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Snow flakes   作者: 山吹 ことり
夏の月

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幕間|ショッピングモール

 駅前のショッピングモールは、夕方でもそこそこ人が多い。


「俺、ついてくる必要あった?」


 ヒナタが、紙袋をぶら下げたまま言った。


「一人だと決断ミスるから」


 ハヤテは即答だった。


「何をどう間違えるんだよ」


「安いのを二つ買って、結局どっちも使わない」


「あるあるだな」


 二人は楽器店の前で足を止める。

 ウィンドウ越しに並ぶスティックや小物を、ハヤテが黙って眺めていた。


「今回は消耗品だけな」


「わかってるって」


 そう言いながら、少しだけ表情が緩む。


 文具コーナーに移動すると、ハヤテは急に真剣な顔になった。


「メモ帳、どれがいいと思う?」


「それ、現場用?」


「うん。あとで見返した時に、書いたこと思い出せるやつ」


「……じゃあ、無地だな。

 余計な罫線あると、音のメモしにくい」


「さすが」


 あっさり決まって、レジへ向かう。


 生活雑貨の棚の前で、ハヤテが足を止めた。


「そういや……マグ、割れた」


「使い方荒すぎだろ」


「違う。洗ってる途中で手が滑った」


 ヒナタは並んだマグの中から一つを手に取る。

 白地で、余計な柄のないもの。


「これでいいじゃん」


「地味すぎない?」


「毎日使うなら、これくらいがいい」


 ハヤテは別の棚から、少しだけ色の入ったマグを持ってきた。


「じゃあ、これは?」


「指かけた時、重心ズレるな」


「……ほんと、変なとこ見てるよな」


「現場癖」


 少し迷って、結局二つとも買うことになった。


「割った分、増えてないか?」


「予備。

 割る前提で生きてるから」


 レジ袋を受け取りながら、ハヤテが言う。


「家で使う?」


「スタジオ。

 コーヒー、冷めにくいやつ欲しかった」


 ヒナタは小さく頷いた。


「じゃあ、次割ったらまた来るか」


「縁起でもない」


 そう言いながら、二人とも少し笑っていた。


 会計を終え、フードコートの前で立ち止まる。


「何か飲む?」


「甘いのは?」


「ヒナタが聞く側になったか」


「たまにはな」


 二人はそれぞれカップを手に、空いている席に腰を下ろした。


「こういう時間、悪くないな」


 ヒナタがぽつりと言う。


「整うだろ」


 ハヤテはストローを噛みながら、軽く笑った。

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