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ダーク

長いです。後半は一応戦闘シーンあります。

 俺はダーク、フレデリーファイヤーではそれなりに名の通っているプレイヤーの一人だと自負している。

 なんたって構成人数こそ風来坊やガンマ1といった大型ギルドには及ばないが、一流の盗賊が集うギルド深淵の闇でリーダでありながら13王が一人短剣王のダークだからな。そんな俺だが職業は盗賊じゃないんだ、盗賊の更に上オリジナル職に最も近いとされている最上位職【アサシン】フレデリーファイヤーで最も対人戦闘に特化した職業だと言える。

 俺は元々対人戦闘PVPで成り上がったと言っても良いほどだ。どんな相手とやっても9割以上は勝つことが出来る、例外は守備バカのダンとバトルセンスの化け物ラックさん位だと思ってた、それでも10戦やれば7戦は勝つことが出来る他の奴相手なら絶対に勝つ自信があった。


 そんな俺が唯一一度も勝つことが出来ない男が居る、それは同じ13王でありながら中位職業【武僧(モンク)】を持つ【スピアマスター】のウェイルだ。武僧はそこそこ回復も出来る、攻撃もそこそこできる、そんな職業だから器用貧乏になりがちでどれか一つを極めた最上位職には逆立ちしたって勝てない、そう思っていた。

 俺が初めてウェイルの戦闘を見たのは半年に1回ある大会【王座入れ替え戦】で前任の槍王との戦いだった、それまで全くの無名だったウェイルが前任の槍王を圧倒していたのは今でも覚えている。


 相手は戦士職の最上位職【大戦士】守備力、攻撃力共にバランスの取れた正にお手本のような大戦士だった。そんな相手にウェイルは一歩も臆さないで戦っていた、最初こそなんでこんな奴が決勝戦まで上がってこれてのかわからなかったが答えはすぐに出た、武僧だけが使うことの出来るスキル【真・瞑想】【身体強化Ⅹ】更にタイミングがシビアで有名な【時差回復(タイマーヒーリング)】【時差身体強化(タイマーアビリティ)】これらを巧みに使いながら相手を休ませることなく攻め続けついには勝利を収めた。


 その戦闘は凄まじいの一言だった身体強化Ⅹで限界まで上げられた身体能力で相手の攻撃を寸前で避けそのままカウンターをブチかまし確定ヒット攻撃は時差回復でほぼダメージと共にMPは真・瞑想による持続回復で補っていた。


 そんな圧倒的な戦闘でウェイルが勝利し新たな王【槍王】を引き継いだまではよかった。だが、丁度その時王シリーズが生まれてから丁度10回目の大会でこれを記念して12王最強を決めるという催しが行われることになっていた、この時集っていたのはラックさんを除く全員でこの中でトーナメント戦を行う事になった、俺はそれを順当に勝ち上がり準決勝でウェイルとぶつかった。


 俺は少し残念だと思った、別にこいつと戦いたくないわけじゃない、むしろもっと上でそれこそ決勝戦でやりあいたかったと、そう思っていた。こいつをラックさんと俺以外で倒すことの出来る奴が居るとは思えなかったからだ、そんな気持ちをよそに戦いが始まった、そして結果は惨敗、ほんとなんの冗談かと思ったよ。完全に死角からの攻撃が決まった俺の一撃は一発で総HPの7割を削れる武僧の身体強化があったとしても4割そこにスキル【追撃の必殺】これは死角からの成功時次の攻撃力3倍になるアサシンの最強の技だ。これらすべてが決まり9割以上のHPが削れ次の一撃で勝ちが決まったとそう思った瞬間俺は反撃にあった、与えたはずのダメージが全て回復した状態でだ。 すぐさま距離を取ったがそれを予測していたように、いや予測していたんだろうな。すぐに追いついたウェイルに追撃されあっけなく敗北今迄のプライドも自信もズタズタにされた。


 その後決勝戦まで上がったウェイルはあダンとの戦いで判定(HP残量による勝敗)で勝利フレンドリーファイヤー最強の称号を与えられた。 


 俺は大会が終わるとすぐにウェイルとの再戦を申し出たがいつは渋々と言った感じだが受けてくれた、が結果は全戦全敗の結果に終わった。最後の方なんて死角からの攻撃を槍で完全に防がれていたしな、それを見ていたギャラリーが何を勘違いしたのか俺に戦いを挑んできた、まあ勿論瞬殺してやったさ。


 それはさておき、その後俺は慢心をすることなく技術を磨いていったそして何度も挑み負けた何度心が折れそうになったか諦めそうになったかわからない、それでも俺は諦めることなく折れることなく挑み続けていた。 そんな中アンさんとラックさんから例の迷宮攻略に力を貸してほしいとの話が来た。俺は迷宮に興味がなかったがウェイルも参加するとあった是非もなくその話を受けた。


 当日向かうと町が出来ていたことに驚いたが些細な事だ、俺のギルメンが何故か殲滅戦に参加していたのも些細な事だった、まあ黙ってこんな事してたんだ後で話し(PVP)はしなきゃいけないがな。

 俺が集合場所に行くと既に9人の王職が集っていた、後はウェイルにダンそれにあの爆破女のリズも来ると聞かされ驚いた、まさか全員揃うとは思ってなかったからな。

 俺が着いたから少し遅れてダンとリズが入ってきた、更に少し遅れてウェイルとアンさんが入ってきた。

 早速やりたかったがラックさんに止められ事が終わるまで我慢することにした、別にお、脅されてじゃないからな? ゴホン、それは今はどうでもいい、そんなことより問題はウェイルが手に入れた新しい職業だ。なんだ前線の聖職者(パンドラヒーラー)って舐めてんのか?なんで職業修正率(職業ごとにあるステータス上昇値)が回復系最上位職【大司祭】と中近戦闘最強の【武道王】よりでかいんだよ?!


 なんで、なんでなんだよ・・・あんたはどこまで俺の先に行くんだよ。

 回復も出来て攻撃力も十二分そのうえ天才的な先読みのセンスもうチートじゃねえか、化け物じゃねか。


 ーーーああ、そうだ。これは汚い見苦しい位の嫉妬だよ。


 俺は今までウェイルが武僧ならステータスが圧倒的な最上位職である俺が勝てると思っていたし奢っていたのかもしれない。

 それが最上位職の更に上オリジナル職を手に入れてもんだから駄々をこねている、子供みたいだ。

 ああ、みっともねぇな。でも、まあこれで諦めがつくのかもしれない。これなら俺が勝てない言い訳が出来る。これで、もうみっともなく負けることがなくなる。なんたって今のウェイルはオリジナル職を手に入れた最強の男だからな・・・・


 ーーー本当にそれでいいのか?

 いいに決まってる

 ーーーこんなところで逃げるのか?

 逃げるんじゃい、無駄なことをやめるだけさ

 ーーーお前が何度も負けながらみっともなく挑んでいたものはこんな理由で諦めてもいいものだったのか?

 ・・・・・・

 ーーーもう一度聞く本当にそれでいいのか?

 ・・・・・・






 俺は気が付いたら町の広場にいた。ウェイルが新しく手に入れて力を実践前に試すという口実を使い一度だけpvpの許可を得た。

 本人はあまり乗り気じゃないみたいだがそんなのは問題ない。これは俺が諦めるための戦いなのだから。

 だから俺は格ギルドのリーダに頭を下げ頼んで今町にいるほぼ全てのプレイヤーをここに集めてもらった。

 これだけ大勢の前で無様に負けてしまえば俺の心は完全に折れるだろう。


 そして俺は今自身の最強の武器防具を持ってウェイルと対峙している。ウェイルも普段ボスや特別な戦い以外ではめったに使わないメイン武器【神槍グングニル】を片手にしていた。


 二人に会話はない、静寂と緊張が場を支配する。既に戦闘は始まっているがどちらも動く事ない、武器を構えた二人は無言で微動だにもせずにいた。そんな余りの緊張感からか先に耐えられなかったのは観客側だった、観戦していた一人が武器を落としたズンと重い音が静かな広場に響き渡るほんの一瞬ウェイルが揺らぐ文字通り瞬きする瞬間だがそれを俺が見逃すはずがなかった。即座にスキルを使い動き出す相手の意識から完全に外れるアサシンの奥義を使いウェイルの死角に迫るそしては分身を使い上下左右全てから同時攻撃を仕掛けたが流石ウェイルだと思う予想していたのだろう下手に防御せず回復に専念することで耐えて見せた。だが、ここで終わりじゃないぜ。俺は執拗に攻めるウェイルに反撃のチャンスを当てえてしまったらその瞬間俺はやられる、だからこそこの超近距離戦闘あいての槍の弱点であるその間合いの中で戦う。

 どの位たったのだろう、いくら攻撃してもウェイルは倒れない、軽いダメージは即座に回復される渾身の一撃は避けられるか防がれているこのままだと俺の方が先に倒れる・・・・


 ダークは追いつめているようで追いつめられていた、確かに今は攻め手に回れているがこれがいつまでも続くとは思っていなかった。その証拠に最初の時より攻撃が避けられダメージが減っていた、そんな焦りからかダークは致命的なミスを犯す、攻撃が一瞬だけ遅れてしまいその隙を槍で突かれ大きく後ずさる。


 すぐにが立ち上がり体勢を整えるが既にウェイルとの距離が出来てしまっていた。ここで無理に攻めても反撃にあいすぐさま負けてしまうのは目に見えていた、ここにきてまた均衡状態になるかとそう思った矢先ウェイルが構えていた槍を下ろす。


「ダークさんやっぱり貴方は強いです」


「・・・・」


「僕はまだ新しく手に入れたこの力を使いこなせていない」


「・・・・だろうな」


 そんなの知っている。まだ入手してから2時間もたっていないんだ。何のスキルが有効でどんな弱点があるのかすら把握しきれていないはず。

 それなのに俺はこいつに無理を言って挑んだんだ。卑怯者だって罵ってくれてもいい。


 ダークも武器を下ろしうぇウェイルの言葉を聞く、例えそれがどんな言葉であろうと受け入れるつもりであった、だがウェイルから発せられた言葉はあまりにも予想外だった。


「偉そうな物言いになっちゃうんですけど、以前の職業武僧の時より40%以上は強くなっているはずなんです。なのにダークさんの攻撃対応するだけで精いっぱいにでした、一撃一撃にダークさんの覚悟が伝わってきました。きっと相当な覚悟で挑んできたんですね」


 そうだ、これが最後だから最後にしないといけないから俺は必死になっていた、今までの経験の全てをこいつにぶつけているんだ。


「今の僕ではダークさんのその気持ちにこたえることが出来るのかわかりません」


 もう、十分こたえてくれてるよ。こんな俺とここまで真剣になってくれてるんだから。


「でも、僕はこれから全力を出します。人目がるからと言って出し惜しみはしません」


 ダークの気持ちに応えるべく覚悟を決めたウェイルは深く息を吐く。

 自身の切り札ともいえるスキルを行使する。


「『極纏・神光』『神化』『武具強化』これが僕の正真正銘の全力です!」


「ふっ、俺なんかの為に奥の手をみせていいのかよ」


「ダークさんだからです。何度も何度でも挑んできたのはダークさんだけでした。最初は正直うざかったですけど次第にダークさんとの戦いは楽しくなっていました。ダークさん負ける度にあれこれ改善して僕の動き癖まで分析してくるもんだから、何度次やったら負けるんじゃないかとか思いましたよ」


 そうか、俺はこいつをそこまで追い詰めることが出来ていたんだな。でも、それももう終わりだこの戦いが終わり今回のクエストが終わったら俺は・・・・


「これは僕が勝手に思っていること何で少しこんな所で言うのは少し恥ずかしいですが、僕はダークさんのことをライバルだって思っているんですよ。ライバルが覚悟決めて挑んできたらそれに答えるのが当然だと思ってます」


 ああ。ライバルか・・・こいつは俺のことをそんな風に思っていてくれたのか、ダメだな本当にダメだ、たかが新しい職業を手に入れて位で俺がおれちまうなんてダメに決まっている、目が覚めたよ。そうだ、こんなところで諦めるなんて許されるはずがない。

 なんたって俺は・・・・・フレンドリーファイヤー最強の男のライバルなんだから!!


「ふっ、ふふははは!」


「いや、ちょっと恥ずかしいこと言いましたけどそんな笑う事ないじゃないですか」


「いやー、悪い悪い。そうかライバルかお前がそう思っていてくれたことが嬉しくてな、よっし!そろそろ時間も迫ってきたしこうしないか?次のお前の攻撃を耐えたら俺の勝ちダメならお前の勝ちどうだ?」


「いいですね。それでいきましょう」


 話がまとまり二人は改めて武器を構える。最初の時と同様に二人の間にとてつもない緊張感が生まれる先程と違いウェイルはスキルの影響で身体か黄金に輝いている。

 また長い膠着状態になるかとその場にいた全員が思ったその瞬間ウェイルが動き出す。

 たった一歩前へ進むそれは散歩でもするかのように自然な一歩そんな一歩を踏み出した次の瞬間ウェイルが消える。


「がっ!」


 ウェイルが消えた次の瞬間ダークがとてつもない勢いで後ろに吹き飛ぶ光景が映り込む。あまりにも突然のことで周りの誰にも理解できてなかった。

 混乱の最中にシステムだけが動く、ウェイルの頭上に勝利の表示それはウェイルが勝った事を証明する。


『『うおおおおおおお!!』』


 やっと脳の処理が追い付いてきた観戦者達がウェイルの勝利に沸いた。



「ああ、くそ完敗だよ」


「今回も僕の勝ちですね。まあ、少しずるい勝ち方しましたけど」


 ウェイルは苦笑いしながら今回の種を教えてくれた。

 ウェイルが使ったスキル『極纏・神光』と『神化』は身体強化系スキルの最上位ともいえる効果を持っていた。それは自身の肉体を光の速度まで加速させることができるというぶっ壊れ機能ただこれは速度を極端に上げるだけで思考速度などはそのままになっている本来なら光の速度で移動しながら目の前にいるとはいえ敵に攻撃を当てるなんて事ができようはずもなかった。だが、ウェイルの攻撃は当たったそれは運がよかったからではない、ウェイルが持つ武器王の証ともいえる神槍グングニルの効果であった。それはスキルを使用した攻撃以外は【必中】というものだ。あとは光の速度でぶつかれば敵は粉砕されるのみである。

 そんな説明もといネタバラシをされたダークはそれはずるいな、と苦笑いしながら答える。


「まあ、今回は負けたけど次は勝つからな」

「今回()簿記の勝ちですけどまだまだ負けませんよ?」

「ちっ、いいさこれから何度だって挑んでやるからな。精々首洗って待ってろ」

「ええ、いつでもかかってきてください。何度だって負かせてみせますから」


 ダークは再選を誓う。

 そしていつかウェイルを超える日まで何度だって挑み続けてみせる。


ダークは熱い漢(男)

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