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追いかけてきたの!?ヴィルヘルムくん!

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心臓がばくばくと暴れ狂うのを抑えて後ろ振り向く。いない。よく走ったぞ私。

思わず近くにあったベンチに深く腰掛けて、深呼吸をする。


「よ、よかった…………」


なにあの天才、美形すぎて怖い。


遠目から見ていた時も別次元の人のような感じがしていたけれど、あのオーラに当てられたらそりゃ鼻血も吹き出るでしょう。

女子たちが彼を見てパニックになるのも仕方ないことだと思う。


実際あの後教室は(興奮した女子生徒の)血の海になっているだろうし……ヴィルヘルムくんのイケメンさを称えてこれらの現象をヴィルヘルム・パニックと呼ぶことにしよう。

そしてもう二度と近寄らないようにしよう。


そう思うと天才くんと目があったような気がしたなんて、なんとおこがましいことだろうか。

よくアイドルと目があったと勘違いすることが多くあるが、きっと私もそのパターンだ。

うわ、そうなると大きな声で挨拶したのも恥ずかしかったな。

とんだ自意識過剰だった。

今日は早く寝よう。


そんな馬鹿げた思考のおかげで大分心臓もいつも同じリズムで動き始めた。

よしよし、さて当初の目的であるあの魔犬に会いに行かなくては。

気合いを立ち上がろうとすると、一気に太陽が隠れたように暗くなった。

首を傾げ徐々に視線を上にあげていくと。


「はぁ………はぁ……。」


肩で息をしているヴィルヘルムくんが私の前で仁王立ちしていた。

いつも澄ました顔をしているイメージからは程遠い姿である。


そんな汗だくでどうしたんだろう。

……まさか私を追いかけてきたわけじゃないよな?

違うよね?ここにいる私以外の誰かに用があるんだよね?


静かにあたりを見回すが、残念ながら誰もいない。

というか彼は私の前に立っているのである。


(絶対私に用があるじゃんよ!!)


恐る恐る再度視線をヴィルヘルムくんに向けると、言い逃れができないほどばっちりと目があってしまった。


完全に逸らすタイミングを逃した泣きたい。


ヴィルヘルムくんはまだ浅い呼吸を繰り返し私を見つめてくるなか、頭をフル回転させてなんとかこの場を脱する方法を考える。


あ、そうだ。

まだ息が苦しそうだし、このベンチに入れ替わりで座ってもらおう。

そして私はそのまま退散しよう。

いいねそれがいい。


そうと決めると若干声が震えながら、恐る恐るヴィルヘルムくんに話しかける。


「あ、あの……座ります?」


「っ!……あ、ああ。」


よし!座るんだな!ならば私は立つ!!

ささ、この猿のことは気にせずごゆっくりどうぞどうぞ。


その思いで腰を上げようとするが、私の動きより素早くすぐ隣に腰掛けるヴィルヘルムくん。

そしてあろうことか私の顔を覗き込んできた。


(畜生!!今更動けない!!)


私を数秒見つめた彼は一度咳払いをすると、小さな声で言葉を続けた。


「き、貴様………名は……」


「へ?」


「名は!!なんという!?」


「ナギサ・カンザキです生きててすみません!!」


いきなり怒鳴られたから思わず生きてることを謝ってしまった。辛い。

しかしそんな私の様子に気づくことなく、満足そうに大きく頷く。


「そ、そうか!ナ、ナ、ナギッ!ゴホッゴホッ!カ、カンザキと言うのだな!!カンザキだな!!カンザキだ!」


「は、はい……カンザキです。」


大きく咽せながら私の名前を繰り返す彼は、どことなく顔が赤い。

やべーよ、これ絶対怒ってるよ。

絶対なにかの罪で訴えるために名前を覚えようとしてるよ。


「お、俺は…ヴィルヘルム・サリマンだ。」


私が冷や汗をダラダラと流して警戒していると、いつのまにか背筋を正したヴィルヘルムくんがなんか自己紹介してきた。


うん知ってる。

というか君を知らない人はこの学園にはいない。


「ぞ、存じ上げております。」


だがそんな投げやりに言えば翌日死体で発見されるかもしれないため、とにかく丁寧に言葉を返すとびっくりしたように目をかっ開いて私を見つめる。


「っ!俺を知ってるのか!?」


「ま、まぁ……はい。」


「そ、そうか!知ってるのか!!そうかそうか!!」


うわっ、急にニコニコしてきた怖っ!

しかもこれ互いにコミュニケーション能力がなさすぎて話が広がる気がしないんだけど!

なにこの地獄!!


ジリジリと近づいてくる天才に命の危険を感じた私はすかさず立ち上がり、思いっきり頭を下げる。


「すいません!!」


「…え?」


「き、気に触ることをしてしまったのであればどうかお許しを!!そして今日はどうしても()()()()()()()()がいるので一度失礼します!!」


「な、何を言って?ん?会いに行きたい子……?」


「本当すみません!!処罰なら後日受けますので!!靴とか舐めますんで!本当すみませんでしたぁあああ!!」


最後はほとんど言い逃げで、全速力でその場を離れる。

目指すは私の楽園、裏庭。

待っててワンコ。今行くぞ。
























遠のく彼女の背中を呆然と見送りながら、先ほどのやりとりを何度も思い返す。


やっとだ、やっと見つけた。

シオンと組めばすぐに見つかるとタカをくくっていたが、実際にはそんなに上手くは行かず。

俺の魂が彼女の存在を求めて夜も充分に寝られず、あのまま行けばきっと廊下とかで突然倒れてしまうぐらいのストレスを溜め込んでしまっていただろう。


そんな中あの綺麗な瞳と目があい、全てが吹っ飛んだ。

身体に雷が落ちたように衝撃を受け、胸の内にマグマのような熱い熱い激情が迸った。


間違いなく、彼女だ。


緊張から喉はカラカラだし、彼女の姿を目に焼き付けようと瞬きをしなかったため目はカサカサに乾燥している。

だが後悔はしていない。

スマートに会話はできなかったものの、彼女の名前を知ることができた。


ナギサ・カンザキ。

なんと可愛らしい響きだろうか。


名前で呼ぼうとしたら俺の心臓が悲鳴をあげて思わず咽せてしまったため、しばらくは苗字読みで慣らしていこうと思う。

それに俺の名前を既に知ってくれていたことにも驚きだ。


それってつまり、す、少なからず興味を持っていてくれているということでは?

なんだそれ嬉しすぎて死ねる。


「ああくそ!!なんだあの女神!!」


誰も見ていないのをいい事に頭を抱えて唸る。

そしてふと彼女が言っていたあの台詞が頭をよぎる。


「会いに行きたい子と言っていたが、一体?………まさか!」


何かを思いついたヴィルヘルムくんは爛々と瞳を輝かせ、急いで別ルートである場所に向かった。

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