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聞き込みだよ!ヴィルヘルムくん!

いつもありがとうございます!


またブックマーク登録いただきましてありがとうございます^_^

スローペースではありますが、進めていきますよー。


今後もよろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております^_^


華やかな港町。

照らされる日差しの中、私は幼い少女の手を握りながら店屋の主人の話に耳を傾けた。


「うーん、守り神の伝承ねぇ…そういう話は聞いたことないな。」


「では昔と変わったこととかありませんか?」


「昔より栄えていることは確かだな。あとカップルに人気なスポットが出来たとかで、観光客が増えたぐらいか?」


「なるほど……ありがとうございました。」


「役に立たなくて悪いな。アンタら魔法学園の生徒さんだろう?お隣の小さい子も魔法使いの卵なのか?」


「はは、彼女に至っては卵というか()()()というか…。」


「へぇそりゃすげぇ!見かけじゃ分からんもんだなぁ。ほら、これ食って頑張りな!」


「ありがとうございます。」


目の前に出された真っ赤な林檎を受け取り、そのまま少女に渡す。

ふわりとあどけない表情を浮かべ林檎に齧り付くこの子はなんとびっくり、あのセイレーネスなのだ。

大妖精クオリティで可愛い幼女に変身してもらい、この町に共に海の声の居場所の聞き取り調査をしに来たのだが。


(あまりにもセイレーネス幼女バージョンが可愛すぎて私が誘拐犯に見えそうで怖い。)


そしてそのようなリスクを払っても収穫を得られなかったことに短くため息を吐いた。


「やっぱりなかなか見つからないか。」


海の声の手がかりを求めて数時間。

コミュニュケーション力ゼロの私は人波に揉まれ続けて既に限界を迎えつつある。


「キュ…。」


「大丈夫、諦めたりしないから心配しないで。」


悲しげに鳴くセイレーネスを慰めていると、道の反対側から女性たちの甲高い歓声が聞こえてきた。


「キャー!なにあの人素敵ー!」


「脚長ーい!肌が超綺麗!しかもとなりにいる女の子も美人よね!どっかのセレブカップルかしら!」


セイレーネスを抱き上げつつ女性たちの隙間から様子を伺えば、女性たちに囲まれてデレデレに頬を緩ませているワイパーくんと面倒臭そうに眉を潜めたヴィルヘルムくんの姿を捉えた。

そして彼らが姿を現したことで私は見事道の端へピンポール玉のように弾き飛ばされ、放置されていたゴミ捨場に突っ込む。

なんとかしてセイレーネスがゴミまみれになるのは防いだが節々が痛い、そして解せぬ。


「キュキュ!?」


「大丈夫かお嬢ちゃんたち!?それにしてもすげぇな…なんかの有名人か?」


「はは、あ、ある意味では…」


セイレーネスを地面に下ろして腰をさする。

相変わらずのヴィルヘルムくん人気にもはや感動すら覚えていると、こちらに気がついたヴィルヘルムくんがデレついているワイパーくんを置き去りに長い脚で人波を掻き分けてくる。

そしてゴミまみれの私の手を迷うことなく掴み、立ち上がらせてくれた。


「大丈夫か?怪我は?」


「え、あ、はい?」


「なんだお嬢ちゃんの彼氏か?駄目だろう彼氏、彼女から目を離しちゃ。そのうち愛想尽かされちまうよ。」


「へぁ!?」


なんてことを口走りやがっておられるのですかこの死に急ぎ野郎。


恐怖で顔から血の気がたちまち消え失せ立ちくらみでフラつくと、ヴィルヘルムくんはあろうことか私の腰を支えながら焦ったように口を開く。


「…俺が悪かった。もう目を離さないから。」


「「「イヤァアアア!!」」」


(イヤァアアア!!イケメン怖いぃぃい!助けてぇええええ!)


女性陣と同じように悲鳴を心の中であげながら固まると、ヴィルヘルムくんはさらに続ける。


「それに顔色も良くないな…太陽の日差しに当てられたか?少し休憩した方がいい。」


それ、猛烈な殺気が四方八方から突き刺さってるせいだから。

もっと言えばキミが離れてくれれば解決することだから。


だがそんなことを言う元気もなければ度胸もない。

ただ無言で左右に勢いよく首を振る私になにを思ったのか、近くにいたお兄さんが口を開く。


「あーあ、彼女の機嫌を損ねちゃったな色男。でもでも知ってるか?この先の岬に休憩スポット兼デートスポットがあるんだぜ?なんでもその場所で愛を示せばお優しい()()()が祝福してくれて幸せになれるってもっぱらの噂だ。」


「あ、愛を示すっ!?」


「………へぇ。それは、いいことを聞いた。」


なんかとんでもない勘違いをしていらっしゃるのでは!?


急いで弁明しようと口を開けば長く人差し指で口元を押さえられ、彼はそのまま私の耳元で囁く。


「俺に考えがある。このまま行くぞ。」


はい?


頭の中がハテナマークの大洪水になっていると、女性陣の壁をなんとか切り抜けたワイパーくんが苛立ちげに声をあげる。


「おい!」


「あぁ、丁度いいところに。馬鹿で哀れな貴様に頼みたいことが出来た。」


ヴィルヘルムくんは素早く私の足にへばりついていたセイレーネスを剥がして、ワイパーくんに押し付ける。


「俺はこれからカンザキとでは特別な場所に行ってくるから、ソイツは貴様が面倒を見ておけ。」


「はぁ!?」


「キュ!?」


「着いて来たいなら別に構わんが…来るならシオンに声をかけて来い。アイツなら近くのスイーツ店にいるだろうし、()にオススメされた場所があるといえば楽に誘えるだろう。」


「な、なんでシオン・ハリベルを?」


「さぁ待たせたカンザキ。歩けそうか?」


「い、いや、あの?」


「って聞けよ!」


「……キュ。」


「うぉ!?引っ張んなよ!どこ連れてくんだ!?」


セイレーネスに引っ張られながら走り去るワイパーくんを呆然と見送り、ヴィルヘルムくんに支えられながら歩く。


すると女性陣の中で数名私たちの後に続こうと足を動かした子をヴィルヘルムくんが睨みつける。


「邪魔するなら海に沈めてやる。」


「「「キャアアアア!素敵ィイイイ!」」」


どこがだよ。


そのヴィルヘルムくんの一言が効いたのかどうなのか、なんと誰一人後ろを着いてくることなく私たちは教えてもらった岬へとたどり着いた。


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