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番外編1 聖女の髪飾り

勇者と行動を共にしていた時のエレナの視点です。

※すでに投稿済みですが、流れがおかしいこともあり、順番を入れ替えました。

「昨日レオン様に初めてを捧げたんです。えへへ」

 シャロンちゃんが頬を染め、嬉しそうに語る。何を言っているのかわからなかった。

「え?シャロンちゃん?シャロンちゃんって、義兄さんのことが好きだって」

「義兄さん?冗談言わないでください。あれは家族なだけです。というより、レオン様と比べるとあんな人、全然魅力を感じませんね」

 不愉快そうな顔であっさり言い放ったことに、眩暈がした。

 シャロンちゃんは私より少し年下の輝く長い銀髪が美しい、妖精のような美少女だ。“賢者”のスキルを持った英雄に選ばれたことから勇者パーティーに入った。まだ彼女がなじめなかった頃、最初に親しくしたのが私だった。それ以降私たちは親友と言っていい間柄になった。

 そのシャロンちゃんはかつて私だけに秘密を打ち解けてくれた。それが自分の義兄の想い。義兄をいかに愛しているか語り、この遠征で成果を出して、妹ではなく一人の女として告白するつもりだって目を輝かせて言っていたのに。今のシャロンちゃんは全く違うことを言っている。


 気が付いたら、私は部屋にいた。

 私は荷物から髪飾りを出した。白い花の髪飾り。宝石を使った高価な髪飾りで初めてシャルがプレゼントしてくれた私の大切な宝物。シャルと離れていても心が通じるようにと持ってきたものだ。

 でも、どうしてだろう。シャルのことを思い出しても、あまり胸がときめかない。

 代わりに、レオンさんのことを、特にあの優しく美しい瞳のことを思い出すと胸に甘い思いが込み上げてくる。確かにレオンさんはシャルとは違ったいい意味で素敵な人だ。強く、優しい。少しエッチな部分もあるが、愛しさすら感じられる。

 それに仲間も皆いい人たちだ。この旅に問題はない。問題はないのに。何?この違和感。

「シャル・・・貴方の顔を見ないせいで私貴方のこと好きな気持ちが薄れてるみたい・・・シャル愛してる愛してる」

 私はこの違和感を消すために何度も何度もシャルの想いを呟き続けた。




 しばらく後


 ふふふ、今夜はシャロンちゃんと一緒にレオンさんに可愛がってもらう日。最近は最初の選抜メンバー以外に、2軍の子や候補の子も増えてきたから順番が来なくて寂しかったな。けど、今日はその分たっぷり奉仕しよう。そしてレオンさんに可愛がってえるよう頑張ろう。

 私はレオンさんに愛されるために、身支度を整えようと荷物から化粧道具を取り出そうとした。すると髪飾りが転がり出てくる。


 それは白い花の髪飾りだった。


 昔の男からの贈り物だ。昔の知り合いというだけのつまらないどうでもいい男だった。レオンさんの前でぼこぼこにされたみっともない男。本当になんであんな男と口約束とはいえ、婚約したんだろう。去り際にレオンさんのお願いで唾吐きかけたけど、罪悪感は一切感じない。

 その男からのこの髪飾りも今見ると、レオンさんからの贈り物の1割程度の安物で、まるで汚物塗れの様な不快感を覚える。私はどうしてこんな気持ちの悪い物持っているんだろう。ゴミ箱に捨てようとして・・・なぜか手が止まるが、結局捨てた。

「さぁ、お支度してレオンさんのところに行かなきゃ」

鏡で自分の顔を見て、メイクをしようとしたら、

「あれ?私なんで泣いてるの?」

 気が付くと、私の片目から涙がこぼれている。ゴミでも入ったのかな?それはしばらく止まらなかった。



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[一言] お?魅了ゴミか?
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