ーー11話【ナタリア騎士団】ーー
女神との再会を終え、現実へと意識が戻ったマカロフは、手元にある本を読んでいた。
「へぇ、基本的な魔法から応用系まで......かなりやばい本じゃね?」
実際この本はかなりヤバイ。
魔法使いというのは生涯をかけて魔法を編み出す為に日々の鍛錬を怠らない。
そうして新たな魔法を思いつき、それを使えるようになるまで何年も修行する。
それをマカロフは1日で、魔法適性値さえ足りれば出来てしまうのだ。
いきなり高位の魔法は使えないが、下位の魔法を何度も何度も使うことでいつかは使えるようになるだろう。
それも、普通の魔法使いよりも早く。
コップに水を出して飲んでと、マカロフが水魔法の練習をしていたら服の中からネビアが出てきて
「お腹空いたみゃ......死ぬみゃ......1日に2回も死にそうになるみゃんて......」
あれやこれやしている内にそんな時間になっていたらしい。
それに、昼に魚を食べて以来何も食べてなかった。
「パン食うか? てか、パンしかない」
「パンてあれかみゃ? みゃーがマカロフと会った時に貰ったやつかみゃ?」
(そういえばネビアに会った時は餌で釣ろうとしてたんだな......)
そんなことを思い出しながらパンを出して二人でお腹いっぱいになるまでパンを食べた。
「みゃふぅー。いっぱい食べたのみゃぁ」
「お前は食べすぎだ。その体でパン4つ食べるとかどんな胃袋してんだよ」
パン2個分くらいしかない体に4つも入るなんて容量オーバーしてるとしか思えない。
「みゃっふっふっー。みゃーはすごいんだみゃー!」
腰に手を当ててドヤ顔をしている。
(可愛い)
「そんなことよりおみゃーさんさっきのは魔法かみゃ?」
「あぁ、さっきの水のやつだろ? 女神に会って魔術書とネビアと同じ量の魔力貰ってきた」
魔術書に書かれていることをイメージするだけで魔法が使えてしまうから、とても楽で良い物をもらったと女神に感謝していたらネビアが
「みゃみゃ!? ま、魔術書かみゃ!? 女神様、さすがに魔術書はやりすぎなんでみゃ......」
物凄く驚いている。
やはり魔術書というのは物凄いものだったらしい。
ネビアが驚くというのはそうそうない。
「この本があれば魔法の面では俺は練習してれば何とかなる。けど、剣の腕は誰かに教えてもらいたい。そこで俺はドボイに教えてもらおうと思ってるんだがどうだ?」
ネビアはぽけーっとしている
「ドボイって誰みゃ?」
そういえばネビアはドボイのことを知らない。
何故ならマカロフの服の中で寝ていたのだ。
マカロフは、ネビアにドボイのことを説明した。
「いいんじゃみゃいか? そのドボイってのもやる気みたいみゃし」
「それじゃ、さっそく明日教えてもらうか!」
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冒険者の朝は早く、既にギルドの中には多くの冒険者がいた。
ドボイを探してキョロキョロしてたら、後ろから
「おう! 早いなお前!」
と、声をかけられたので振り向いてみると、そこにはドボイがいた。
「ドボイのおっさんも早いんだな! てっきり2日酔いで昼くらいに来ると思ってたぜ」
マカロフが笑いながら言うとドボイは
「はっ! 俺レベルになるとな、2日酔いなんてしねぇんだよ」
(でも潰れるんですネー)
「おう、マカロフ。早速だが修行するか?」
もちろん! とばかりに頷くと
「うっし、ついてこい」
と言って外へと歩いて行った。
そんなドボイを追いかけ、しばらく歩いていると
「着いたぞ、ここが、我がナタリア騎士団練兵場だ!」
ナタリア騎士団と言えば6つの国の中でも1.2を争う精鋭揃いだと聞いていたのだが、”我が”とはどういうことだろうと思っていたら、自慢をしたいのかドボイが
「何隠そう、俺はナタリア騎士団騎士団員育成を任されてるドボイ・ショルツァーだ!!」
精鋭揃いの騎士団の育成をしているなんて、これはほんとに剣の腕は期待できる。
「なぁおっさん。俺は長剣使いなんだけど、見た感じおっさんは短剣使いだよな? 教えるのはちょいと無理があるんじゃね?」
長剣と短剣ではリーチの長さが違う為、立ち回りはや剣の振りも変わってくる。
「あぁ、大丈夫だ。俺が教えるんじゃねぇよ。コイツだ」
そう言ってドボイは自分の後ろに指を差した。
「やぁ、マカロフ。昨日ぶりだね!」
爽やかイケメン変態が現れた。




