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Snow flakes   作者: 山吹 ことり
高校編

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18/40

幕間|熱

 最初のライブが終わってから、気づけばステージの数は増えていた。


 どの会場も、同じではない。

 音が跳ね返る壁も、吸い込まれる天井も、客の呼吸も違う。


 叩くたびに、音は姿を変えた。


 突き抜ける夜もあれば、重く沈む夜もある。

 うまく鳴ったはずの一打が、途中で崩れることもあった。


 ハヤテは、必死に耳を開く。

 自分の音。

 メンバーの音。

 スピーカー越しに返ってくる、歪んだ空気。


 気持ちいい。

 気持ち悪い。


 その境目が、分からなくなる瞬間がある。


 それでも、止めたくなかった。

 ちゃんと届けたい。

 返ってきた反応を、次の一音に繋げたい。


 何回目かのライブ。


 サビに入る直前、視線を上げた。


 フロアの端。

 ミキサー卓のすぐ後ろ。


 小雪が立っていた。


 手は出せない距離。

 それでも、音から一瞬も逃さない目をしている。

 真剣で、必死で、少しだけ悔しそうな顔。


 一拍遅れて、目が合った。


 強くはない。

 けれど、確かだった。


 次の瞬間、ハヤテは視線を逸らす。

 小雪も、同時に前を向いた。


 言葉はない。

 合図もない。


 けれど、胸の奥が一段、熱くなる。


 よい音を届けたい。

 この場に、全部を投げたい。

 返ってくる音を、受け止めたい。


 その気持ちが、向こうにもある。


 だから、叩いた。


 いつもより強く。

 いつもより深く。


 音は、割れそうになりながら、客席へ放たれる。

 歓声が遅れて返ってくる。


 ハヤテは、スティックを握りしめたまま、笑った。

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