第一部:二 裁判
レイルが捕らわれてから3日後、大戦の英雄シドは天へ召された
英雄の最後に民は頬を湿らせた
その死に際は英雄の名にふさわしく、威風堂々とした物だった
「そうか、父さんは逝ったか」
「申し訳ございません、私の力では止める事は出来ませんでした」
暗い牢獄の中でレイルはその男とあっていた
「オルフェンのせいではないよ、父さんは覚悟を決めていた」
帝国の若き将軍、オルフェン中将の目には大粒の涙がためられていた
帝国十二将軍の1人である男のこんな姿はおそらく一生見られないだろう
「大元帥閣下には言葉で表せないぐらいお世話になりました。レイル様、あなただけはなんとしても守りきります」
オルフェンは頭を垂れた
「ありがとう、だけど無理はしないでくれ。オルフェンに何かあったらそれこそ一大事だ、今は息を潜めているときだよ」
レイルはオルフェンに優しく語りかける
「ありがとうございます・・・、本当にあなたは閣下と瓜二つ・・・」
その後、オルフェンはレイルと簡単な作戦を話し合い、牢獄を出て行った
「レイル大将、前へ」
レイルは多くの視線を受けながら3歩前へ出た
「レイル大将、判決が出た」
レイルはじっと裁判長の目を見た
「・・・階級の剥奪、そして国外追放を命じる」
その時、観衆の中で数人の男が顔を崩した、が、それは一瞬で誰もそれに気付かなかった
「7日後、6月17日に東のバシク島へ出発するように、これにて裁判を終わる」
レイルは一礼すると帝国兵に連れられ裁判所を後にした