今日も、石を投げられる
「やーい、化け物!」
幼い子供達がそう叫び、石を投げてきた。
避けきれずにこめかみに命中した石が赤く染まり、鈍い音をたてて地面に落ちた。
「痛っ…」
あまりの痛さに思わずしゃがみこんでしまった。
しかし、子供達はさも可笑しそうにはしゃいで走り去っていった。
「はぁ…」
ため息をつき、家に向かう。
村人達は私が血を流しているのを見て、コソコソ喋ったりギョッとしていた。
どうせ私の悪口を言っているのだろうし全く興味がわかない。
むしろ、私の悪口以外に話題がないなんて哀れだと思う。
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村はずれにある家に着くと、家に隣接している畑に人影があった。
「アラン!また来てくれたの?」
「嗚呼。その傷は?」
にこやかに笑っていたアランは私がこめかみあたりから血を流しているのを見るとサッと青ざめた。
「手当しないと…」
「大丈夫だよ。それより中に入って?」
アランの言葉に被せて私が家の中に入るように促す。
アランは困った顔をしたが、私がドアを開けると家の中に入ってくれた。
アランは「化け物」と村人達から忌み嫌われている私の唯一の友人だ。
だから、余計な心配をかけたり嫌われたくない。
そんなことを考えていると、いつの間にか私はアランから手当てを受けていた。
「いいのに…」
「イレーナが傷つくのは、俺が嫌なの。」
そう言って照れたように下を向くアランがものすごく愛おしい。
だけど、私は「彼に振り向いてもらえたら」なんて願うわけにはいかない。
だって、私は「化け物」だから…