ーー5話【戦う理由】ーー
お久しぶりです!
今日はこれを含めて3話公開します!
――一筋の光が見えた。
どこからとも無く、何を照らしているのかも定かではない。ただただ一直線に伸びる光が。
俺はそれを掴もうとして手を伸ばす。しかしその光はどこまで手を伸ばしても近づくことは出来ない。
俺はその光を追いかけて、追いかけて......。
ただひたすらどこまでも光を求める。
そうしているうちに、周りの景色が一瞬にして変わった。
黒一色の、形も大きさも分からなかった部屋から、草原のような、部屋なのかもわからない場所へと変わっていた。
そこでは俺は何をするでもなく、頬を撫でる風を感じているだけだった。
(俺は一体......?)
何故ここに居るのか。そもそも、何故こんな状態になっているのか。記憶を手繰ろうにも何も思い出せない。
目を閉じ、何があったか思い出そうとしていると、風の流れが変わった。――否、空間が揺らいだ。
目を開くとそこは、家だった。
誰の家かなんて考えなくてもすぐに答えはわかった。
“俺の家”だ。
その証拠にマリアンが居た。
俺は声を出して気付いてもらおうとするが、声が出ない。
仕方が無いのでマリアンの前に行ってみるが、こちらに気付く様子は一切ない。
そこで思い出した。
(そうか、俺はあのイカに――殺されたんだ)
そう思うと今までの不思議な光景や、今のこの現象にも納得がいく。
俺はきっと心のどこかで、世界を救うなんて馬鹿げたことを拒絶してたのだろう。
それもそうだ。いきなり意味不明な女神に出会って、不死の力を授けられ、世界を救え? 今までそれなりに平和に暮らして、それに満足していた俺からしてみれば迷惑な話だった。
しかし、ここでまた心残りが生じる。
(じゃあなんであの時引き受けたんだろうか)
いくらでも断る事なんて出来たはず。いや、むしろ強制させることなんて女神には出来たとしてもやらなかったはず。だから、あそこできっぱりと無理だと言えたはず。
では、何故?
何かがモヤモヤとする。胸の中に渦巻く感情が煩わしい。
何故何故何故?
何が自分を動かしたのかがわからないでいると、目の前のマリアンがスッとこちらを向き口を開く。
「マカロフは今頃どうしているのかしら。世界を救うだなんて大層なこと、あの子には出来るのかしら?」
そうだ。俺には出来ない。そんなこと出来るはずもない。俺はただの【村人】。戦うだけの力なんてないんだ。
「でも、あの子は心優しい子だし、今もきっと誰かを助けているのでしょうね。例え世界を救うことができなくても、昔のあの時のように、私を救ってくれたあの時のように、誰かに手を差し伸べて少しずつ少しずつ人を、村を、街を、国を、そうして世界までも救ってしまうのでしょうね。だってあの人と私の子だもの」
マリアンの放つ言葉はとても独り言のようには思えず、まるでこちらが見えているのではないかと思えるほどだった。
しかしそんなはずは無い。俺は死んでいる。誰も助けることなんて出来ずに死んだ。
マリアンの言葉はまるで、誰も助けることの出来なかった自分を責めているのかにも思えた。
そこまで考えると電撃が走ったような感覚に襲われる。
ネビア、ビビアン、メイザー。それに、サリーやドボイ。他にも沢山、救いたい人が居る。
俺は、みんなを救いたい。こんなところで死んでられない。イカに殺された? 嘘も大概にしろ。俺は不死。不完全ではあるものの不死の力を持ってんだ。こんなところで力尽きる訳がない。
そうだ。俺はみんなを、大事な人を助けるためにこの力を貰ったんじゃないか。俺の大事な――かあちゃんを。




