プロローグ
俺は生まれた世界を間違えたのかもしれない。
俺は生まれつき周りとは身体のできが違った。水切りで海が割れたこともあったし、軽く跳んでは雲を超えた。この前は投げたボールが地球を一周してきた。
この力を子供のときは制御できず、怖がって誰も近寄らず、15歳になった今も友達は0人であった。
まあ、その事はあまり気にしていない。別に、人とコミュニケーションをとるのが苦手というわけでもない。
……本当だよ?
高校は誰も俺の事を知らないところを通えば友達もできるだろう。そして、彼女を作ってイチャイチャするんだい!と考えていた。
そう、考えていたのだ。
現実は俺に夢さえ見せてくれることはなかった。
「いたぞ!捕まえろ!」
警察官の声が夜の町に響き渡る。
今、とある町で大規模な鬼ごっこが行われていた。
ビルとビルの間を懸命に逃げまわる俺、追いかける警察官(数えきれないくらいたくさん)。
捕まったら人生終了のこのゲーム。時間無制限で俺の勝利条件は無しときている。
……なんだよこのクソゲー。
サイレンの音がそこら中から聞こえてくる。
日にちも変わり、夜の真っ只中にもかかわらず警察は一切手を抜く気はないらしい。少しくらい手を抜いてくれてもいいじゃないか。俺泣いちゃう。
何でこんなことになってしまったのか思い返してみ…………ようとしたら頭に銃弾が当たった。
「信じられねえ……発砲してきやがった……。」
俺じゃなきゃ死んでたぞ。
あー俺だから撃ったのか……
このままだと捕まらなかったとしても、もうまともな人生を送ることもなさそうだ。短かったなあ俺の人生。
高校では友達も作って、彼女も作って、今までの分を取り返すつもりでエンジョイしようと思ってたのになあ。
次の人生は絶対に目立ちすぎないように生きよう。出る杭は打たれる世の中、周りに溶け込み周りに合わせて生きていこう。
そう決意した時
「誰も君を知らない世界に興味はないか?」
頭上から声が聞こえてきた。
見上げるとそこには、空に浮かんだ美少女がいた。