ブティック・アンダルシア
店員「いらっしゃいませ」
客「明日デートなんっすよ、なんかこうバッチと決まったヤツを店員さんがコーディネイトしてくんないかな」
店員「でね、おばぁちゃん、僕が今から言う口座にさぁ、200万円振り込んで欲しいんだぁ・・うん・・うんうんうん・・グスッ・・まいっちゃたよおばぁちゃぁ〜ん、相手入院しちゃったんだものぉ〜・・俺どうしたらいいんだよぉ〜・・相手ヤクザだものぉ〜・・ゥゥッ・・ゥェッ・・ゥェエエェ〜ンッ・・」
客「・・もしもし?・・」
店員「・・・・・・・・・」
客「・・もしもし?・・」
店員「いらっしゃいませ!」
客「明日デートなんでなんかこう店員さんがさ、俺にさ、バチッと決まったヤツをコーディネイトしてくんないかな!」
店員「バチッと?」
客「そう、バチッと!」
(ビンタ)バチンッ!
客「痛っ!なにす・・」
(往復半ビンタ)バチンッ!バチンッ!バチンッ!
客「うぷっ、わちゃっ、ほげっ!おいコラ店員!何ビンタかましてんだコンニャロッ!」
店員「いや、お客様がバチンッと」
客「バチンッじゃなくてバチッとだろ!」
(ビンタ)バチッ!
客「き・さ・むぁ〜・・」
店員「でさ、おばぁちゃん?聞こえる?うん、うん、違う違う、20円じゃなくてぇ〜・・」
客「おい!」
店員「いらっしゃいませ!」
プッ!スコンッ!
客「俺の額に突き刺さってるこれ何?」
店員「吹き矢でございます」
バリバリバリバリバリバリィィイイイッッ!!ドテッ・・
店員「・・お、お客様、い、今のは?・・」
客「スタンガンだす」
カシャッ!
客「何、撮ってんだよ!」
店員「いや、田舎の神父様に送ろうと思って・・」
シャカァーーーーーーーーーーーーーーー・・・・
客「今度はムービーかい!」
店員「いえ、ルールですから」
客「何のルールだよ!」
店員「いえ、プライベートですから・・あ、これなんかどうでしょう?今これがうちのショップで一番出てるアイテムですけどお客様にピッタリだと思いますがいいかがなさいましょう?」
客「本当かよ?」
店員「ウィ、セニョォォ〜ル、北アフリカじゃみぃ〜んな今これっす」
客「北アフリカ?・・まぁええわ、んじゃちょっとこれ着てみようかな。試着室はどこだよ?」
店員「あちらのフォーマルコーナーを左に曲がって、つきあたりカジュアルコーナーを右折しまして、金髪のおじいちゃんが座っているタバコ屋やのカドから左に曲がりましてレジの信号をそのまま真っ直ぐ直進しましたらガソリンスタンドがありますのでその信号から3つめの信号を右折されましたら左手に見えますメキシコ大使館のすぐよこの一見、自動販売機に見えますそれが試着ルームになっておりますですはい」
客「いったいここはどこだよ!」
店員「うん・・うんうんうん・・おばぁちゃぁ〜ん、早く振り込んでよぉ〜、じゃなきゃ俺・・」
客「もしもーーーーーし!!」
カシャッ!カシャッ!カシャカシャッ!
客「それはもうええ・・」
店員「さ、こちらが試着ルームでございます、ごゆっくりお気のすむまでなんなら最長二泊三日まで試着召し上がって下さいませはい」
パサァアーーーーーーーーッッ!
客「どうだろう?」
店員「ビバッ!ハレルゥ〜ヤ!ナイストゥミィーチュウゥ〜ッ!」
客「じゃ、これにするわ」
(喝采の渦)パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチのパチッ!
客「おいおいおい!あんたらどこから出てくんだよ!」
今まで隠れていた店長、スタッフ一同約9名が重ねられてるセーターの間から、レジの中から、張り付いていた天井から、保護色でへばりついていた床から、広東語を喋る客を装いつつ、それぞれが拍手をしながらこの客の元へ満面の笑みで歩み寄ってきた
店長「お買い上げありがとうございますお客様、それでは只今より当店でキャンペーン中のお買い上げ特別感謝祭企画第一弾!『サンクス・スケッチ』を行なわさせていただきたいと思います!まずはお客様ご自身の一番お気に入りの少々小生意気で得意げなポーズをお取り下さいませ!さすればモデルになられたお客様を私ども9人のスタッフがあらゆる角度から抽象派タッチで、印象派タッチで、キュービズムタッチで、水彩画タッチで、あるいは幼稚園児程度の小汚いクレヨンタッチで、今一番旬なお客様を真心こめて丹念に描ききってまいらせていただきます!本日はどうもお買い上げまことにありがとうございました!!」
「買うのやめさせてもらうわっ!!」
〓END〓




