ーー閑話【どこで練習したの?】ーー
マカロフの言葉遣いのこと、それとビビアンの振る舞いについての要望があったので書きました
「そういえばマカロフ様、マカロフ様って村人なんですわよね? それにしては王城でのあの言葉遣いはあまりにも慣れているなと思ったのですけれど、なにか特別なことでもしていたのですか?」
ビビアンが言っているのは王様との謁見の時のマカロフの言葉遣いのことだ。
たしかに村人にしてはかなり場馴れしているように思っただろうな。
「まぁな、俺の母ちゃんが、俺が偉くなった時のために覚えておきなさいってちっちゃい時に指導してくれたんだ。まさかほんとに使う時が来るとは思わなかったけどな」
はははっ、とマカロフは笑いビビアンの返事を待っていると
「凄いいいお母様なんですね......」
ビビアンが俯きながら言っていた。
何かまずいことでも言ったかな? と考えていると
「私のお母様は10年前。私が4歳の頃に病気で亡くなられましたわ。私は当時からやんちゃで、大臣の言うことは聞かずに王城を走り回ってはお母様に捕まって優しく叱られていました。私はお母様に捕まるのが楽しくて毎日の様に走り回っては叱られ、走り回っては叱られを繰り返していました。けれどある日突然、お母様が病気で倒れたれてしまい、走り回っても捕まえて叱ってくれる人は居なくなってしまいました。そして気付いたら、お母様はこの世から居なくなっていました。そこで私はとても後悔しました。お母様には叱られてばかりで褒められたことなんてなかった。ものを教えられたこともなかった。そこからですかね、私が今のような性格になってしまったのは。わかっているんです。ワガママで自分勝手だってことは。ですが、ですがそうでもしていないと、お母様との記憶が無くなってしまいそうで怖いのです。分かってとは言いませんがどうかこのままでいさせてください......」
ビビアンは王女としてはダメなところばかりだ。だがそれも、自分勝手と言ってしまえばそれまでだが、大事な理由があったのだ。
親父を亡くしているマカロフとは少し似ているようでなんとも言えない気持ちになった。
「ビビアンはそのままでいいよ。それにビビアンはしっかりしなきゃならないときはしっかりできるからな。そのままでいいんだよ......ごめんな。辛い思い出を語らせちゃって。俺も親父を亡くしてるから気持ちは分かるよ。すごく」
マカロフはビビアンの頭をポンポンと優しくたたいた。
「それなら、マカロフ様、私と結婚してくださいます?」
「それとこれとは話が別だ」
ビビアンの頭を優しく叩いたのだった。




