過去の昼 今も昼 桜葉篇
こちら作者のフェチが詰まった拙い作品です、内容ばっかりは普通ですが登場キャラがもう、私のフェチと言うか、趣味で偏ってます。
こんな登場キャラの作品が書きたかった!そんな完全趣味で書いた作品です。
どうぞよろしくお願いします。
今時こんなもの売れないさ。
あのねぇ、これじゃ目に止めてもらえないんだよ。
読者の心に響かないんだよ。
そうだ、こんなんじゃ。
淡々と書いてるだけのこれじゃあ…
ギイイィィ、そう音を鳴らして苦しそうにドアが開いた。
「あの…お茶淹れたけど…」
ふと時計を見上げると午後3時半。
いつもの仕事机に向かったのは10時頃だったと言うのに。
「私もナジも今日昼いないから、お昼…食べてって言ったよね?」
すっかり忘れていた、こう、机に向かっていると時間感覚が無くなってしまう。
その割には、原稿用紙に書かれている文字はイマイチピンと来ない冴えない主人公の言葉ばかり。
冴えない主人公なんて設定ではなく、人の気持ちを理解してあげることの出来て…みんなの悩みを解決する主人公の筈なのに……
やっぱり私自身が主人公に出てしまっているのか…
「先生!?奏!聞いてる!?」
グイと横から顔が迫り、大声によりようやっと私の中と現実でフラフラしていた意識がハッキリと現実に叩き戻される。
「あっ、うん。お昼は忘れてた、ごめん。」
グルリとイスを回し彼女に向き直った。
彼女はいつもの腑抜けた調子の僕に呆れのため息を漏らした。
腑抜けてる自覚はあるけど、どうにも性分は直せない。
「まったく奏は…ほら、お茶とおやつ」
彼女の手にはお盆。その上には三人分の茶菓子と緑茶が乗せられていた。
「少しでもお腹紛らわせた方がいいでしょ?ナジもすぐ来るからこの散らかった部屋なんとかして」
部屋を見回すと、床は1面私の放り投げたゴミで埋め尽くされていた。
「面倒臭いのはわかるけど…ゴミ箱はそこだからちゃんと捨てて!」
彼女はそう言うと、一旦お盆を置こうと入り口近くのローテーブルに踏み出した。
しかし、私も本当に間抜けだった。
彼女がお盆を持って歩いている時点で危ないと察するべきだった。
何故なら……
「キャアア!?」
彼女は盛大に万年筆を踏み抜き、バランスを崩した。
お盆と一緒に彼女の身体がふわりと…いや、もっと重みのあるグオッという様な勢いで身体が飛ぶ。
「さよ!危ない!」
何故彼女がお盆を持つと危ないかって…
彼女は【単眼】だから…
私はさよに飛び込むように手を伸ばした。