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第一部:一 失脚

新暦198年6月3日


「父さん、調子の方は大丈夫ですか?」


まず一言で言うなら彼は美しい


顔立ちは美しく整い、整えられた銀髪と合わさったその姿は女にも見えなくも無い


しかし、その体は鍛えぬかれ、細身ながら締まっているのが良く分かる


そんな彼の目の前に、彼と雰囲気がよく似た男が座っている


「あぁ、任務に支障は無いさ、それに私が出ることはさすがに無いだろう」


顔は若干違うがそれでもよく似ていて、体格は全く同じと言っていい


「そうですか、あまり無理をしないでくださいね。そろそろ歳も来ているのですから」


彼の言葉を聞いた男は苦笑いでこう答える


「まだまだ現役さ」


そう言うと男は立ち上がり、外へ向かう


「じゃあ行ってくる」


男は扉を開けるが何かを思いついたようにふり返る


「そうだ、お前にこれを渡しておく」


男は腰に差していた一本の剣を彼に差し出す


「これは・・・」


「我が家に代々伝わる剣だ、お前に渡しておく」


「どうしたんですか突然?」


彼は困惑した表情で男を見つめた


「さぁな、なんとなくこれをお前に渡しておきたかった。それだけだ」


男は優しくほほ笑む


「レイル、お前は良く育ってくれたな、親として誇りに思うぞ」


そう言うと、そのまま扉の向こうに行ってしまった




数日後、レイルの下に1人の男が馬をおもいっきりとばしてやってきた


「レイル様!!へっ、陛下が暗殺されました!!」


「なっ、詳しく教えてくれ」


それはありえない事だった


「そっそれが、帝国の重鎮を招いた晩餐会の時に、突然明かりが消え、ついたときには陛下の胸に深々と剣が刺さっていたのです」


それを聞いてさらにレイルは驚いた


その晩餐会の警備を担当したのはほんの数日前にわかれた父親その人だからだ


自分の父親の力量は一番良く知っている、大陸随一の名将と呼ばれたその人が警備などで不手際をおこすわけがない


「父上はどうした?」


男はうつむいた


「シド大元帥閣下は、・・・暗殺の主犯として捕まりました」


「・・・嘘だろ、嘘と言ってくれ!!」


ありえない、あの温厚な父親が暗殺などするはずが無い


レイルは心を乱した


「レイル様、シド様は私にこう言いました」


一呼吸空けて言った


「私は暗殺などしていない、お前ならわかってくれるだろう。おそらく、真犯人は私が失脚して一番得をする者、ガウス元帥だと私は思う。すでに何人かの信頼できる部下に探らせている。その者たちがきっと真犯人を見つけてくれるだろう。だが・・・」


ここで男の言葉が止まった


「どうした?続けてくれ」


「はっ、・・・だが、そのころには私の命は無いだろう。裁判は迅速に行われる。私は死罪だ。後の事はオルフェンに任せてあるから、一族全員死罪と言うことはさすがにガウスでも出来ないだろう。今でも私を慕う者は多い。レイル、後はお前の手腕にかかっている。味方は大事にしろ、敵は食え、いいな」


「・・・すぐにレイル様を捕まえるために兵が来ます」


レイルは目を閉じた


おそらく父親は数日後には死ぬだろう


ガウス元帥は繊細な男だ、きっとすべての手筈を整えて行ったことだろう、ならば・・・


「ガウス元帥の事だ、逃げる事は出来ないだろう。少し頼みがある、いいか?」


「はっ」


「ルトガー上級大将に、任せた、と伝えてくれ」


男は少々困惑した表情をしたがすぐに馬を走らせた




数時間後、帝国兵200人が邸を取り囲んだ


レイルは1人邸を出て、降った

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