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第14話 「地下室の探索」

連続婦女暴行事件の解決の為に犯人のアジトと思われる裏通りの宿屋に侵入したブラッドとヴァイスハイト達、出入り口に部下を待機させて地下に通じる扉から青い宝石が付いた変化の指輪が保管されている部屋にたどり着き、さらに探索を行うと本棚から奥へ通じる隠し扉を発見する、そして二人がそこで見たモノとは…

夜のメイ・アンガー裏通り、デイクロニクル新聞社・社長ブラッド・パイソンと竜の遠吠え亭のマスターであるヴァイスハイト達は、犯人が潜伏しているとされているアジトの宿屋にたどり着く、そして

犯人が外出したのを見計らい内部に潜入、いくつかの罠を掻い潜り地下の隠し扉を発見した


ブラッドは隠し扉を開けると、そこには牢獄だった…中央の通路を挟むように両側には鉄格子の扉と檻が有った、ヴァイスハイトは「暗視」の能力で慎重に中を覗き込むが中は誰もいない、空の牢屋を見渡しながら奥へと進んでいく…

「こいつは酷いな…」

幸い牢屋の大半は空であったが、もしかしたらこのようなものを必要とする以上、おぞましい行為がここで毎日繰り返されていたのかもしれないと思うと、人間という者の愚かさを改めて思い知るヴァイスハイト、だがブラッドはその思いを否定する

「ヴァイス、アンタが何を考えているかはわかるさ、でもな、こんな奴らばかりじゃない事だって、アンタは知っているはずだろ? あんたは人間の良い部分も知ってくれているだけまだマシなんだ、出来ればそのままでいてくれよ」

「言われるまでも無い、人間の可能性を信じているからこそ俺はアイツに……レベッカについていったんだ」

「ほう……そうかい、それなら安心だ」

「見くびるなよ? 人間、伊達や酔興で俺は魔族の頂点にいたわけでは無い……さあ、そろそろ終点みたいだぞ? 」

そう言いながら牢屋の区画を抜け奥の扉に二人はたどり着いた、ヴァイスハイトは扉に魔法が付与されていないか調べる、魔法がかけられていない事を確認すると、ブラッドが扉を調べる、鍵は二つも付けられていた、余程見られたくないものが部屋の中に在るらしい

「ブラッド、俺の魔法で【開錠】するか? 」

ヴァイスハイトはブラッドに聞くが


「いや、有り難い申し出だが、断っておくよ、魔法に頼って自分の腕を鈍らせたくは無いからな、なに、鍵が二つ三つ増えたところで俺にはたいした問題じゃねえよ」


 そう言うと懐から鍵開けの道具を素早く取り出し作業を始める、一つ目の鍵は瞬く間に開き、二つ目も程なくしてカチャリと金属音を立てて開いた

「よし、開いたようだな……ヴァイス、ちょっと頼みが有るんだが、魔法を使って手伝ってもらえないか? 」

「なんだ? 鍵はもう開いたのだろう? 一体何をする気だ? 」

ヴァイスハイトはブラッドの頼みの真意が理解できなかったが

「ああ、鍵開けの事じゃない、この鍵の部分を魔法で取り出せないか? 珍しいタイプの鍵だったからな、ギルドの連中の技術向上の為にこの鍵を複製したいんだ……まあいわゆる鍵開けの教材だな」

ブラッドのこの言葉に納得し、ヴァイスハイトは指先から鋼鉄をも切り裂くことが出来るほどの高温のナイフを発生させて扉の鍵の周りを四角く囲むように切り裂き、鍵を取り出すと充分に冷却したあとブラッドに渡す

「ほら、これなら持ち運ぶのに困らないだろう? この手間賃は後でレベッカに言って請求書を出しておくからな? 」

ヴァイスハイトから『鍵開けの教材』を受け取ると

「おう、ありがとよ、しかし高くつきそうだな……少し負けといてくれよ? 」

とブラッドは値段交渉を持ち掛けるが

「それはレベッカに言ってくれ、まあ善処はする」

とヴァイスハイトはあっさりかわす

「ハッ、いうじゃねえか……まあ、頼んだぜ? さてと、じゃあ行くとしますか」

ブラッドはそう言うと扉を開けて部屋に侵入する、その先に広がっているのはいくつもの書庫や鍵付きの箱、おまけに如何にも重要な何かが保管されていると言わんばかりの金庫が奥の方にあった


「これはこれは……ずいぶんと豪華な部屋だな、じゃあ早速手前の箱から調べるとするかねぇ……あ、すまんヴァイス、一応妙な魔法が仕掛けられてないか調べてくれ」

「任せておけ、全部調べるのに少しかかる、ちょっと待ってくれ」

ヴァイスハイトはそう言うと魔力を部屋全体に行き渡らせて、反応を調べる……しばらくすると魔力放出を止めた

「罠や警報の類の魔法は施されてないようだ、安心して調べてくれ」

ヴァイスの言葉を聞いてブラッドは手前にあった鍵付きの箱から取り掛かる、罠は無かったようなので

鍵開けに掛かり、数秒で鍵は開き箱をゆっくりと開く、中には書類の束が入っていた、パラパラと捲って中身を確認する

「……過去の取引の帳簿みたいだが、ここで調べるにはちょっと量が多いな、こいつは後で調べるか、他にはめぼしいものはなさそうだな、じゃ他を調べるかな」

そう言うとブラッドは他の鍵付きの箱を手早く開き中身を軽く確認して重要そうな物のみ収納袋に収めると、いよいよ奥にある金庫の開錠に取り掛かる

「さてと、いよいよ本命ってところかな? しかし随分厳重だな、ダイヤル鍵1つに鍵が2つと……早速取り掛かるか」

そう言うと道具入れから聴診器のようなものと先ほど使用していた鍵開け用のL字型金属棒を複数取り出して開錠に掛かる、先ずはダイヤル錠だがブラッドは聴診器の様なものを金庫の扉に当ててゆっくりとダイヤルを回していく……微妙な音の変化を頼りに当たりと思われる数字をメモしていき、一通り目星をつけると今度は2つの鍵に取り掛かる……こちらの方はさほど時間もかからずに開いたようだ、そしてダイヤルをメモの通りに順番に右に、左に、そして右に……と回して金庫のハンドルに手を掛ける

「さてと、これで開く筈だが」

ブラッドはそう言ってハンドルを回すと『ガチャリ』と音を立て、そのままハンドルを引くと金庫の扉がゆっくりと開いていった、そして中には金貨袋と思われる革袋が複数と、書類束が一つ、開封済みの手紙、前の部屋で見た指輪が納められているであろう小箱が整然と積まれている


 だがブラッドが注目したのはその奥に隠れるように置かれていた一つの瓶であった

「なんだ? これは……ヴァイスハイト、ちょっと来てもらえるか? 」

そう言ってヴァイスハイトを呼ぶと中に在った瓶を取り出して見せた





まだまだブラッドとヴァイスハイト両名の探索は続きます。

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