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薄幸少女の終活  作者: 夕暮れ
高校編
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私の第一印象(side魅音)

 私がシキさんに会ったのは初詣の日。ひばりと一緒にお参りに行ってたらシィアを見かけてその隣にシキさんがいた。


 長い白髪に華奢な身体、パッチリとした大きな赤い目そして真っ白な肌。最初から私はずっとシキさんから目を離せなかった。


 それぐらいシキさんは綺麗で美しかった。でも儚い雰囲気も受け取れた。何がシキさんをそんな風に感じさせてのか分からなかった。


 でも話してみて分かった。シキさんは声を出すことができない。そしてトラウマ持ちである。これらがシキさんを儚くしてるとその時は思ってた。


 その日はそこそこ話してシキさんと別れた。それからシィアに詳しく聞いたらシキさんは1歳年上のお姉さん。両親が海外に行ってからは文字通りシキさんが母親代わりだった。


 甘やかしてくれるのも、優しくしてくれるのも、叱ってくれるのも、泣いてくれるのも全部シキさんがしてくれたらしい。


 正直私はそれを聞いて嫉妬した。私にもそんな姉さんがいれば良かったのにって思った。


 それから事あるごとに私はシキさんについてシィアに聞いてた。高校はどこに行ってるかとか、好きなものは何とか、趣味は何とかいろいろ聞いた。


 でもシィアはあまり教えてくれなかった。その時はシキさんを独占したいんだなって思ってて少しムッとしてたけど違ったんだね。


 シキさんのことは誰にも言えなかった。言う方も聞く方も傷つくって分かってたからシィアは何があってもシキさんのことを言わなかったんだね。


 それから時間は経って、その年の5月シキさんが入学してきた。


 正しくは編入だけどシキさんが私のクラスに来た。シキさんが教室に入った瞬間から何か空気が変わった気がする。緊張感を持ちながらもどこか安心出来るような雰囲気。それとは反対で私達を拒絶するようなオーラも纏っていた。


 やっぱりシキさんには何かがきっかけで今の状態になったのではないかと考えるけど所詮は高校1年生。得られる話も限られているから分からない。


 でも多分そう。じゃないとあそこまで明確な拒絶のオーラを出せるわけがない。クラスのみんなも戸惑ってるけど、1人シィアはなにも感じていないのかな?


 そりゃ家族だから拒絶されるわけないしされていたとしても慣れ、だろうね。


 正直私は怖かった。あんなオーラを持ってたのはシキさんが初めてだったし、それを間近で感じたのもシキさんが初めて。


 前に立ってペコリと頭を下げてすぐに名前を書き出したのはとても可愛いかった。少し怯えてたのかな?みんなシキさんに注目してるのに誰とも目を合わせないし、少しソワソワもしてる。


 思わず守ってあげたくなるような、母性をかきたてられるような子だった。拒絶のオーラは自分を守るためにシキさん自身が意図的に作ってそう。じゃないと私はこうは思わないから。


 それから私はあまり話したことはない女子がシキさんに話しかけた。なにを話してるかは分からないけど、話しかけた女子が申し訳なさそうにしてるから何かあったんじゃないかな?


 それからの質問タイムは平和に終わって放課後。シキさんと一緒に帰れるようになって嬉しかった。シキさんの心に土足で踏み入るようなことをしてしまうかもだけど、私は気になった。


 シキさんは年齢相応には見えないから。なにがあってそうなったかを知りたかった。だから放課後どこかのお店に入ってゆっくり聞きたかった。


 タイミングよく誘いの言葉は出たけどダメだった。


 そりゃシキさんのことを考えたら外で話すなんて無理だよね。


 そう思ってたらシィアから家で話そう?って逆に誘われて驚いた。でもこんなチャンスは逃せないからその言葉に甘えさせてもらう。


 家に招待されていろいろ話した。シキさんはアルビノだから不便なことが多いらしい。


 たしかにそうだよね。紫外線に弱いからきちんと対策しなきゃいけない。それに虚弱体質だって聞いたから、余計にシキさんが儚い存在と思えた。


 シキさんのことをばっかり聞いてたら失礼だから私も自分のことを話す。


 シィアとはいつ出会って、どんな友達なのか。趣味とか好きなものとかも話した。


 いっぱい話したから本題に入っても大丈夫だよね?これだけ話せば私がシキさんと親友になりたいって思ってくれるかな?


 そこから聞いた話は私が思ってたよりも残酷なものだった。シキさんは記憶喪失で何も覚えてなかった。なんとか思い出した記憶がこれ。


『私が思い出したのはたった一場面。密室に閉じ込められた私が6人以上の怖そうな男の子に囲まれて殴られて蹴られて叩かれて髪を引っ張られて、抵抗したらまた殴られて、抵抗しなくても殴られて、動けなくなるまでずーっと暴力をふるわれたの。もちろん私も逃げようとしたけど捕まえられてまた殴られたの。そして私が完全に動けなくなるまで暴力をふるったらロープで私の両手と両足を拘束されて目隠しをされて、口も封じられたの。それから制服を上下どっちも破かれて身体中を触られたの。多分写真も動画も撮られたし、結構長い時間身体を触られたの。..........ジックリとね。前の私はそれが耐えられなかったんだ。いつも頭の中にあるのはその光景。目を瞑ったらまるでまたその地獄を味わってるような感覚になってたんだって。だから私は自殺したの。ただそれが失敗して全部の記憶を無くしちゃったの。良いか悪いかなんて分からないね』


 これを聞いた瞬間私は、シキさんにこれを思い出させてしまった後悔と今まで感じたことのない怒りを覚えた。


 そして私は泣きながらシキさんを抱きしめた。


 私には分からない!なんであんなことされたのに笑ってられるのか分からない!!


 シキさんにもひばりにもなだめられたけど全然落ち着かない。


 でも分かったことがある。これだからシキさんは他人が怖いんだ。男子が怖いんだ。他人が怖いから拒絶したい。近くに来ないでほしい。そんな思いがあのシキさんを生み出したんだろうね。


 正直言って私はシキさんが最初は怖かったけど今は違う。大切な友達で守ってあげないといけない存在。


 たとえそれをシキさんが望んでいなくてもしてしまう。


 だって同じ女子としてシキさんを放って置けない。


 こんな悲しい目にあったのなら今からの人生くらい幸せに送ってほしいと願ってしまうほど、もう私はシキさんという存在を自分の中に入れてる。


 血が繋がらなくて、同性で結婚できなくても私はシキさんと「家族」になりたい。


 形式上のではなくて、心と心が繋がった大切なものになりたい。


 あぁこれを一目惚れっていうだろうね。


 多分あの初詣の日に会った時から私はシキさんのことが好きだったんだろうね。


 恋愛的な意味でも友達的な意味でも。


 恋愛的なのは叶わないだろうけど、それでも私はシキさんの隣にいたい。


 シキさんの隣にいてシキさんと笑いたい。時には後ろにいてシキさんを支えたい。時には前に出てシキさんを私の背中で守りたい。


 多分迷惑..........だよね?シィアがいるのに、そこに私も入るなんてダメなはず。


 でもね私は自分に嘘をつきたくない。行動しないで後悔するくらいなら、行動して後悔した方が何倍もマシ!!


 ねえシキさん。こんな私だけどあなたの隣にいていい?どんな時でもあなたの味方になってもいい?





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