ーー12話【特訓】ーー
「やぁ! マカロフ。昨日ぶりだね」
そこにはサリーがいた。
そういえばサリーは何かあったらここへ来るようにと言っていた。
(まさかサリーって騎士団の中でも実力高め!?)
「サリー、お前騎士団員だったんだな。用心棒......言い得て妙だな」
騎士団は確かに言い方を変えれば用心棒かもしれないが、あえてそう言った理由がわからなかった。
だけどそれは聞いてはいけないような気がした為聞くのはやめた。
「それにしてもドボイさんの知り合いが来るから剣を教えてやってくれって聞いていたけれど、まさかマカロフだったなんてね」
「俺もびっくりだよ、おっさんの役割も知らなかったからかなり驚いてる」
「お前ら知り合いだったのか、そんなら話ははえぇや。おい、マカロフ、そこの木剣2本取ってこい」
練兵場に入ってすぐのところに木剣が立て掛けられている所があった。
マカロフはそこから2本の木剣を取ると1本をサリーに渡した。
「サリー、お前は受けに徹してくれ。俺が良しと言ったら攻撃だ。マカロフ、お前はとにかく攻撃だ。サリーが攻撃してきたらしっかり防ぎながら攻撃しろよ」
マカロフは木剣を両手で握り、軽く素振りをした。
「おっけー、いいぜ」
「僕もいつでも」
二人は目を合わせ、合図はなかったがマカロフが飛び出した。
剣を大上段に構えて振り下ろすが、振りが大きすぎてサリーは余裕で防ぐ。
それでもめげずにマカロフは、一度距離を取り、右側から剣を振る。
サリーはそれを見て剣を構えて防ぐ。
だが、マカロフの剣は素直に左へ行かずに、少し手前に戻り、突きの姿勢へと変える。
マカロフは基本は大上段から振り下ろす攻撃しかしたことが無かったため、バランスを崩して狙いが逸れる。
「今のは結構良かったと思うよ」
「俺も惜しいと思ったんだけどなぁ」
二人は言葉を交わし、剣を交え、マカロフは奮闘しているかと思えた。
だが、それも長くは続かず
「よし、サリーいいぞ」
ドボイの一声でサリーの動きが変わった。
サリーはいくつもフェイントをかけ、マカロフに攻撃を当てようとしたその時
「やめっ!!」
ドボイが言うとサリーはマカロフに当たる寸前の所で剣を止めてみせた。
「っふぅー。マジお前化けもんだな......」
「いやいや、君もなかなかなものだったよ。素質はある。磨けば綺麗な宝石になると思うよ」
サリーに褒められたがマカロフは納得がいかなかった。
攻撃を当てることは愚か、サリーの剣筋を目で捉えることも出来なかった。
それの何を見ればなかなかだと言えるのだろうか。
「おいマカロフ、落ち込むなよ、今のお前がうちのエースに勝てたら俺の面目が丸潰れだろ。負けて当たり前だ。なかなかだと言ってもらえたんだ。むしろ誇ってもいいくらいだ」
ドボイはそう言ってくれるがやはり実力の差は時に残酷なまでに心にダメージを与えるものだ。
「おっさん。俺、強くなるよ。サリー倒せるようになる。そうすりゃ最強までも夢じゃないだろ?」
それにマカロフには魔法もあるのだ。
魔法と剣才。2つの力が高みへ登ればマカロフは怖いもの知らずだ。
「いっちょ最強目指しますか!」
マカロフの最強への道は、長い、長い道のりとなるだろう。
序章完結です!
次回以降は戦闘パートを増やすつもりですが、戦闘描写が難しいので更新ペースがかなり遅れると思います!




