表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Snow flakes   作者: 山吹 ことり
大学編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/58

名前を書くということ

 スマートフォンの画面には、

 エントリーフォームが表示されていた。


 出演者名、編成、連絡先。


 ヒナタは、

 その画面をしばらく見つめたまま動かない。


「まだ?」


 向かいの椅子で、ハヤテがコーヒーを啜る。


「……ちょっと待って」


 名前を書く、それだけのことなのに、指が止まる。


「別に、今すぐ決めなくてもよくね?」


 ハヤテは軽く言う。


「ソロ名でもいいし、

 なんなら仮で――」


「だめ」


 コウタが、はっきり言った。


 二人が顔を上げる。


「仮で出すくらいなら、出ないほうがいい」


 その言葉に、ヒナタは小さく息を吐いた。


「だよな」


 画面に戻る。


 出演者名の欄。

 空白。


 コウタは黙って、ヒナタの手元を見ていた。


「……三人で決めたんだろ」


「一人で背負わないって」


 ヒナタは、ゆっくり指を動かす。



 S

 n

 o

 w



 一文字ずつ、確かめるように。



 f

 l

 a

 k

 e

 s



 入力欄に、名前が収まる。


 スノーフレークス。


「……よし」


 送信ボタンを押す。


 特別な音はしなかった。

 画面が切り替わり、受付完了の文字が出るだけ。


「なんだ、あっさりだな」


 ハヤテが言う。


「だから、怖いんだよ」


 ヒナタは笑った。



 その夜、三人はスタジオに入った。

 名前を出したあと、

 初めての音合わせ。


「やる?」


 ハヤテがスティックを構える。


「うん」


 ヒナタがギターを持つ。


 コウタは、深く息を吸ってからベースを構えた。


 音が鳴る。


 前よりも、

 少し慎重で、


 前よりも、

 少し優しい。


 音が、

 自然に続いていく。


「……悪くない」


 コウタが、ぽつりと言う。


「だな」


 ヒナタは頷く。


 久々の緊張感が、

 心地よく音に乗って響いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ