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始終無シ  作者: 朝霧


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36/66

フリーダムな司会の話

 れでぃーすあーんど、じぇんとるまーん。本日も当オークションにお越し下さり、まことにありがとうございまーす。

 今回、オーナーがなんか色々忙しいらしく、司会はこの俺、普段は護衛と警備のアルがお送りしまーす。

 あ、同じいくいつもは護衛と警備やってるけど今日はマスコット的存在のバニーガールのベリー……ちゃん、もいるよ。

 それにしても今日はツインテールか、センスないなぁオーナー……三つ編みの方が似合うのに……

 どこの誰がどんな髪型してようが一向に構わないけど、君は三つ編みの方が可愛いよ。

 え? なに? 惚気るなって? 惚気たつもりはないんだけどなあ。

 真面目にやれって言われても、俺はいたって真面目だけど……

 まあいいや、本題に戻ろう。

 えーっと……本日も品物はたった一つ、びっくりびっくり。

 本日の商品はこちらびっくりびっくり、かの名だたる大聖堂が隠し育てた幸運の聖女ですびっくりびっくり。

 ……いや、本当にびっくりだよ、オーナーどこのツテでこんな大物見つけたの?

 まあ、いいや。

 ……大聖堂が帝国に攻め込まれた後行方不明、帝国が大々的に指名手配するものの、今までの5年間、誰もが血眼に探しながらも見つけることのできなかった幸運の聖女が、今びっくり、なんとこのオークション会場のこの檻の中にびっくりびっくり。

 おっと、ちょっとオーナー、いきなりナイフ投げてこないでよ、なーにーなんかご不満?

 え? 感嘆符をびっくりって読むな? それは語尾を強調する記号?

 はいはい。わかったよ、そう読むから。

 えーっと、気を取り直して……

 本日の商品である幸運の聖女、アリシアはここにご集まりの皆さんもご存知の通り、聖女の中でも特殊な力を秘めた存在で、すっ。

 聖女としての能力は最高峰である他、そばにいる人間に幸運と言う名の強力なバフを振りまく力を持ってい、ますっ。

 ええと、それから……また、現状では大聖堂の最深部にある神具を起動させることができる唯一無二の存在です……っ。

 なーにオーナー、ちゃんと読んでるでしょ? 真面目にやってるじゃん、俺。

 はあ? 覇気が足らない? 棒読みやめろ? ……って言われても普段のオーナーみたいなハイテンションな司会は俺には無理だよ。

 気に食わないなら自分が司会やってよ……俺だって普段通りの方がいいよ……この布陣が一番安全だって言ったのオーナーじゃん。

 はいはい、了解了解。感嘆符は無視していいのね、ならやりやすい。

 ああ、その辺の説明も必要?

 今回オーナーが裏方やってて警備の俺らが司会とマスコットやってるのは、単純に商品の盗難防止のためだよ……じゃなくて、ためです。

 オーナーは目ざといけど俺らよりも強くはないし、俺らは強いけどオーナーよりも目ざとくない。

 だからオーナーが全体を裏から俯瞰して監視、不届き者がいたらベリーとその他警備が対応。

 こっちまで上がってくるような奴がいたらベリーと俺が対応、最悪の場合は俺らのうちの誰かが商品を殺す手立てになってる……です。

 ここの常連だったら知ってると思うけど、ここでは基本的に商品がなんらかの原因で奪われそうになった場合は即座に商品を殺す手立てになってる、ます。

 奪われるくらいなら殺した方がまだマシなんだってさ、オーナー的に。

 ちなみに脅しじゃなくて本当、実際二年くらい前に東国の末の王子を殺して……ます。

 と、言うわけでどうか妙な気は起こさぬよう。

 聖女サマを死なせたくないのであれば、盗み出そうだなんて考えない方が身のため、です。

 オーナー、説明こんなでいい?

 おっけー、なら補足お終い。

 ……と、いうわけでこの檻の中に幸運の聖女がいます……ベリー、布、じゃなくてベール取っ払っちゃって。

 ……うっわ、凄い歓声……ベリー大丈夫? 耳痛くない?

 ならいいや、いやあすごいねえ。

 ……おっと、ベリーの方が反応早かったか。

 オーナー 、そいつちゃんと死んでるー?

 うん、ならいいや、誰かー、その死体捨ててきてー。

 あ、うん。また補足ね、そういや言ってないもんね。

 えーっと、さっき商品を盗もうとする不届き者がいて、どうしようもなかったら商品を殺すって言ったけど。

 それ以前に制圧が簡単だったらその不届き者は殺すから、その辺りも注意してね。

 特に今回の場合は商品が誰もが喉から手が出るほど欲しがる聖女サマだから、ちょっと怪しい動きをしただけでも容赦なく殺すかも、その辺りはご容赦を。

 あ、ごめんオーナー、敬語忘れてた。

 え? もういい好きにやれって? オーナーがそれでいいならそうするけど。

 ……さてと、死体が運び終わったところで商品の現状について説明を。

 えーっと……捕まえた時にかなり抵抗したため、魔封じの枷で全身を拘束しています。

 薬漬けにする直前まで彼女は抵抗を見せましたが、拷問師キャピタルの調教により抵抗する気力を完全に失い、その心は壊れています。

 もはや彼女は生ける屍そのもの、命じられたことを従順に従うだけの人形と相成りました。

 肉体には一切傷はないのでご安心を、拷問師キャピタルは痛覚以外の方法を用いて人の心を完膚なきまでに粉砕する天才であることをご存知である方は多いでしょう。

 現在は万が一の時のことを考えて拘束はそのままですが、お買い上げいただいた後にはある程度の拘束は外してしまっても大丈夫です。

 えーっと、現状に関する説明はこれで終わり。

 というわけで、早速入札に移ろうかと思います。

 お買い上げいただいた幸運の聖女はお好きに使用して構いません。

 自分で使うもよし、権力者に献上して名をあげるのもよし。

 幸運の聖女は冗談抜きで世界を容易に変える存在、ですので。

 あなたの落札が世界を変えることになるでしょう。

 では、御託はここまでにして、入札を開始します。

 開始金額は――ええと……いち、じゅう、ひゃく、せん、いちまん、じゅうまん、ひゃくまん、いっせんまん、いちおく、じゅうおく……十億、開始金額は十億です。ではスタートー。

 うわ、初っ端から百億でた。

 二百、三百、五百億、千億……

 えーっと、ここで一応注意、払えなかったらそこそこの制裁があるから本当に買える値段にしてくださーい……

 とか言ってるうちに、一千二億、一千八億、三千億……

 五千、六千、九千……兆、兆が出ました。

 うわ、まだ上がるのこれ……二兆、四兆……七兆………………九兆。

 ………………。

 おっと、十兆が出たね。

 ……他は?

 いらっしゃらないようで……

 と、いうわけでこれにて終了、幸運の聖女は十兆での落札が決まりましたー。

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