あたしの冒険
あたしの冒険
すめらぎじん
今日はあたしの十五歳の誕生日。もう大人だ。これで冒険に出られる。数日前に成人した子分のトビーと一緒に冒険に出かけよう。
「トビー、冒険に出かけるわよ。あんたはあたしの子分なんだから一緒に行くのよ」
「わかったよ、ジョアン」
「じゃあ村の長老さまに報告するから、一緒に来なさい」
長老さまの屋敷は村の真ん中にある。
「長老さま、あたし冒険に出かけようと思うんですけど」
「そうじゃのう。北にある洞窟に行ってはどうじゃ」
「わかりました。トビー、行くわよ」
「ジョアンは気が早いね」
「何よ。文句あるの?」
「冒険には色々と準備がいるのさ」
「魔法の杖さえ持っていけばいいんでしょ。あたしは剣さえあれば」
「テントとか無いと困るよ。冒険に行くっていうから持って来たけど。じゃあ行くとしようか」
「じゃあ長老さま、行ってきます」
こうしてあたしたちは旅立った。
村を出ると草原が続いている。ずっと歩いて行くと大ネズミがいた。
「ジャイアントラットだ。ジョアン、気を付けて」
「ネズミくらい大丈夫よ」
あたしは剣で斬りつけた。トビーは後ろで待機している。 なかなか当たらない。ジャイアントラットは歯で噛みついてきた。
「トビー、回復お願い」
「キュア」
トビーの回復魔法だ。おかげで体力は全回復した。
「いくわよ。それっ」
ジャイアントラットの頭に当たった。でも倒れない。もう一回斬りつける。ジャイアントラットは逃げ出した。
「追いかけるわよ」
ジャイアントラットに後ろから斬りつける。
ジャイアントラットは倒れた。
「まだジャイアントラットは動いてるよ」
「とどめをささなきゃ」
あたしはジャイアントラットの首を切り落とした。
「これでもう大丈夫ね。やったわ。最初の獲物ね」
「これ、食べられるのかな」
「ネズミの肉なんか食べたくないわ」
「でも食糧が無いと冒険が続けられないよ」
「じゃあここでキャンプね。トビーがネズミを調理して」
「焼くしかできないよ」
「トビーが試食して」
「わかったよ。………あ、うん。結構いける」
「じゃああたしも食べるわ」
食事が済むと、今度はをキャンプの準備だ。テントを張る。
「見張りはどうする?」
「どうせネズミくらいだから大丈夫じゃない?」
「一晩を二人で見張るんじゃ、あまり眠れないから、まあいいか」
「魔法で何とか出来ないの?」
「僕は今のところキュアしかできないよ。経験をつめば別のもできるようになるけど」
「じゃあ見張りなし」
あたしたちは眠りについた。ちょっと不安だけどテントの前に落とし穴を作ったので、多分大丈夫だろう。
翌朝目覚めると落とし穴にネズミがかかっていた。早速退治する。
「朝御飯になるわね」
「何かこれでいいのかなぁ」
「まあ、とりあえず問題はなさそうよ」
ネズミの料理も慣れたのか問題なし。
「じゃあ北に向かって出発」
草原を北に向かう。すると川があった。
「渡れる?」
「泳がなきゃだめみたい」
「どっかに橋は無いかしら?」
「見える範囲には無いよ」
「仕方ないわね。泳ぐわよ」
「剣とか杖とか邪魔だけど、何とか泳げるね」
あたしたちは泳いで川を渡った。
「服を乾かさなきゃいけないわね」
「じゃあここでキャンプだね」
また落とし穴を作ってテントを張る。火をおこして服を脱ぐ。
「ジョアン、はしたないよ」
「どうせトビーしかいないじゃない。誰もいないようなもんよ」
「ぼくも一応男なんだけどな」
「幼馴染なんか異性に見えないわよ」
「うーん。ぼくはジョアンのおっぱい気になるなあ」
「何よスケベ。あたしは気にならないからトビーも脱ぎなさいよ」
「わかったよ。まったくジョアンときたら」
あたしたちは火のそばで服を乾かした。
「暗くなってきたわね」
「今日はもう寝よう」
テントに入って眠る。翌日起きると落とし穴に大きなカエルが入っていた。早速退治する。
「ジャイアントトードだね」
「ねずみと大して変わらない強さね」
「まだ行けそうだね」
あたしたちは北に向かって進んだ。途中何度かジャイアントトードに出くわしたけど難なく倒すことができた。
「あたしたち強くなってきたわね」
「そうだね。ぼくはヒールを覚えたよ」
「ヒールってキュアより回復力が大きい魔法?」
「うん。これで重傷でも一発で治せるよ」
「あんまり重傷にはなりたくないわ」
「もちろん戦うのはジョアンだけなんだから、そうならないように小まめにキュアをかけるよ」
「トビーは攻撃魔法を覚えないの?」
「攻撃魔法を覚えるにはかなり経験を積まないと」
「じゃあ当分あたしだけが戦力ね」
「でもジャイアントトードは楽に倒せるんだから、まだまだ先に進めるよ」
「この先は森のようよ」
「違うモンスターがいるだろうね」