情報探し
「うぅ…頭が痛い…」
あの後、カリーナに担がれて宿屋の部屋に運ばれたピクシーは昨日たくさん飲んだツケを払っていた。
「船で大変な思いしたのにあんなに呑むから」
二日酔いで苦しむピクシーをカリーナは介抱しながら、部屋に向かう際に宿屋の主人から渡された彼女の朝食の乗った皿とお盆をそばに置いた。
「はいこれ、店主さん特製のサンドウィッチと、二日酔いによく効くらしい、東の海で取れる貝で作ったスープ」
飲み物が欲しかったのか、ピクシーは真っ先にスープに手を出したがが、一口飲みすぐに吐き出した。
「何これしょっぱ!」
「魚と海藻を煮込んで作ったブイヨンに豆を発酵させて作ったルーを入れてるんだって」
こんな塩辛いスープを作った国は水に困らないんだろうなと思いながらピクシーはスープを飲み干す。
「もうみんな朝ごはん食べて、宿を出る準備済ませてるよ」
「ほんとどうなってんの、あの2人…」
身支度と朝食を終えたピクシーが階段を降りると、リビアとヴェラは宿屋の主人と話をしていた。
「世話になったな!この借りは必ず返すぞ!」
「今回はお礼だからいいって!またカルディの旦那によろしくな!」
そう言って別れを告げた後、4人は街に向かった。
「さて、一息ついたし、まずは街の探索と行こうか!」
「街の探索?なんで?」
酔いが覚めないピクシーの面倒を見ながらカリーナが尋ねる。
「今回の目的は、情報探しだ。」
「情報探し?」
「あぁ、そうだ!」
リビアは服に入れていた古びた手記を取り出して言った
「あの大嵐が起こり、「神の腕」は砕け嵐と共に飛んでいった。そしてべアドロックの生き残りはその欠片の飛んだ先を追って、近くの島に船を進めた。しかし宝を追ったものは戻らず、追わずにその島にすんだものは財宝について語らなかったと言われている。」
「その1人が、この島に流れ着いたと?」
「あぁ、そうだ!そこでこの街で情報を集めて、秘宝への鍵を見つけるつもりだ。」
「なるほど。もうちょっと大地にいた方が良さそうだし、探してみようか。」
まだ顔から青色が抜けきっていないピクシーを見ながらカリーナは賛成した。
「ねぇ、さっきから言葉に棘がない?」
「そんなつもりないよ。どう見たって船に乗れる顔してないじゃん。それに、船の資材とかも調達しときたいし」
ピクシーの問いかけにカリーナはそれとなく誤魔化した。
そんな2人を見ながら、ヴェラの肩に手をポンと置いてリビアは言った。
「そうだな、それはそっちに任せるぞ、私はヴェラと情報収集に行くぞ。」
そう言うが早いか、2人は市場の人混みへ走り出した
「ちょっと!自分の船なんだから、ちょっとは面倒見なよ。全く…」
2人を引き止めるようにピクシーは叫んだが、それも虚しくふたりは人混みの中へと消えていった。
「まぁ、あの手の手段はあっちの方が上手いからね」
諦めたようにカリーナはピクシーを担いだまま歩き出した
「じゃあ、アンタも連れて行って、私も見回りに行くわ」
「連れていくってどこへ…?」
数分後、2人は大きな建物の前にいた。
「ここは…、図書館?」
ピクシーは建物にある看板の文字を読んだ。
「そう。アンタが島を出て1番行きたかった所でしょ?」
「そ、それはそうだけど…」
「ここなら静かだし、情報も集めやすいと思う。あっちはこういうのは苦手だから」
「私は良いけど、アンタは?」
「私?私は船の資材とか、今考えてる『子』達に必要な部品買ってくる。」
「え?えぇ!?」
ピクシーは素っ頓狂な声を上げた
「ちょっと待ってよ!アンタだけ買い物!?」
「しょうがないじゃん。私、情報集めは苦手だし。」
「いや、だからって自分だけ…」
「だって、アンタ達に任せると好きなものばっかり買ってすぐ使い切るでしょ。まぁ、アンタの好きなチョコレート買っといてあげるから」
そう言ってカリーナは市場へと消えていった
「そ、そんなので釣られないから!ちょっとぉ!」
そう言いながら追いかけるもいきなり人とぶつかり尻餅をつくのと同時に見失った。
「…はぁ、まぁ、調べておくか」
そう言って、ピクシーは図書館に戻った。
図書館は故郷の島よりも広く、10倍もの量の本が収めてある。
(すごい…、歴史書やあらゆる学問の書物、大衆向けの小説がたくさんある…!図鑑だけでも動物や植物、無機物にまで細かく分類されてる…!)
心の中で感動し、全て読みたい衝動を抑えながら、目当ての情報が載っていそうな書物を探す。
島の歴史から探した、しかし、べアドロックの海賊の話はなかった。それから街の開拓の記録や、島の船乗りの航海日誌、果てには都市伝説をまとめた様な胡散臭い書物にまで手を出したが、目当てのものは見つからなかった。
「はぁ…、どこにあるのよ…?」
そう小さく呟いて本を探し回った。そう言って腰を下ろすと
子供と目が合った。
どうやら今いる場所は絵本の本棚にいた。
「コレは…」
一冊の絵本に手を出した。
つちのなかのしまどり
変わった絵本だと思い、何気なく読んでみることにした。




