ和葉ちゃんをリードしながら、チャペルへと移動。


「紘斗君。あの時の私は、きっと想像さえしなかったと思うよ。今は、紘斗君で良かったって、思える」

「俺も、和葉ちゃんを好きになって良かった。今日は、世界中で一番、幸せになろう」

「紘斗君となら、これからの人生が楽しくなるね。高校の時は、皆、反対していたけれど、私は、紘斗君を信じていたから」

「皆じゃない。水希君と晶楽君、小牧先生。兄貴だって、応援してくれてた」

「そうだったね」


 十月の秋空は、高く澄み渡り、今日の晴れ舞台を、祝福してくれているよう。

 閉められた扉の向こうで、俺は、和葉ちゃんに永遠の愛を誓う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ