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あの子に会いたい!ヴィルヘルムくん!


いつもありがとうございます!


ブックマーフ登録、そして評価いただきましてありがとうございます!

舞い上がるほど喜んでおりますっ!


これからヴィルヘルムくんが本気を出していきますので、よろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております!



スパーンッ!



そんな軽快な音とともに教室のドアが開けると、授業を受けていた生徒全員の視線が向けられる。


「「「きゃああああああああ!!ヴィルヘルム様ぁああああああああ!!」」」


一気に騒がしくなる教室に顔をしかめるが、それどころではない。

知恵を貸してくれるであろう親友を無言で探すが……おいおいなんだここは。

猿ばっかりじゃないか。


(もう面倒だ。)


「どけ。」


「はいすみません!!」


近くに座っていた男を睨みつけて起立させる。

そのまま椅子の上に立って大きく息を吸い込み、きっと今の俺の姿を笑って眺めているであろう男の名を叫ぶ。


「シオンーー!!!どこだー!!」


「うっわやめてよ。恥ずかしい。」


……思った以上に近くにいた。


想像通りニヤニヤして俺を眺めているこの男の名は、シオン・ハリベル。


白い髪に白い肌、赤い瞳。

世間的にはアルビノと呼ばれているらしいが、知ったことではない。


早歩きでシオンに近づき、奴の肩に手をかける。

ようやく俺の様子がいつもと違うことを察したのか、怪訝そうに顔をしかめた。


「なに?どうしたのヴィル?」


「手伝え。まずはどこの誰かを知る必要がある。」


「は?一体なんの話してるのさ?」


「いくぞ。」


「本当珍しく興奮してるね。まぁ、面白そうだし付き合うよ。」


「ま、待つんだ君たち。授業の途中だぞ…。」


呆然としていた眼鏡教師がビクつきながら口を挟んできた。


なんだコイツ。黙らせてやろうか。


そう思い指先に魔力を込めて魔法陣を発生させようとすると、その前にシオンが指を鳴らす。

少量の煙が上がると、その場にシオンに瓜二つの分身が姿を現した。


「ご心配なく。僕の片割れが授業を受けるんで大丈夫ですよ。」


「確かに名案だな。俺の片割れも置いていこう。」


「いやいや!!そういう問題じゃないって!」


「黙れ猿。俺の邪魔をするな。」


まだうるさい教師の口を魔法で縫い付け、ため息を吐いたシオンの手を掴み乱暴に教室のドアを開けた。





















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











場所は変わってカフェスペース。

今は授業中のため誰もいないここなら、存分に話をすることができる。


「あ、そうそう。お師匠に黙って禁断魔法を使ってみた感想は?」


「ああ、いい暇つぶしになった。」


「それはよかったよ。あのまま姿を見せなかったら一応探しにいこうかなって思ってたんだ。」


「………嘘だろ。」


「えー酷いなー…まぁ確かに思っただけだけどね。天才魔法使いのヴィルヘルム・サリマンが可愛い犬になっちゃいました!なんて最高のネタじゃん。」


あの日、とてつもなく暇していた俺たちは師匠に黙って上級魔法使いしか認められていない魔法生物への変幻魔法を試した。


理由は単純明快、ただの好奇心である。


シオンはうまく魔法が発動しなかったが、俺は見事に魔犬にへと変幻することができた。


「それにしても笑ったね!まさかヴィルが魔犬とはいえ犬に変身しちゃうとは。しかもそのままどっかに走っていっちゃうんだもん。僕も今度もう一回挑戦しようっと。」


「やめとけ。死にかけるぞ。」


「え?嘘!死にかけたの?」


「体内の魔力がうまく循環しなくなって危ないところだった。」


「えーやば!あ、でもそっか。急な変化についてこれなかったんだね。どんまいじゃん。」


「だが俺はそのおかげで運命的な出会いを果たしたんだ………。」


頬杖をつきながら俺に相槌を打つシオンに顔を近づける。


「誰に会ったの?」


「女神だ。」


「………は?なんて?」


フリーズするシオンを尻目にもう一度あの女を思い出す。


同じ黒い髪を持ち、真っ直ぐに俺を見つめてきたあの瞳。

俺の体調(正確には魔犬の体調)を気遣い、他の雌猿とは比べ物にならないほど謙虚でお淑やか(正確には少しビビってオドオドしていただけ)だった。


そして彼女の隣はなんとも居心地が良く、心が踊った。


「彼女が俺を撫でると嘘のように身体のだるさが消えて助かったんだ。しかもその撫で方がなんとも……こう……いい感じでな。」


「へぇどうやったんだろう?変換系魔法かな?珍しいね。」


「しかも今日も俺の様子を心配して見にきてくれてな、俺がスモークターキーを口にすると嬉しそうに微笑んでいてなんだかすごく女神だった。」


「言葉すらうまく喋れなくなったの?しかも顔が凄いことになってるし、いつもの調子はどうしたのさ。……というか女神がスモークターキーなんて持ってたんだ。超ワイルドじゃんウケる。それでその女神がどうしたの?」


「そ、それで……。」


自分でも頬が熱くなるのを感じながら、思いの丈を打ち明ける。


「その……今度は人間として直接会って……は、話がしたいんだ。」


「……へぇ?話すだけ?」


ニヤニヤと笑いながら先を促すシオンに若干腹が立ちながらも、今一度自分の気持ちを再確認する。

大きく息を吸い込んで、そのままの勢いで己の率直な気持ちを叫んだ。


「会って話をして…………あわよくば結婚したい!!」


「………くくくっ…あっはっは!!本気で!?やばいね!ぶっ飛びすぎ!!欲望丸出し!!あっはっはっ!死ぬ死ぬ死んじゃう!」


女子のように顔を赤らめながら勇気を出して白状したのに、なぜか大爆笑された。


(なんとでも言え…。)


だが俺の直感…というか犬としての本能というか…そういうものがあの女を逃すなと全力で警鐘を鳴らしている。

親父も母親に出会った時には稲妻が全身を駆け抜けるような衝撃を受け、その後母親のことしか考えられなくなったようだ。


なんてことだ、まさしく今の俺じゃないか。


「あーごめんごめん。拗ねないでよ。僕はヴィルに春が来て…くくくっ…本当嬉しいよ。」


「笑いたければ笑え!!とにかくあの女神がどこの誰なのかを突き止めなければならないんだ!手伝え!!」


「くくくっ、もちろんだよ!親友の初恋の手伝いができるなんて光栄だね!特等席で拝ませてもらうよ!」


面白半分だとは思うが、この男が味方につけば心強い。

俺の次に優秀な奴だ。

俺とシオンが手を組めば、見つけられないはずがない。


(必ず見つけ出してやる。)


その決意を胸に、差し出されたシオンの右手をしっかりと握りしめた。


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