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薄幸少女の終活  作者: 夕暮れ
病院編
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ごめんねすぐに来れなくて(sideライラ)

前作を読んでくださった皆様、そしてブクマをしてくださった皆様ありがとうございます。アドバイス、ご要望などがあれば気軽に感想等お願いします。

 海外で活動をし始めて3年とちょっとが経って、そろそろ娘達が恋しくなってきた時、日本から一本の電話があったわ。


 普段は忙しくて取れないけど、今は比較的落ち着いてる..........いや私達夫婦が落ち着かせたから取れた。


 でもこの電話を取った時ほど、海外に来たことを後悔したことはないわ。


 私の可愛い娘達、その中でも元気に産んであげられなかったシキがあんなことになるなんて........。


 しっかり者で優しくて、自分の置かれた境遇を跳ね返すほどの力を持ったシキが自殺未遂をするなんて。

 

 自分の大切な子供が、愛する娘を傷つけられて平気な母親がいると思うの?絶対にいないでしょ!!


 イロハから聞く限り犯人に報復はしたし、学校側には私は行けばいいけど、シキが無事かどうかが心配。


 あの子は自分でなんでも背負いこむから大丈夫かしら?


 イジメなんて受けて心がちゃんと生きてるかしら?


 あの子に限ってそんなことはないと思うけど、それでも心配してしまうのはやっぱり私があの子の母親だからかしら?


 だから私はすぐにでも日本に帰る支度をした。上司にはここでの功績を盾に無理やり休みを取ってきた。もちろん旦那も一緒に行くわ。


 待っててシキ。お母さん今から行くね。


 ――――――――――――――――――――――――











 やっと日本に着いたわ。相変わらずここはジメジメしてるわね。


 さてまずは家に帰って荷物を置いて、イロハを待つべきかしら?そしたら多分シィアも帰ってくるはずだわ。


 ..............うんやっぱり家が1番ね。あの時から何も変わってない...........ん?ちょっとシキに関するものが減ってるかしら........?写真だって無い。服とかはあっちに持って行ってるはずだから分かるけど、なんか物が全体的に少ない気がするわね..........?


「ねえあなた?私達の家ってこんなに寂しかったかしら?」


「いや?俺達がいた時よりも物が少なくなってるな」


「そうよね..........」


 まぁ考えるだけ無駄でしょうから、まずは荷物を私達の部屋に片付けてきましょうかね?


 ――――――――――――――――――――――――















 ふぅ荷物も整理し終わったし、あとは2人を待つだけね?


「ただいまーー!!イロハねぇ帰ってるの?」


 ちょうどいいタイミングね。あの声は少し変わってるけどシィアね。元気でいてくれたかしら?でもごめんね?思わず夫婦2人で笑ってしまったわ。シィアは変わらないわね?


「イロハねぇどこいるの?リビング?..............え!?お母さん!?お父さん!?どうしたの急に帰ってきて!?」


「お帰りシィア。イロハから電話がかかってきてね、出来るだけ早く帰ってこようと頑張ったんだけどここまで遅くなっちゃた。ごめんね、辛い時にそばにいてあげられなくて」


「お帰りシィア。お父さんもごめんな、仕事ばっかりで家のことできなくて........」


「...........ううん大丈夫。だって1番辛かったのはお姉ちゃんなんだもん。..............私が泣いたって仕方ないもん。お姉ちゃんが怖い思いしたのに、私が泣いちゃうのはおかしいだもん」


 シィア..........この子も自分を責める子だったわね。この子に責任なんてないのに、悪いことなんてしてないのに自分で背負いこもうとする。


 この子も優しい性格をしてるけど、今回はそれが裏目に出ちゃったわね。


 本当の母親ならいつもそばにいて、悩みを聞いてあげて、一緒に悩んであげるのが正解なんだろうけど、私じゃそれはできない。


 1番そばにいてあげないといけない時にいられなかったから、今回のその役目は多分イロハがするべきだと思うわ。


 私はその場にいなかったから言えることなんてない。目の前でシキが倒れている姿を見てないのに、シキについて言ってあげられることなんてない。


 でもこんな私でもシィアにやってあげられることがあるわ。


 それはシィアを泣かしてあげること。多分シィアは強い子だからシキの目の前やイロハの目の前ではそんなに泣いてないはず。泣いたとしても、シキが病院に運び込まれた初日だけだと思うわ。


 自分の中だけで悲しい感情を押さえ込んで、発散ができないまま今まで過ごしてきたんだと思う。


 誰かに打ち明けることでスッキリすることもある。今回は私はその役目をしようと思うわ。


 だって私はシィアの母親ですから。母親には母親にだけ出来ることがあるから、それをすればいい。


「ねえシィア、こっちおいで」


 制服姿のシィアをこっちに呼び寄せて私の隣に座らせる。そして私はシィアを抱きしめる。


 ビクッと身体が震えるけどそんなの関係ない。


「シィア?我慢しなくてもいいわ?ここにはお母さんとお父さんしかいないわ」


「................。」


「大丈夫。そんな悲しい顔してたらシキが困っちゃうわよ?だからここで発散しちゃいましょ?」


「..............いいの?........私泣いてもいいの?..............強がらなくてもいいの?」


「いいわよ。私はシィアのお母さんなんだから、うんと甘えていいわよ?」


「...........うん」


 それからシィアは大声で泣いた。お姉ちゃんごめんなさい、守れなくてごめんなさい。怖い思いさせてごめんなさい。全部私が悪いのってシィアは言ってるけど、そんなことない。


 悪いのは全部シキをいじめた人達。シィアが悪いことなんて一つもないわ。悪いどころかシィアは立派だと思わ。


 人を思いやる優しい気持ち、シキとイロハのためとあまり泣かなかった強い気持ち。私がいなくてもシィアは良い子に育ってくれた。


 イロハとシキがそうやって育ててくれたんだと思うわ。


 だから私はシキをいじめた人達を絶対に許さない。


 私がシキの母親でもあり、1人の社会人としても絶対に許さない。


 今日は時間的にもうシキと会う余裕がないから病院には行かないけど、今のシキを見て私が正気でいられるか正直分からないわ。


 でも私は母親としてシキを守らないといけない。


 だから、シキがどんな状態でも受け入れる覚悟はできてる。1番はなんともないのがいいけど、多分それはないわ。


 まだ大粒の涙を流しながら叫んでいるシィアを見ながら私は一つのことを決意する。


 今度こそ私がシキを守ってあげるから、だからシィア?イロハ?もう自分を責めるのはやめてね?もしそれでも、誰かを責めたいならお母さんを責めなさい。


 それが私に出来る唯一のことだから。



翠宮ライラさん(母)が名前付きで登場しました。両親は海外で不在でしたが、子供が自殺未遂をしたのの帰ってこないのは不自然なので、ここで登場しました。次のお話もまた視点が変わりますのでよろしくお願いします。

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