表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

D 学校に行く

※ Dの物語には「プレイする気はありません」の若干のネタバレがあります



【眠るプレイヤーキャラの物語】




 あなたは学校へと続く道を歩いていきます。

 しばらく進んでいくと、あたりには茨が見えてきました。

 学校を、茨が取り囲んでいます。

 あなたはこの物語がどんなものなのか、理解しました。

 魔女に呪いをかけられ眠り続ける、あるお姫さまのお話です。

 この学校に、その眠り姫がいるのでしょう。


 物語が予定どおりに進行しないということは、まだ王子役がたどり着けていないのでしょうか。

 周囲を見渡してみても、あなた以外の人影はありません。

 学校の中で迷っているのかもしれません。

 ヒーローをヒロインの元まで送り届ければ、物語はハッピーエンドへと向かうはずです。

 あなたは学校の中へと入っていきました。


 茨は学校内にまで入り込んでいます。

 侵入者を拒む茨を、管理人としての力で排除していきながら、あなたはヒーローを探します。

 けれど、校内を一周しても、それらしき人物は見つかりません。

 まさかヒーローが役目を放り出してしまったのでしょうか。

 そんなことになったら、新たなヒーローを作り出さなければいけなくなってしまいます。

 姿を見せないヒーローに焦れたあなたは、とりあえずヒロインの様子を確認しにいくことにしました。


 保健室、とプレートのある部屋に、ヒロインは眠っているはずです。

 そこにしかベッドはないのですから。

 茨を避けながら進み、あなたは保健室のドアを開きました。


「誰? もし彼女を起こしに来たんなら、悪いけど帰ってくれるかな。それは俺の役目だからね」


 なんと、そこにはヒーローがいました。

 彼はベッドの脇に座り、昏々と眠り続けるヒロインを見下ろしています。

 ちょうど、ヒーローがヒロインを起こすその瞬間に乱入してしまったのでしょうか。

 そうであれば、ただの邪魔者です。すぐに出て行かなければなりません。

 失礼しました、と言ってあなたは保健室のドアを閉めました。


 保健室の外で息をつき、それからふとあなたはあることに気づきました。

 そもそも、あなたは正常に進行しない物語を、ハッピーエンドへと導くためにやってきたのです。

 予定どおりに進んでいるのなら、あなたは今ここにはいません。

 この物語には、何かしらあなたの介入が必要とされる理由があるはずなのです。

 そう考えながらも、あなたは静かに待ちました。

 もし、ただ単にタイミングの問題でしかなかったのなら、ヒーローがたどり着いている以上、すぐにでもこの物語は幕を閉じます。

 しかし、待てども待てども、ハッピーエンドは訪れません。

 やはり物語の進行を妨げる何かがあるようです。


 あなたはもう一度、保健室のドアをカラカラと開きました。

 そこには先ほどとまったく変わらぬ様子のヒロインとヒーローがいました。

 訝しげな顔をするヒーローに、あなたは単刀直入に問いかけます。

 ヒロインを目覚めさせないのか、と。

 眠り姫を眠りから覚ますには、ヒーローがキスをするだけ。

 それは、ヒーローもきちんとわかっているはずです。

 この物語は、そういうストーリーなのですから。


「まだもう少し、眠っていてほしいんだ」


 ヒーローはあなたの問いに、そう微笑みすら浮かべて答えました。

 あなたには彼が何を考えているのかわかりません。

 なぜ、すぐにヒロインを起こそうとしないのか。

 もう少しとは、いったいどのくらいなのか。

 わかったことと言えば、このままではヒロインはもうしばらく眠り続けることになる、ということだけでした。


 なるほど、物語が予定どおりに進行しない原因は、ヒーローの意志にあるようです。

 これは困りました。他でもないヒーローに、ヒロインを目覚めさせる気がないのです。

 その気になってもらうためには、いったいどうすればいいのでしょう。

 どうにかこの物語をハッピーエンドへと導くことはできないでしょうか。





D1 このまま眠り続けると彼女は死んでしまう、と嘘をつく

D2 ハッピーエンドになりたくないのか、と問いかける






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ