異世界恋愛に登場する年下の令嬢と話が会うスパダリになりたい公爵の話
「エリザベートよ!中央へ来てくれ」
この国の王子ヘンドリックが婚約者を呼んだ。
普通の事かもしれない。
しかし、講堂に集まった学園生たちは緊張に包まれた。
何故なら殿下の隣にプンクブロンドの男爵令嬢がいたからだ。
彼女はプルプル震えていた。
「まあ、殿下、どのような御用ですか?」
「決まっている。男爵令嬢サリーを知っているな」
「ええ、副会長として厳しく注意をしましたわ」
一瞬タメを作って殿下は大声を発した。
【これより!ダン・・・・ゴホン、ゴホン】
「キャア、殿下、喉を詰まらせたのだからねっ」
男爵令嬢が黄色い声を響かせながら殿下の背中をポンポン叩いた。
これは断罪からの婚約破棄か?と皆は思ったが。
その中に学園生ではない。38歳の公爵がいた。
・・・うむ。遂に来たか。ここはワシの出番だ。
公爵は一歩踏み出した。
「すまん。サリーよ。言い直すぞ。これより・・・」
ワシは念願のスパダリになれるのだ!
【ダンスを始める!エリザベートよ。サリーが日頃の感謝を込めて大根ダンスを始めるぞ!】
「エリザベート様、いつも注意してくれて有難うなのだからねっ!」
・・・な、何だと、婚約破棄ではないのか。
少女は大根を両手に持ち踊り始めた。
「あら、ワッシャイ!ワッショイ!なのだからねっ」
「エリザベートよ。このダンスはサリー嬢の領地の報恩感謝のダンスだそうだ」
「まあ、素晴らしいわ・・・でも、何故、今、ここで?」
「誕生日前にどうしてもやりたかったそうだ。武者震いでプルプル震えていたぞ」
「まあ」
ワシはうなだれた。まただ。ワシはベルナー、ベーメン公爵家の当主だ。
子供の頃、お姫様が理不尽に婚約破棄されて年上の男性に助けられる話に感動し。
以来、婚約破棄が起きそうな現場を回っているのだ。
もちろん、令嬢と会話が出来るように努力している。
「お嬢さん。お茶しませんか?ベティドレス店のお話をしましょう」
と令嬢を下心なしに誘うが。
「キャア!」
と逃げて行きやがる。
月刊令嬢生活も買ってチェックしているのに。
屋敷に戻ると母上に小言を言われた。
「べルナーや。もう、メイドでも良いから結婚しておくれ」
「母上!ワシは婚約破棄をされた令嬢と結婚するのだ!」
「グスン、グスン、馬鹿なことを言って・・」
部屋に籠もる。仕事は執事長がやってくれるから時間はある。
社交は母上がやってくれている。
ワシはひたすら令嬢研究だ。
令嬢はカフェが好き?
なら、カフェで研究だ。
カフェに行った。お洒落な店だな。
令嬢たちの会話に聞き耳を立てる。
ヒソヒソ~~
「ねえ。あそこのふくよかな紳士、こっちを伺っているわ」
「メリダ様、行きましょう」
令嬢たちは落ち着きのない。すぐに席を立つ。
「お客様、喫茶以外の利用はご遠慮下さい」
「何?ワシは公爵だぞ!」
「商売になりません」
「ワシはここにいる。注文を追加すればよかろう」
店を追い出そうとする。全く、何を考えているのだ・・・・
と思ったら。
突然、少女が店に飛び込んで来た。
「はあ、はあ、お客様の中にスパダリはいませんか?なのだからねっ!」
あのピンクブロンドの少女だ。
ワシは手をあげた。
「ワシがスパダリだが・・・」
「キャア!スパダリなのだからねっ!こっち、こっち」
「うむ。出向こう」
手を握られた。
「しっかり手をつないでついて来るのだからねっ」
「うむ。スパダリはどこにでも行くぞ」
☆二時間後
「1(イチ) 1(イチ) 1(イチ)2(ニィ)!スパダ~~~スパダリィイイイイ!ファイト!」
「はあ、はあ、はあ、はあ・・・」
二時間王都を走り回された。
「ちょっと、スパダリはこんな走りではないのだからねっ!」
「待て、令嬢はどこにいる」
「次はあの広場で腕立て腹筋だからねっ!」
「な、何だと」
矢継ぎ早に言われて断る暇がない。
ピピー♩
「笛に合わせてやるのだからねっ!」
「ウグ、ゴホン」
目眩がする。
「今日は解散だからねっ。明日も迎えに来るからねっ」
「行くものか!」
「あっ、そう、スパダリのくせに根性ないのだからねっ!」
「な、何だと」
ワシは次の日も少女についていった。可愛いのもあったのかもしれない。令嬢との会話に飢えていたのだ。
来る日も来る日も・・・手をつないで走り。
足を押さえられ腹筋をして腕立てをした。
また、屋敷にまで来て帳簿を見られた。
「キャア、スパダリのくせに帳簿は全て使用人にお任せはあり得ないのだからねっ」
「な、何を」
昔はつけていたが忘れた。
「もお、しょうがないのだからねっ!」
教えてもらった。距離が近い。
意外と悪くないのかも。
☆☆☆数ヶ月後
今日は公園で腕立て腹筋をした。
一回腹筋をしたら、サリーが拳を腹に見舞う。
「フン!パンチだからねっ」
始めは吐いたが今は辛うじて耐えられる。
「背中にのるのだからねっ」
サリーを背中に乗せて腕立てをする。
さすがに汗が目に入り。100回を超えた辺りから意識がもうろうとした。
その時、男女の喧噪が聞こえて来た。
「グスン、グスン、トム君、今日は遊ぶ約束なのに何故マリーちゃんがいるの?」
「フン、フラワはいつも僕に宿題やれとかうるさいからな。マリーは甘やかせてくれるぞ」
「フフ~ン、フラワちゃん。トム君は私と遊ぶ方が楽しいのですって」
これは・・・夢にまで見た婚約破棄か?
「スパダリ、出番だからねっ!」
「よし、・・・行くとも」
ワシはフラフラになりながらも向かった。
夢にまで見た婚約破棄の現場だ。
「おい、トムとやら、許嫁をないがしろにしてけしからん。フラワちゃんを大事にせい」
すると、3人は逃げ出した。
「キャアアー、変なおじさん!」
「怖いよ-」
「汗まみれで紳士服を着ているわ」
あれ、子供だった・・・・
振り返るとサリーはいない。
結局、衛兵隊に捕まった。
こっぴどく怒られた。ワシは何をやっていたのだろう。
母上に迎えに来てもらった。
「母上、申訳ございません」
「まあ、ベルナーが謝罪出来るなんて・・・成長したわ」
「えっ、そうでしたっけ」
「ベルナー、母も謝罪することがあるわ。ベルナーを何とかしたくて陛下に相談したの。そしたら、サリー様を紹介して頂いたの。転生者よ」
「転生者・・・・」
そうか、転生者だったのか。
仕事の合間に出会ったカフェに行く。また、いるのかもしれないからだ。
「店主、この前は失礼した」
「え、どなた・・・」
「公爵だが」
「ずいぶんスッキリしましたね」
ヒソヒソヒソ~
「まあ、あそこに素敵なおじ様がいるわ」
「おじ様なのに体型が逆三角形だわ」
それから多額の援助を引き換えに伯爵令嬢を妻に迎えた。
これから初夜だ。
どうもサリーの面影がチラチラする。
『君を愛することはない』と言ってしまわないか心配だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




