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話を聞いてよ!シオンくん!

いつもありがとうございます!

間が空いて申し訳ありません…


ブックマーク登録いただきありがとうございます!

今後もスローペースとはなりますが進めていきますので、よろしければブックマーク登録、評価、感想などお待ちしております^_^


「「キャーー!シオン様ぁああ!」」


「どうもー。」


女の子たちの歓声に適度に答えながら学園内で人気なスイーツを食べる。

甘党である僕にとってこの時間は至福の時と言っても過言ではない。

だからこそ。


「学食のデザートでこの出来、本当に素晴らしいよ。………で?君がこの有意義な時間に乱入してまで伝えたいことってなにさ。」


目の前で凄まじい勢いで落ち込む親友が非常に鬱陶しい。


「聞いてくれるのかシオン。」


「後でならいいけど。」


「頼む。このまま話せずにいると、どうにかなってしまいそうでな。」


「その件についてはもう手遅れでしょ。特に頭。この有意義な時間を割いてまで話を聞くほど、僕は暇じゃないんだよ。」


「………パフェ追加でどうだ。」


「一体どうしたんだい僕の親友。なんでも話を聞こうじゃないか。」


財布からお金を出して特大なパフェを注文する僕の友であるヴィルヘルム・サリマン。

高飛車な性格が災いして人間関係はすこぶる悪いが、才能に自惚れることなく努力を重ねる自他共に認める最強の男。


かつては「低レベルな雌猿は一年を通して発情期なのか。」と吐き散らし、名家の恋するご令嬢をことごとく撃沈させたこの男がまさかこんなに落ち込む日が来ようとは。

人生分からないものである。


僕の言葉にホッとしたように息を吐いたヴィルは、その特徴的な紫の瞳を揺らしながら事の顛末を話し始めた。


「カンザキが中間試験の準備をしているんだが、そのパートナーが男でな。」


「へぇ、そうなんだ。まさか彼氏だったの?」


「俺もまさかと思って調べた結果ただのクラスメイトだった。」


「仕事早いね。でも良かったじゃん。」


「だが俺とは比べ物にならないぐらい親しげで……これだけで腹わたが煮え繰り返りそうなのに、カンザキは俺を抜きにして2人きりで会おうとするんだ。」


「……へぇ。」


その時の光景でも思い浮かべているのか苦しそうに顔を歪めるヴィルの表情を見て、驚いた。

なんでもできるヴィルが他人に嫉妬するようになるとは、人間変わるものである。


「それが許せなくて辛くて…」


「………プッ。」


「?どうしたシオン。」


「い、いいよ…続けて。」


「……まぁその、大人気なく態度にも出てしまってカンザキを困らせ、挙句その男にカンザキに嫌われるかもとまで言われ冷静さを失った俺は……」


「俺は?」


机の上で手を組み、至極神妙な顔つきでヴィルは言葉を続けた。


「気づいたら腹を見せて全面降参していた。」


自信に満ち溢れたこの男が、腹を見せて降参…だと……?

思い描いたその瞬間、押さえ込んでいた笑いが爆笑となって爆発した。


「あっはっは!!ごめんもう無理!想像しただけで死ぬほど面白いよ!!犬じゃん!ただの犬じゃん!!」


「笑いたければ笑え。全然男らしくない行動を取って……俺はもうダメなのかもしれん…。」


沈むように机にひれ伏したヴィルは深くため息を吐き、人目も気にせず果てしなく落ち込んでいる。

なんて珍しい貴重な姿だろうか。


あまりの落ち込みように若干憐れに思えてきた僕は、笑わないよう表情を引き締め彼の肩に手を置いた。


「はー、ごめんごめん。そんなになるまで思える女の子がいるなんて幸せ者じゃないか。カッコ悪くたっていいと思うよ。」


「シオン…」


「だったら今度の中間実技試験でヴィルの良さを見せつけてやればいいじゃないか。僕も協力するよ。それに…は、腹を見えたのは魔犬のクロだから…ククッ!ギリギリセーフでいいんじゃない?」


「………そうか。」


「それにヴィルがカッコ悪いと幻滅するような女の子なのかい?ターキーガールは。」


「そ、そんなことはない!」


「よかった。なら安心」


「むしろカンザキの方が男らしいところが問題で…。」


「へ?」


途端にモジモジし出したヴィルは頬を赤らめ、生クリームのようにデロデロになった表情で呟く。


「結構本気で相棒解消されるのかと思って半泣きだったんだが、そんな俺の顔を見たカンザキがその男の顔面に一発拳をめり込ませてこう言ったんだ。「私のクロを泣かせる奴はどんな奴だろうと沈める。」と。」


「お、おぉ…。」


「しかも「クロのパートナーとして恥ずかしくないくらい立派な魔法使いになるためなの。寂しい思いをさせちゃってごめんね。私は絶対にクロを置いて行ったりしない。ずっと一緒にいようね。大好き!」って!!しかも最後の大好きは若干顔を赤らめせて!!なんだあれは!!可愛いくて勇ましいなんて俺は一体どうすればいい!!」


机に頭を打ち付け発狂するヴィルを横目で見ながらあの少女を見直した。

ただオドオドしているだけなのかと思ったが、どうやら芯を持った人間のようだ。

ヴィルが惚れるだけのことはある。


「それはヴィルも頑張らないとね。」


「もしやあれが逆プロポーズ…!?」


「おーい戻ってこーい。」


最強のヴィルヘルム・サリマンは見る影もないが……面白いしいいか。


運ばれてきた追加のパフェを食べて糖分を補給しながら、この浮かれ頭をどうサポートするか考えを巡らせた。

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