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冒険の始まりは1輪の花??  作者: Gamu
第二章【魔物研究】
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ーー9話【ダンジョン探索】ーー

活動報告でもお知らせしましたが、序章1話の内容を大きく変更しましたので、一度読んだ方ももう一度読んでみてください!

 マカロフはダンジョンに向かう前、あることを思い出していた。


「そういやここ最近女神放置してた」


 それは、女神との面会をかなりサボっていたのだ。

 いや、明確に何日間隔でなどと言っていないから良いのだ。だが、前にかなりの日数を開けてから面会した時あの女神はかなり面倒くさいことになっていたのだ。

 以降マカロフは定期的に、それこそ1週間おきくらいには逢っていた。


「あっちに居る間こっちでは時間止まってるしここでもいいか」


 いつものようにマカロフが女神への祈りを捧げると意識がどこかへ引き込まれていく。


『...........遅い』


 女神がものすごく小さな声で呟いた。


「や、その......見てただろ? 俺らは忙しかったんだよ。そういえばそうだ! 俺の親父が犯人だってこと気付いてなかったとは言わせねぇぞ?」


 マカロフは思い出したかのように女神に問い詰める。


『気付いていたか気付いていなかったかで聞かれると、気付いていたわ。けれど、どうにもおかしいのよ。彼が私と会って初めの頃は今のあなたのようだったけれど、いつの日からか魔物に対して異様なまでの興味を持ち、変わっていった。それで已む無く不死の力を剥奪したわ。そして彼は死んだ。けれど実際生きていた。いえ、あれを生きているというのは命あるものに対して侮辱になるわね......兎に角彼は私の知っていた頃と変わり過ぎていたから、断定はできなかったのよ』


(ちょっと待てよ? 今の女神の話だとコルドは実際に死んでて、あれは生きていないのに何故か動いていることになる? それに、魔力で人を嗅ぎわけられる女神が断定できないとなると......)


 マカロフは1つの結果に行き着く。


「【憑依】か?」


【憑依】とは、対象者の身体を乗っ取り、自分の身体の如く操る、失われた魔法(ロストマジック)

 かつては[無]と並び立つ最強の魔法系統の[念]魔法の高位魔法であったが、そもそも[念]の魔法が非人道的なものである事から使用が禁止され、徐々にその実態も消えていったと、ネビアが言っていたのをマカロフは覚えていた。


『恐らくそうね。ただ、私でも[念]を操れる人間が居るとは思えない。あれを使おうものならば、何百人もの魔法使いが何千年の時を経て編み出した魔法をまた1から編み出さなくてはならないもの。そんなことができる人間がいるとは思えないわ』


「そうか、こっちでも色々と探ってみるけど女神もよろしくな。俺はこれからレベルを上げに行くんだ。ただでさえ上がりにくいレベルをな!」


 マカロフは父親の死が当然の報いだったのだと知ってからは女神への態度も少し考えるようになった。そのため呼び名が【ゴミ】から、【女神】へと進化したのだ。


『ふふ、不死が無ければ相当大変な思いをするわよ?そんなことを言ってると剥奪しちゃうぞ♪』


「冗談でもやめてくれ、ビビって心臓が止まりそうだ」


 2人は笑い合うと、お互いを見て


「んじゃ帰るわ」


『そうね、頑張ってね』


 マカロフの意識が現実へと引き戻されていく。


「今度こそ行くか」


 マカロフはビビアン達の待つダンジョン前へと向かった。


 ディルベンのダンジョンは塔の形になっており、全部で48階層だそうだ。

 それぞれの階層には階層主なるものが居て、次の階への階段を守護しているらしい。


 現在のトップランカーは27階層と、案外進んでいないようだ。


 ダンジョンというものは不思議で、階層主は1パーティーにつき1体が現れるらしく、レベル上げを狙っているマカロフにとっては願ったり叶ったりの仕様だった。

 それに、階層主以外にも、ダンジョン内の魔物達は忽然と湧くそうだ。


「こう見るとほんっとにでっかい建物だよなぁ」


「みゃーもここまででかいのは初めてみゃ!」


「えぇ、王城よりも大きいというのは少し不満がありますがね......」


 確かに、48階層というだけあってとても高く、王城などとは比べ物にならないと言わんばかりに余裕で超えている。


「ていうかネビア、お前は親父と旅してたからこういうのも見てるんじゃないのか? 前の海の時もそうだったけどさ」


「コルドは良い奴だったみゃけど、別れ方が別れ方だったから女神様に頼んでそういう記憶を消して貰ったんみゃ。みゃけど、コルドのことは決して忘れてはいけないと思って楽しかった思い出だけを消してもらったのみゃよ」


 やはりネビアにとってコルドとの別れは衝撃的なものだっただろう。

 今まで信頼して旅をしてきた者が急におかしくなり、やむを得ず間接的ではあるが殺してしまったのだからな。


「そか、悪かったな。その......なんだ、俺と一緒に楽しい思い出つくろうな!」


「当たり前みゃ! おみゃーはみゃーが認めた主みゃ!」


 お互いがお互いの信頼を確認してから、ダンジョンの入り口へと向かった。


 ダンジョンに入るにはいろいろと手続きが必要で、それらを済ますとようやっと入れる様になる。


「この景色が48階層分もあるとなると気がおかしくなりそうだなぁ」


 ダンジョンの中は外見とは打って変わって、洞窟のような景色が広がっている。

 広さはそこまで広くなく、階全体を回ってもおよそ30分ほどかかるかかからないか程度だ。

 マカロフ達はレベル上げ目的なので勿論毎回、隈無く散策するつもりでいる。

 それに、ダンジョンには宝箱が低確率だがあるため、それも探すため全体を回るのは必須だ。


「浅い層はほとんど宝箱の中身取られてるだろうし敵が弱いからスルーでもいい気がするんだけどどう?」


「確かにそうかもしれませんがトップランカー達でも27階層までしか行けてないわけですし、1階層はともかく、その上の宝箱が取られていると考えるのは少し早計かと」


 確かに、この国は騎士団が強かったが、冒険者の数はそこまで多くなかった。そのためあまりダンジョンも進められていないのだろう。

 ならば宝箱が浅い階層にまだ残っていることも充分に考えられる。


「んじゃ結局は全部回るんだな......」


 マカロフは肩を落としながらも進んでいった。


 しばらくするとゴブリンが現れた。


「えっ......。まさかこの階層ってこんなレベルなの? ねぇ、やっぱここには絶対に宝箱なんか残ってないって。ていうかこんな雑魚しかいないのに置いておくわけ無いって」


「い、いえ、ゴブリンでも集団で来られれば中途半端な冒険者では太刀打ちできませんわ!」


 マカロフは再びゴブリンの方を見る。

 ゴブリン”達”では無く。ゴブリン”単体”を見る。


「いや、確かにそうかもしれないけどさ......現実見ようぜ」


 ゴブリンは自分が馬鹿にされてるのが伝わったのかマカロフに攻撃をするが、木の棒を振り上げた瞬間に首から上がスッパリ切れていた。


「ほら、俺のあんなにもよわーい[風]魔法であれだぜ? 流石にこの階は退屈そうだわ」


「わかりました! わかりましたから。では階層主の部屋を探してさっさと上がりましょう」


 ビビアンは諦めたのか大きくため息をつくと階層主の部屋を探してスタスタと歩いていった。


 なんとなく歩いていること2分。

 階層主の部屋らしきものを見つけた。


「おし、ここの魔物達は少し残念だったが、階層主には期待しよう。なんたって階層の主だからな。主だぞ? 強そー!」


 マカロフはここの階層のゴブリン達にあまりにも絶望して階層主に過度な期待を抱いていたが、ここの階層で現れるのがゴブリン程度なので、当然階層主もその程度なのであったが、そんな現実からは目を背けたいらしいマカロフは勢い良く扉を開けた。


 すると中には、”ゴブリン達”がいた。


「はっ!? いや、流石にこれは予想の斜め上というか下というか......え?」


 マカロフは普通、階層主というのだからゴブリンキングやそういったものが単体で現れるかと思ったが、まさかのまさか。

 これでは階層主ではなく階層の主役ではないか。とマカロフは考えていた。


「はは、まぁこれからの階層に楽しみをとっておけってことな......まぁいい、とりあえず、全員死ねぇぇぇぇえ!!!」


 マカロフは得意な[雷]魔法をオーバー気味に使い、一掃したのだった。


「マカロフ、これからみゃ」


「マカロフ様。次がありますわよ」


 2人が揃ってマカロフを慰めていたが、マカロフはそんなものは気にしていなかった。

 それよりも倒した魔物達の奥に目がいっていた。


「なぁ、あそこの階段の奥になんか埋まってないか?」


 上へと登る階段の左奥に、箱のような何かが埋まっていた。

 そこへ3人が駆け寄り、掘り返してみるとそこには念願のものがあった。


「宝箱じゃぁぁぁん!!」


「おぉ! ほんとみゃ!」


「よかったですわね! あとはこれが誰にも見つかっていなかったことを祈るだけですわね!」


 そう、問題はそれなんだが、こんな風にわざわざ埋めていくなどとは考え難いため、3人とも期待に胸を膨らませていた。


「よし、開けるぞ?」


 マカロフがそーっと箱を開けるとそこには


「「「おーーー......?」」」


 そこには何もなかった。


「「「ふざけんなよぉぉ!!(みゃぁぁ!!)(ですわぁぁ!!)」」」


 3人の叫びは、1階層に木霊し、同じ時にダンジョンを探索していた冒険者パーティーの口から様々な人に噂され、ちょっとした怪奇現象として有名になるのはこれよりも少し後のお話。

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