十一、GO! 東京!
その日の夜。『KiRa公式サイト』、『KiRa公式Twi○ter』にて、晶楽君のことと夏ツアーの中止が、発表された。
『それじゃあ、紘斗君も見たんだね』
「見たよ。兄貴から聞いたんだけど、水希君が『二人で行うライブじゃなきゃ、意味がない』って、スタッフに言ったんだって」
『二人でかぁ。カッコいいね』
「男だけど、惚れ惚れしちゃうよ」
サイト等々を見たあと、和葉ちゃんと電話で話すけれど、いつも聞く声とは違い、涙ぐんだ声をしている。
『ところで。紘斗君のお兄さんは、KiRaのどういった関係者なの?』
「小牧先生と同じようなもんだよ。名付け親」
『小牧先生にも、連絡行ってるのかな』
「多分ね」
他愛のない会話にはならないけれど、和葉ちゃんと話せてよかったと思う。
『これから、連載してる小説の更新をするの。よかったら、読みに来てね』
「宿題は終わったの?」
『帰ってから終わらせたよ。晶楽君の心配をしながら、宿題してたよ』
「もしかして、全部?」
『もちろん』
そういえば。最近、小説の更新してなかった。
ログインすらしてなかったから、久しぶりにサイトに向かおう。
きっかけがないと、行動は起こせないし。
***
翌日。起きてキッチンに向かうと、雨音とともに、兄貴と母親の言い争う声。
「朝から何、喧嘩してんの。うるせーよ」
「紘斗、お前だって心配だよな!」
「何が? 俺だって、明日は我が身だけど」
「そうじゃなくて! 晶楽のこと、心配だよな!」
「もちろん。ファンだからな」
お腹痒い。ポリポリ。
「だからさ、俺は、東京に行く!」
「あっちには水希君だっているんでしょ?! あんたが行くことじゃない!」
「俺はKiRaの関係者なんだぞ!」
「ただの名付け親の一人が、なに、関係者面してんの!」
兄貴、東京に行くのか。なるほど。
てか、兄貴には仕事あるやん。
それなら……。
「俺が行けばよくね? 兄貴は仕事あるんだしさ」
俺なら夏休みだし、自由がきく。
「だとしても、水希君の邪魔をするでしょ。晶楽君が、あんなことになったんだから」
「夏休みに思い出なしとか、二学期が思いやられるよ? 俺は」
「そうだよ! 紘斗ならいいだろ! 金なら俺が出すからさ~!」
ドンッ! と、おかずの入った深皿をテーブルに置く。
「全額、悠斗が出すのね?」
「もちろん! 男に二言はない!」
「それならば、紘斗の東京行きは許す! ただし、一泊だけね!」
こうして、俺の東京行きが決まったのだった。




