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運営の悪ふざけ

 プレイヤー達が作った最後の町ことラストシティ中央に障害物が一切ない場所に作られた広場に迷宮攻略メンバーが集っていた。 他にもこれから行われる模擬戦の噂を聞いた者や各ギルドのトップやその補佐といったなかなかに濃いメンツが揃っている。未だ拡張を続けるこの場所は仕事が尽きない、人の手配、物資の手配、ドロップアイテムの分配といった責任者が必要な業務は山ほどある。 だが、そんな大事な仕事を投げうってでも駆けつけて来るだけの理由が、興味が、ここにいる者たちにはあった。


 そんな注目の的である二人が準備が終わり広場中央にやってくる。


 黒一色で統一された防具を身に着け、腰にはその防具と同じいや、更に黒い漆黒の短剣を身に着けていた。

 一見すると中二病感漂う装備だがその性能は間違いなくトッププレイヤーとして相応しい物だ。 

 ジャケットの様な上着に使われてる素材は暗黒龍デオランスの皮膚を加工し作られており、防刃と対魔法に非常に優れている上にスキル【隠蔽】が付与されてるため敵対者に対して認識をずらす効果を持っていた。 ズボンと靴などにも同じ素材が使われており、この装備を一式装備することでスキル【隠蔽】の上位互換【認識阻害】が常時発動状態となる。更にスキル【影移動】【分身】【残像】といってスキルを併用することで相手を惑わし一瞬の隙を狙い奇襲を仕掛けることで敵を倒していく職業【盗賊】系、最上位職【暗殺者】その中でも最強と言われているプレイヤーで王称号【短剣王】を持つダークが完全武装で現れた。


 ()()()()のダークが現れると場が騒然とする。 

 ダークが持つ防具は討伐難易度がバカ高いうえに素材が制作者の悪意がたっぷり感じられるほどの低確率でしかドロップしないとは言え他のプレイヤーでも入手出来る可能性が十分にある・・・・が、今ダークが持っている武器の短剣はこのフレデリーファイヤーでたった一本しか存在しない特別な武器である。 

 何故なら13王には各自その称号と二つとない特別な装備が与えられている。 ダークの持つ短剣【必殺の短剣】は不意打ち成功時100%会心の一撃(クリティカル)という破格の効果がある、そんな武器を超一流の暗殺者であるダークが持てば正しく必殺といえよう、瞬く間に敵のHP(ヒットポイント)を削り倒すことが出来る、余りの強さにPvPでは使用しないと公言していた。


 そんな武器まで持ち出さなければ勝てない相手だとダークは知っていた。 周りから『やりすぎじゃないか?』『いくら相手も王称号とは言え、ダークさんが完全武装だと勝ち目なんてないじゃん』といった声が多く聞こえてくる。

 ダークは全く気にしない、それどころがふっ、と思わず鼻で笑ってしまった。ここにいる奴らでこれから戦う相手の本当の実力を知るものはほんの一握りだろうと。


 ダークは知っているどんな攻撃でさえスキルすら使わず避けて見せる人外を


 例え絶対に躱せない攻撃をしたとしても耐えきって即座に回復してまう化け物を


 化け物が放つ攻撃を躱す事の難しさを


 気が付いたら攻撃していた筈の自信がダメージを負っている恐怖を


 何度も挑み続けることで気づいてしまった格の違いを


 ここにいる奴らでどれだけの者が知っているのか、誰も知らないのかもしれないあいつはウェイルは絶対に人前で全力を出さないのだから、過去に一度だけ誰にも教えない、他の者を立ち会わせない事を条件で武器こそ違えど全力のウェイルとの戦いで知ってしまった恐怖、自分の攻撃がかすりもしなかった、反撃され躱す事も出来ずにやられてしまった。


 憧れの存在であり、目標であるウェイルに挑む最後の戦いにすると決めていた・・・いや、違うなと自信の考えを否定する、これは諦めるための戦いだと、新たな力を手に入れたウェイルはもうダークがどうこうしても追いつけない高みにいってしまった。 せめて最後に俺はこんな凄い奴と全力同士で戦ったんだと、胸を張って言えるようになりたかった。


 そんな、過去に幾度となく挑み一度として勝てなかった相手、これだけ装備を整えそれでもやりすぎだと全く思わなかった。 これだけの準備をし作戦を考え、ただ一人を倒す事だけを考えやっと挑むことのできるそんな相手だと。

 きっとこの後こいつらの顔が面白いことになるんだろうなーっと下らないことを少し考えながら広場の真ん中を目指して歩いていく、そこには今回挑むべき相手、目指すべき目標だった絶対的強者のウェイルが居た。


さあ、やってやるか。世界最強の男に最初に挑むのはこの俺だ!



 ★ ★    三十分前 会議室 ★ ★



「次は僕の番ですね」


今回は初めて全ての王称号を持つ者達が全員集まっていた。それなり以上に有名なプレイヤーも多いが中には滅多にギルドメンバー以外に顔を見せない者もいたため、まずは簡単な自己紹介をする事になった、そして他の12王の挨拶が終わりウェイルの番が回ってきていた。


「ウェイルといいます、職業は中位統合職【武僧(モンク)】です。称号は【槍王】普段はソロや少数PTでの活動メインでやってます。一応ヒーラーとしてもやれますが基本前衛がメインです。よろしくお願いします」


ウェイル番が終わるとちらほらと『半端のウェイル』や『不死身のウェイル』に『バグ回復師w』など聞こえてくる。


基本的にダンやリズと組む以外はソロで活動しているウェイルだが時折アンさんやラックさん等に頼まれレイドの助っ人として参加することがある。


ウェイルは自身を強化魔法で強化しながら最前線で槍で敵を薙ぎうつスタイルで戦っている、ダメージを受けても即座に回復し飼、周りのプレイヤーもメイン回復役が間に合わないと判断すると即座にフォローに入り助ける事で常に前線を保つことが出来る、一見すると凄いプレイヤーなのだが本来【武僧】はそこまで強い職業ではない。 回復や強化にしても自身のみ回復する系統の魔法が多く本職の支援系と比べると余りに劣ってしまう、槍で戦うにしても本職の戦士など比べるこれまた火力が微妙なものとなってしまう、本来不遇職である【武僧】をある意味極めたのがウェイルといえよう、スキルに頼らず敵の動きを読み確実にダメージを重ねながら自身を回復し粘り強く敵を倒す姿が余りにも異質だとリズとは別の意味で有名なプレイヤーだ。


ざわめく中アンさんが立ち上がる。


「ウェイルありがとう。よし、これで全員終わったな。今回は人数こそ少ないが皆一騎当千といっても過言ではない者達ばかりだ。 なので効率を重視し今回はPTを三つに分け各PTにリーダーを置き臨機応変に動くことにする、まあ、大まかな指示はここにいるラックに頼むがやはり不測の事態というのは予測できないからなその時は各PTリーダーの判断に任せる。 では事前にラックと相談し決めていたPTをメンバーを発表する」


アンさんから割り振られたのは第三PT全体のバックアップが仕事だ。 火力、機動力、補助系スキル等を持つ俺とダークさんと【弓王】のフレデリックさんの三人となった、TPリーダーは勿論ウェイルしかないと言われしぶしぶといった感じでリーダー」になった。 ちなみにリズは魔法職の為とダンは壁役として魔法支援組の第二TPとなったリーダーはラックさんが務める。 他のメンバーは第一TPメイン火力部隊になるこちらのリーダーは安定のアンさんだ。

メンバー同士で更に細かい情報交換をしていく、ウェイルもステータス等の説明の為ステータスウィンドウを開くと一通のメールが来ていた、宛名は運営システム開発部となっている。 なぜ、そんなところからメールが来たのか全く心当たりがないウェイルだが流石に運営からの来た個人メールを無視するわけにもいかず一旦二人に断りを入れメールを確認する。



ーーーーーーーー


拝啓ウェイル様へ

まずは突然のメールお詫び申し上げます。

今回こちらのメールをお送りしたのはどうしても迷宮攻略開始前にある新しい職業のテスターとなって頂きたく思いましてこちらの運営部専用メールから送らせていただきます事を平にご容赦ください。

ウェイル様はきっとこのメールが届く頃には打ち合わせをしていることでしょう。 なので本件だけを簡潔にご説明させていただきます。

まず最初にこのメールを開くと強制転職システムが発動いたしますーーーー


ん、今強制転職って・・・・・まさか?!

ウェイルは慌てて今見ているメールを閉じステータスを開く・・・・・そこには武僧の文字や今まで見慣れていた数値も全くなかった、何よりその職業を見て何が何だがわからなくなってしまった。


「ウ、ウェイル君大丈夫かな?顔が真っ青だけど・・・・何かよくない事でも書いてあったの?」


突然ウェイルの顔色が変わり何かよくないことでもあったのかとフレデリックさんが心配してくれた。


「い、いえ。いつも通りの運営がハッちゃけたんだと思います、別に警告や制裁等ではないのでーーーただちょっと・・・ステータスがえげつないことになっててど動揺してしまいました。心配して下さりありがとうございます。まだ続きあるので読んでみますね」

「ああ、そうなんだステータスがね変わったとよくあるよ・・・・・・てっ、よくある事じゃないよね?!」


フレデリックさんのノリの良いツッコミを横目に続きを読んでいく。



ーーーーーふふふ、さぞ、驚いたことでしょう。ウェイル様がこのメールを開いた瞬間に即システムを活動できるように万全の準備をしましたから隙などありません。

なお、今回新職業【 前線の聖職者(パンドラヒーラー)】を試験実装したのですが、やはりノリでゲフンゲフンしっかり打ち合わせをする前に仮で作ったためにスキルレベルや効果などが若干壊れ気味なところがあるようですが。今回は実験も兼ねていますので現行最強のプレイヤーであるウェイル様に相応しい様に私共の方でスキルレベルと職業レベル調整させていただきましたので即実践可能となっております。

迷宮攻略後で構いませんので実際にスキルを使ってみての感想をメールしていただけると幸いです。

今回、実験体になって頂き誠にありがとうございます。

これからもフレンドリーファイヤーをよろしくお願いいたします。


フレフレンドリーファイヤー開発部主任より



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


な、何やってんだよここの運営! なんで調整もろくにやってない状態でプレイヤーに渡せるわけ?! 

しかも本人に断りもなかく強制転職とかこれさ、今こっちが転職に行けない状況だってわかってやってる感がすうんだが・・・・でも、別に弱くなってる訳じゃないんだけど、ないんだけどさぁ・・・・・自重って言葉を知らないのかな・・・・・・

改めて自身のステータスを確認するとあり得ないほど数値が上昇していた、魔力値、腕力、俊敏力、防御力軒並み上昇していたそれこそ他の上級職いや最上位職と比べてもなんら変わりないほどまで上がっている、これはもうバグなんじゃないのだろうかと思ってしまう程に。




一人でもこの作品を見ていてくれる間は頑張って続けていきます

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