ーー7話【ネビアの力】ーー
「なぁネビア」
「なにかみゃ?」
「さっきから木に囲まれてる状況が変わんないんだけど!?」
ネビアが任せろと言ってから1時間が経とうとしていた
「あ、あれー? おかしいのみゃ。き、きっとなにかの陰謀みゃ! それかあれみゃ! 抜け出せない迷路みたいなのに入ったのみゃ!」
「そんなわけあるかぁ!! おんなじところをループしてる感じはない。けどな、景色が変わってないんだよ! わかるか!? ループはしてないけど森の中を歩き回ってるの!!どうすんだよこれでトーラスに戻っちまったら......」
こんなんでトーラスに戻ってマリアンに会ってしまったら恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
「大丈夫みゃ、それはないみゃ。」
「あぁ? どうしたらその自信が出てくんだ......ん? お、おい、ネビア、まさかこれを分かってて!?」
「当たり前みゃ、みゃーはネビアみゃ!」
マカロフとネビアの視線の先には〔ようこそ! ナタリアへ〕と書かれた看板が立っていた。
「ほんとかー? 調子のいいやつめー!」
マカロフ達はしばらく遊んでからナタリアへと入った。
ゲルリア王国王都ナタリアはゲルリア王国の人口のおよそ3分の2が住んでおり、様々な役職者が商いなどをしていた。
「うわあぁ、さっすが王都ってだけはあるなぁ」
「ほんとみゃ、マカロフのいた村とは大違いみゃ」
二人は大きな都市へと来るのは初めての事で、あたりをキョロキョロと見回していた。
するとそこに、優しそうな顔をした冒険者らしき人物が寄ってきて
「やぁ、君達、ナタリアに来たのは初めてかい? 僕は、ここで用心棒のようなものをしているセルリア・サリーだ。よろしく。」
用心棒を務めるには細すぎる身体で、怪しい人物でないか観察をしているとネビアが
「みゃー! よろしくみゃー!! みゃーは、ネビアみゃー!」
「ちょまっ、、、よ、よろしく」
ここで挨拶をしなければ逆に自分が怪しまれると思い咄嗟に挨拶をしたが、特に相手は怪しい所もなかったので
「マカロフだ、こいつは喋る猫だが気にしないでくれ」
サリーはネビアのことを興味深く思ったらしく
「いやぁー、こんな猫がいるなんて。僕も初めて見たよ。ふふっ、どんな体の作りしてるんだろう......ただの猫では無いだろうから......」
ネビアが体のあちこちを触られている。時折「みゃはっ」とか、「みゃみゅぅーー」とか不思議な鳴き声を上げてこちらを見てくる。
(可愛い。もっとやれサリー)
だけど流石にこれ以上はネビアが可哀想だったので
「もうその辺でやめておいてくれないか? ネビアが......苦しがってんの?」
悲鳴とも笑い声ともとれる鳴き声だったため念のため確認をしてみた
「ったり前だみゃ!! 笑い過ぎで死んじゃうみゃ!!」
(ソッチデシタカー)
「あーと、そういうことだからやめてやってくれ」
サリーは素直にやめてくれた。こいつ結構良い奴っぽいな。
「あぁ、ごめんよマカロフ、それにネビア。僕は不思議な物を見るとつい興奮してしまって、どんな仕組みなのかを調べたくなるんだよ。」
(あ、こいつはヤバイ。興奮するってのもかなりだけど、仕組み調べたくなるとか......あともう少しでネビアが模型にされるとこだった)
「あ、そんでサリーは俺らに用でもあったのか?」
初対面だしそんなことは無いだろうとは思ったが他にも人がいたのにマカロフのところだけに来たのは不思議だった。
「それなんだけどね、君から異様なオーラが感じ取れたから聞いてみただけなんだ。でも、僕の勘違いだったようだね」
異様なオーラを感じるような何かをしていたか? と、マカロフは思い
「なぁ、ネビア、異様なオーラってどんなのかわかるか?」
サリーに聞き取られないように小さな声でネビアに聞く。
「そりゃ、おみゃー、あれしかないみゃ。不死の力みゃ。あれは本来は禁じられてるんだけどみゃ、資格ある者はなぜだか許されるみたいみゃ。細かいことは知らんみゃ、今度女神様にでも聞いてくれみゃ」
(禁じられてた物を持たされたのかよ......あのゴミ女神許すまじ...... ん? 女神に聞け? まさか女神と会えるの?)
「なぁ、ネビア、女神に聞けって、女神に会うことが出来るってのか?」
「みゃー? そんなことも知らなかったのみゃ? 全く、マカロフは鳥頭なのかみゃー?」
(鳥頭もなにも、聞かされてないんですけど。ほんっとゴミ女神だ)
「いいかみゃ? おみゃーさんは、女神様と誓約を交わしたみゃ。そして、誓約を交わした相手が女神様だったら祈れば会えるみゃ」
誓約を交わしたってのも初耳だし、祈れば会えるというのも初耳だった。
あの女神はマカロフに世界を救って欲しかったのではなかったのか。
「お話は終わったかな? それでどう? 異様なオーラに心当たりは?」
さっきまでの興奮してたサリーとは目つきがガラッと変わっていた。
「あー、それなんだけどなぁ、なんか体質? らしいんだわ。俺も詳しいこと分かんねーけど、まぁそゆこと」
マカロフの得意技は嘘で相手を欺くことだ。
これで村のガキンチョを騙して遊んでいた。
後で本当の事はもちろん教えたが。
「そう......か。君も大変だね。それはそうとさっきから気になっていたんだけど、その背中にあるロングソード。かなりの業物だろう? 見せてくれないか?」
(あのゴミ女神から貰ったロングソードの事か、見る人によっては化物じみた剣に見えるんだろうなぁ)
「ほれっ」
「な、なんだこの剣は!!?? 素材はアダマンタイトで出来ていて、装飾は華美ではないがシンプルでこの剣にはとても合っている。そして極めつけはこの重さと長さ。このような業物を造れる職人が居たとは......なぁ、マカロフ! この剣はどこで造ってもらったんだ!? さぞかしベテランの職人であろう、是非ともナタリアへとお招きしたいのだがっ!!」
予想以上の反応だった。
この剣の凄さはさすがのマカロフでもわかる。だけどここまでの反応だとは思わなかった。
(サリーだから? 興奮してるの?)
「あのな、サリー、すまんがこれは親父から受け継いだものでな、親父はとっくの昔に死んでんだ。だから分からん。スマン」
これも嘘だ。
本当のことなんて言えるはずがない。例え言っても信じはしないだろうがな
「そうか、それはすまなかったマカロフ。あまり話したく無かったろうに。」
おぉ、〈こうかはばつぐんだ!〉
「それでは僕は行くよ。もし何か用があれば王都の中心にある練兵場にマカロフだと名乗って貰えれば通すようにしておくよ。それじゃ、良い観光を!」
「あぁ! じゃあな!」
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「ネビア、もう行ったからいいかげん俺の服の中から出ないか?」
「んみゃぁ? んぁーー、、、いい夢だったみゃ......」
サリーはいいやつだったがネビアには嫌われたようだった
ネビアは大体15センチくらいです