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三人でやる
スタジオで、
ヒナタはその歌詞を口に出した。
照れも、説明もない。
ただ、読む。
一瞬、
音が止まる。
「……お前さ」
最初に口を開いたのは、ハヤテだった。
「それ、
自分で言ってて
ちょっと怖くならない?」
ヒナタは、苦笑する。
「なる」
「だよな」
ハヤテは、少しだけ真面目な顔になる。
「でもさ、
逃げてない」
それだけ言って、
それ以上は踏み込まない。
コウタは、
歌詞を見たまま、しばらく黙っている。
「これさ」
低い声。
「説明する気、ないだろ」
「……ない」
「いいと思う」
コウタは、そう言ってノートを閉じる。
「わかるやつにだけ、
届けばいい」
ヒナタは、
少しだけ肩の力が抜けた。
ハヤテが、スティックを持ち上げる。
「じゃあ、
俺は叩きすぎない」
その一言で、
三人の役割が、自然に決まった。
ヒナタは思う。
この歌は、
一人で作ったけど、
一人じゃ守れない。
だから、
三人でやる。




