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アナザーステージ  作者: 榛葉 旭
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入学式

 俺は遂にジェンシャン学園の入学式を迎えた。この世界に来てからの1ヶ月は見るもの全てが新鮮であっという間にすぎていった。しかし、1つ問題があった。


 何て言っているのかわからない……


 ヒソラと学園長は言葉が通じたので気づかなかったがこの世界はどうやら主要言語が英語でも日本語でもないらしい(ついでに文字も読めなかった)。そのため、入学式までに言葉と文字をヒソラから習うことになった。授業は入学式まで毎日行われ何とか日常生活に必要なレベルには達することができた。ヒソラには頭が上がらない。


 だが、そのおかげでヒソラとは仲良くなれた。クールな性格かと思いきや以外とよくしゃべる性格であった。人は見た目にはよらないものだ。ヒソラと学園長は親子であり、そのため入学もしてないのに俺をスカウトするというおつかいを頼まれたというわけだ。記念すべき俺の友達第一号だ。これからも仲良くしていきたいと思う。


 俺は遅刻をしないように手短に身支度をする。時間には余裕があるが早めに行動することに悪いということはないだろう。ワクワクが止まらないから仕方がない。


 俺は学園の敷地内にある食堂に向かう。この一月で食堂のおばちゃんとは仲良くなった。おばちゃんに今日のおすすめメニューを教えてもらいそれを頼む。この世界の食べ物はもとの世界のものとは全く違いどれも初めて食べるものばかりだ。毎日の食事も今では1日の大きな楽しみのになった。うん、今日も美味しい!


 食事を済ませ学園に向かう。学園には既に多くの人が集まっていた。魔法学園の制服というだけあって男子は白のシャツに黒のズボン、女子は白のシャツにプリーツスカート、男女ともにローブを着用している。帽子は個人の判断に任せるとのことらしい。制服姿の男女の姿や父兄の方々と見られる人たちの姿も見える。


 俺は案内に従い学園の敷地内にある体育館っぽい建物に向かいながら景色を楽しむ。自然に溢れたいいところだ。外で昼食をとるのもいいかもしれない。


 目的の建物に着いた俺は適当な席に座る。席は既に八割ほど埋まっている。周りを見ながら式の始まりを待っていたら隣の席に座っている男子が話しかけてきた。


「よお、お前さん見ない顔だな。外部入学か?」

「ああ、こっちに来たのは先月だ。学園に知り合いも一人しかいない。これから仲良くしてくれると助かる。」

「おうともよ!俺の名前はオリバー。お前の名前は?」

「コハク ホンジョウだ。コハクと呼んでくれ。」

「オーケーコハク。しかし、外部入学ってことは相当成績がいいんだな。ジェンシャン学園はかなりの倍率だって聞くぜ。」

「らしいな。俺はスカウトされてきたからテストは受けていない。」

「へー、ということは才能があるんだな。今までめったにスカウトなんてなかったけど学園も本気でマジックウォーを勝ちにきたな」

「学園長もそんなこと言ってたな」

「だろ?今日の式でもそれに関することを話すかもしれないな。」


 忘れていた……入学式なんだ学園長の話はあるはずだ。ということはまたあんな恐ろしい思いをしなくてはいけないのか……それはごめんだ


「俺は帰ることにした。また明日な」

「は?何言ってんだもうすぐ式が始まるぞ」


 そう言いながらオリバーが服の裾をつかんでくる


「頼む離してくれこのままだと確実に俺のトラウマが増えてしまう。」

「何バカなこと言ってんだよ。いいから座れよ」

「やだ、おうち帰る!」

「駄々をこねても許しません。お母さんはあなたを立派に育ててみせます。」


 そうこうしているうちに式が始まってしまった。










「続きまして学園長の挨拶です。」

 遂にきてしまった、恐れていたときが。周りの人達は学園長の事を知らないのか無警戒である。しかし待てよ、公共の場であんな格好で出てくるバカがいるはずがない。学園長といえども正装で現れるはずだ。良かった、俺のトラウマは増えずに済みそうだ。俺は安堵の息を吐きながら学園長の登場を待つ。


 その後、体育館が阿鼻叫喚で溢れたのは言うまでもないことであった。




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