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第13話 「作戦開始」

夕方のメイ・アンガ―大通り、竜の遠吠え亭はいつも通り店を開けている、店内にはレベッカやヴァイスハイト、それに店員のカルディアもいた、いつものように店内は騒がしい


一方その頃…フードの男のアジトの付近に潜むブラッド、ヴァイスハイトとブラッドの部下達が居た


「……本当に便利だな、お前のその【クリエイト・ドッペル】の魔法」

ブラッドにそういわれたヴァイスハイトは僅かに口角を上げるが

「そうでもない…姿やしぐさ、記憶はコピーできてもその能力までは複製は出来ない、余程うまく出来てもその能力はオリジナルの半分が限度だ」

そう答えて真顔に戻り、周囲を警戒しつつ裏通りをブラッドと共に進んでいた…

 

 酒場での騒動でフードを被った男を追跡したブラッドの部下の情報によれば、犯人は単独では無く仲間達を裏通りに配置してターゲットを誘導するという、その為ブラッドたちは裏通りにあると思われる犯人の仲間たちが潜んでいるであろう、アジトを目指し移動していた


「しかしだな、そんな便利な能力があるのに何故あの戦争では使用しなかった? 魔王城にドッペルゲンガーを配置しておけば、多少なりとも時間は稼げただろうに」

ブラッドは疑問をヴァイスハイトにぶつける、だがヴァイスハイトはフウっとため息を吐くと

「あのな、あの局面で魔王城に突入する強大な戦力に対し、良くて半分以下の能力の俺の分身を配置しても、大して効果は見込めんよ…それに追撃してくるであろう勇者と対峙することを想定した場合に備えて、魔力は出来るだけ温存するのが当然だろう? 」


 ヴァイスハイトの返答にブラッドは

「なるほど、確かにそれもそうか…」と納得する


「で、部下の情報通りなら、そろそろアジトの近くに着くはずだ、付近に見張りは居ないようだが…そっちは何かあったか? 」

そういってブラッドはヴァイスハイトに尋ねる、ヴァイスハイトはゆっくりと周囲を見渡すと

「いや、魔力の様なものは外側には感じられない、だが僅かだが……あの酒場の裏口から魔力を感じる、それがマジックアイテムか魔術師の物なのかは、この位置では流石に何とも言えんが」

二人とも物陰に隠れて、少し先に見える酒場の様子を窺う、時間が時間だけあって客の出入りは有るものの、賑やかな表通りの酒場とは違い数は疎らだ、だがしばらくすると見覚えのあるフードを被った男が店から出てきた

「出てきたな、後を追うか? 」ヴァイスハイトはブラッドに聞くが

「いや、追跡は部下にやらせる、こっちはアイツの部屋から証拠を見付けなきゃならないからな」

と通りの反対側に待機させた部下に指示を出して後を追わせた

「さてと、正面から入るわけにもいかんからな、裏口へ向かうぞ」

ブラッドの言葉にヴァイスハイトは頷き二人は酒場の裏口へ向った、扉の前に到着すると

ヴァイスハイトは扉を視る

「…やはり防犯系の魔法が施されているな、恐らく無理に扉を開けようとすると作動する警報系の魔法だろうな、複数施されている所からすると、【警報音】と【フラッシュ】の魔法か…」

ブラッドは周囲を警戒しながら「罠の解除は何でもないんだが、魔法は厄介だな、解呪できるか? 」

とヴァイスハイトに尋ねる

ヴァイスハイトはフッと笑みを浮かべると「愚問だな…この程度なら詠唱の必要もない」と

手のひらに魔力を込めると扉全体を覆うように魔力をめぐらす、この時カウンター系の魔法が施されていれば厄介だったが、幸運にもそのようなものは無かった、しばらくしてカチリと閂が開く音がする

「ふむ、少々歯ごたえが無かったな、一応カウンター魔法に対して備えておいたのだが無駄になったな…おいブラッド、ついでだから鍵も外しておいたぞ」

呼ばれて扉を調べ、ゆっくりとドアノブを回す、確かに鍵も外されているようだ

「…なるほどねえ、本当に便利だなその魔法、たまにはウチの仕事もやってみるか? 」

小声でそう言うとブラッドはゆっくりとドアを開けて中に入り、物陰に潜むヴァイスハイトも後に続き物陰から正面入り口の方向を視ながら

「あいにく盗賊家業は性に合わん、あくまでも俺は冒険者酒場のマスターだ、見込みがある奴なら一人知っているがな」そういって【暗視】の能力を使い

当たりを見渡すと、二階へ続く階段を見つけ、地下へ通じる扉も発見した、ヴァイスハイトは

「セオリーなら地下だが、二階から屋根裏部屋、という線も有るがどうする? 」

とブラッドに尋ねる。

ブラッドは少し考えた後「二階の屋根裏も隠し場所としては最適だが、この宿屋という特性上、二階は客の部屋が有る、人の出入りが多いところは避けるだろう、なら裏口から入り表に気づかれずに出入りできる地下の方が可能性は高いだろうな」

ブラッドの意見を聞いたヴァイスハイトは「なるほど、確かにそうだな」と納得した後

地下室へ通じる扉に向かい【魔力探知】【罠探知】をかけて何も反応がない事を確認すると、ドアに手をかける、が開かない

「む? 鍵が有るのか? しかし鍵穴らしきものは見当たらんな、さっきのように【開錠】の魔法を使ってもいいが…ブラッド、ちょっとみてくれないか? 」

 そういってブラッドと交代する、ブラッドは地下扉を慎重に調べる、そしてドアノブの付近に小さな「金属製の蓋」を見つける、指で簡単に横にスライド出来るそれを動かすと、隠し鍵穴を見つけた

「なるほどね、まあちっとは頭が回るようだな、だが相手が悪かったな……」

そう言って懐からいくつかのL字型の細い金属棒が入った革袋を取り出し2・3本選んで鍵穴に差し込み開錠を始める……そしてすぐに「カチッ」と何かが開いた音がした

「何だか拍子抜けだな…えらく簡素なカギだ、普通はもう少しかかるんだがな」

とブラッドは漏らす

ヴァイスハイトはブラッドの言葉を聞き「そうか、複雑な構造の鍵を開けることも出来る【開錠】でも開くだろうが、それでは割に合わないな」そう言うとブラッドは

「まあ、魔力を温存しておいて悪いことはない、まだ中に何があるかわからないしな……」


ブラッドは地下室へ通じる扉を開け慎重に下りていく、そしてヴァイスハイトも【暗視】の魔法をブラッドに付与して後に続く、出入り口から螺旋状に降りる石造りの地下道を進んでいくと暫くして鉄格子窓の付いた木の扉に突き当たった、ここまでは一本道で脇に隠れる場所はなさそうだ

「…魔力は感じない、魔法も施されてはいないようだ、そう言えば一緒についてきてたお前の部下はどうした? 」

とヴァイスハイトは扉にかざしていた手を放し、ブラッドに向かって問いかける

「念のため部下には裏口に潜ませている、脱出する時に出口を塞がれちゃ敵わないからな」

とブラッドは前に出るとドアノブを調べる、鍵は掛かっているがそれほど時間はかからなそうだ、鉄格子の窓からは【暗視】のおかげで中の様子が見える、中にはテーブル簡素なベッド、それに扉付きの棚が1つ奥の方にあった、ブラッドは早速扉の開錠を始める、少ししてカチリと金属音がしてブラッドがドアノブを回す、扉は少し軋む音を立てつつも開いた

「よし、いよいよだな…ヴァイスハイト、すまんが扉で警戒していてくれ、部屋は俺が調べる」

「手早く頼むぞ、別動隊の方が気になるんでな……」

ヴァイスハイトはそう言って【闇結界】の魔法を使い周囲に張り巡らす。

「任せておけ、扉を開ける前にテーブルには何もないのは確認したからな、あとはあの扉付きの棚しかないな…うむ、罠も無い…」そう言って棚の扉を開けると、同じ形状の箱が複数有った、そしてその箱を一つ取り出し蓋を開けると……

中には青い宝石が付いた指輪が丁寧に10個納められていた

ブラッドは顔をしかめ、唸る

「どうやら横流しってのは本当のようだな、……だがこの量は多すぎる」そう言うと棚に収められている本を一つひとつ調べていく…と最後の方に差し掛かった時、妙に分厚い本が1つ納められていた、

その本を手前に引き出そうとすると、カチリと閂が外れるような音がして棚がドアのように開き、そしてさらに奥へ続く扉が現れた

「やはりな、ヴァイスハイト、もうそこはいいから一緒に来てくれ、いよいよ真相にたどり着けそうだ」

ブラッドは不敵な笑みを浮かべた













色々あって執筆が大幅に遅くなってしまいました、申し訳ありません。

次回も時間がかかりますので気長にお待ちして頂ければ幸いです。

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