ーー4話【海戦】ーー
今回の戦闘描写には自信があるので是非とも感想お願いします!
マカロフはこの二ヶ月血の滲むような思いで特訓に励んでいた。
1ヶ月経った頃にはマカロフは冒険者の中でもかなりの実力者として名が通っていたし、実際に多くの星5クエストを達成してきた。
そんなマカロフに今回は少し特殊な依頼が来た。
それは、王都の南に位置する港町【リナード】に巨大なシーサーペントが現れたから退治してほしい。とのことだった。
マカロフは最初はこの依頼を受けるか少し迷っていた。
何故ならマカロフは泳ぐのが苦手だったからだ。
シーサーペントは、泳ぎながら倒すことがセオリーだったから、マカロフには少し難しいと思っていたのだ。
だが、ネビア曰く
「おみゃーさんの今の魔法適性なら、[風]魔法で自分の周りに空気の塊を作れば泳がなくてもいいのみゃ」
だそうだ。
マカロフはこの二ヶ月で、剣の腕だけではなく、魔法の腕も相当なまでに上げていた。
ついたアダ名は《彗星の魔法剣士》だ。
そんなこんなでマカロフはシーサーペント討伐の依頼を引き受けることにしたのだった。
「海みゃー! 見るみゃ! 海なのみゃ!」
ネビアは海を見るのが初めてらしくとても元気だった。
今回の依頼に、ドボイは付いて来ようとしてたが、マカロフが
「俺だけで余裕だ。終わったらネビアと遊んでくから連れ回すのも悪いしな」
と言ったらついてくるのを諦めたようだ。
海の中で戦闘となるとドボイは何も出来ないのでやむを得なかった。
「ところでおみゃーさん。あのシーサーペントに勝てるのかみゃ? あいつは泳ぐのは速いし、鱗は硬い。牙が鋭いから攻撃力も相当なものになるみゃよ?」
シーサーペントとやりあうのは初めてだが、前情報はそれなりにあったので、自分なりにいくつか作戦は立ててきた。
もし、そのいずれも通用しなかったらどうしようもないが、今回の作戦にはかなりの自信がある。
「まぁな、《彗星の魔法剣士》っぽいところが見れると思うぜ? あ、それと、ネビアはもちろん見学な。これは、俺一人がやる」
この二ヶ月の特訓の成果を自分に知らしめたかったのだ。
如何にあの特訓が無駄でなかったか。
如何に自分が成長したか。それらを知りたかったのだ。
「まぁ、マカロフなら大丈夫だと思うけどみゃ、あんまり無理はするなみゃよ?」
ああ、と頷きシーサーペントが暴れてるらしい湾に向かった。
「なんかデッカイ影が動いてるのが分かんだなぁ......想像よりデカくてちょっちびっくり。まぁ倒せそうだけど」
マカロフの作戦にデカくて困ることは無かったので焦ることは無かった。
「んじゃネビア、留守番頼んだ!」
そう言い残し、マカロフは[風]魔法を使い、自身の周りに空気の塊を作って海の中へと入っていった。
しばらく海の中を進んで行くと、暗闇の中何かが動く気配がした。
「流石にこの暗さは厳しいかなぁ。あれ使うか」
そう言ってマカロフは最近覚えた[光]魔法を使い、辺りを照らした。
照らした先には大きな影。
地上から見たそれと同じだった。
「やっぱでけぇな。そのほうが魔法当てやすくて済むけどな」
マカロフはまず最初に、[火]魔法で少量の海水を囲んで凍らせ、その中に[雷]魔法で、攻撃性の雷を仕込んだ。
雷を内包した氷塊を[風]魔法で進ませる。
それはシーサーペントの泳ぐ速度に劣らぬ勢いで進んでいくと、シーサーペントの横腹に刺さった。
そのタイミングで氷塊の先端から溶かしていき、シーサーペントの体内へ電気を流す。
普通の魔物であれば死んでいるであろう高電圧の雷を食らっておきながらシーサーペントは泳ぐのを続けていた。
だが、明らかにその速度は落ちており、マカロフでも追いつけるようになっていた。
ここまで来ればあとは簡単だ。
マカロフの愛剣を背中から抜き、[風]魔法を使ってシーサーペントへと迫る。
シーサーペントは逃げようとするが、今のマカロフから逃れるには速度が足らない。
シーサーペントに追いつくと先程の攻撃でついた傷跡に剣をつきたて剣越しに再度[雷]魔法を放った。
マカロフは、シーサーペントの動きが止まるのを確認すると、念のためエラを切り裂いた。
「作戦成功してよかったよかった」
マカロフは、シーサーペントを担いで陸へと上がり、リナードの漁師達に完了報告を済ませた。
「ネビア。遊んでくか?」
この二ヶ月はお互い特訓ばかりであまり息抜きをできていなかった。
「海泳ごうみゃ!」
「俺また[風]魔法使ってていいか?」
ネビアと一緒だからとはいえ泳ぐのは無理だ。
水が怖いとか、足がつかないのが怖いとかでは無く、普通に無理だ。絶対に。
「しょうがないみゃねぇー、海中散歩するみゃよ!」
マカロフとネビアはしばらく海中散歩を楽しんだ。
そろそろ魔力も無くなってきたし帰ろうかと思っていたら、既に日が落ちていた。
こんな時間から出発するのもあれなので今日はここで泊まっていくことにした。
この町でも冒険者登録証の効力はあるようで、宿はタダで借りることができた。
夕飯は豪華海の幸フルコースだった。
なんでもシーサーペントが現れてからは漁に出られなかったため、せめてものお礼だそうだ。
自分の実力を測れて、息抜きもでき、こんな旨い飯まで食べれるなんて、一石二鳥どころでなく、一石三鳥だ。
マカロフとネビアは海の幸をたらふく楽しんだ後は宿でぐっすりと眠った。
次の朝早くにリナードを出て、王都へ帰ったのだった。




