リビア・カノープスと豪快な仲間達
思いがけず出会った知人の好意に甘えて、4人は彼の経営してる宿に泊まることになった。
宿泊部屋ではなく、たまたま空いてた宿の従業員が寝泊まりする為の一室だが。
「プハーッ、一波乱起こった後の食事は格別だなぁ!」
エール酒を飲み干して高らかに笑った。
ボランスの宿屋は船旅で疲れた客の為に酒場も経営しており、4人は(眠そうな2人を引き連れて)食事をしていた。
酒場はちょうど夕飯目当ての客で賑わっており、客も店員も出入りが激しく動き回っていた。
「あんなに船に揺られてよく飲めるね」
そう言いながらも、ピクシーも焼き魚にかぶりついていた。
数日ぶりのご馳走の匂いに睡魔も吹き飛んだようだ。
「でもびっくりした。船長すごい人と知り合いだね〜!」
ヴェラは宿屋の主人の話を出しながら3匹目の鶏の脚に手を付けていた。
「そういえばキャプテン、アンタの父さん漁師だったんだっけ?」
見たことない綺麗な色の魚の切り身やチーズの乗ったパンを手にしながらカリーナもしゃべる。
彼女が食べたのは今の所そのパンと小皿のサラダだけだ。
「あぁ、仕事の手伝いでここやもう少し先の島にはよく来るから、雰囲気はだいたい知っている。それにあの人は私の父のお得意様だ。結構良い値で買ってくれる。」
「それでこんなに快く寝場所を用意してくれたんだね。あ、お水ください」
カリーナはウェイトレスに注文をしながらリビアの話を聞いた。
それと同時に大きな焼き魚を乗せた大皿を持ったボランスが話しかけてきた。
「いやぁ、カルディの旦那はいつも良いものを売ってくれるから、おかげで料理の評判も良くってね。ほら、コレも食べな。」
「おーーっ、これは太刀魚か!なかなかの大きさだ」
「これ、ホントにタダで食べていいの?結構高いんじゃ…」
カリーナの質問に答えるより先に目の前にリビアとヴェラとピクシーはすぐさま自分の食べる分を皿に取った。
「良いって、今日奢りさ。さっきも言った通り、リビアの父さんのおかげで結構景気が良いからね!」
「カリーナは食べないの?」
「うん。今日はすぐ寝るし、私はこれで充分かな?」
「じゃあ、私がいただくね!」
カリーナの答えをを聞いや否や、ヴェラが残りをとった。
「あぁ、ちょっとずるい!私ももう少しだけちょうだい!」
ピクシーが叫びながら、ヴェラが取った皿の魚にフォークを刺して一切れ持って行った。
そんな賑やかなテーブルを見ながらボランスはリビアに話しかけた。
「しかし、また愉快なメンバーだね?幼馴染かい?」
「あぁ、みんな同じ島の出身だ!」
「狭い島だから顔を見る事はあったけど、幼馴染ってほどの縁じゃないよね。キャプテン以外はちょっと顔見知りってくらい」
リビアのざっくりした説明にカリーナが付け加えた。
「まぁ、そうだな。私は島中をよく歩き回ってたからみんなのことを知ってるが」
「みんなクルシス島の選りすぐりのクルー達だ!
カリーナは島ではものづくりや修理をしていてな!遠方の機械を見せると目を輝かせるんだ!そのおかげで、うちの船にいろんな機械を作ってはうちに載せているんだ!」
「この前のジェットエンジンすごかったもんね!」
運ばれていたカクテルを手にしながらヴェラが言う
「や、やめてよ人前で…、それにあの巨大タコに掴まれたせいで予想の半分しか出なかったけどね。」
カリーナは照れたがもまんざらでも無さそうだった。
興が乗ったリビアは話を続けた。
「そしてこっちはヴェラ・デストーレだ!島では何でも屋に住み込みで働いていてな、もの運びや修理の手伝いをやっていたんだ。彼女の怪力は頼もしいぞ!」
「えへへ、みんなと一緒にいるのたのしいよ!」
リビアに瑠璃色の髪をくしゃくしゃに撫でられたヴェラは無邪気に笑う。
「ハッハッハ!うちの店も手伝って欲しいね〜!」
「あ、う、うん…」
ボランスに話しかけられて元気だったヴェラは急に縮こまったようにゴニョゴニョと返事をする。
「そして、この子はピクシー・ラザップだ!歴史や地図に詳しいから、難しい事に直面した時には助けてもらっている!まぁ、悪い奴らと戦う時は叫びまくってるがな!」
「最後のいる!?何で私だけぞんざいなの?」
不名誉な紹介に料理を口に入れたままリビアにツッコンだ。
「しっかし、そんなメンバーで船旅してるんだい?」
その問いかけにリビアは高らかに答えた。
「決まってるじゃないか!『大海賊べアドロック』の秘宝を見つけるためさ!」
その瞬間、賑わってた酒場が静まり返った。
ちなみに船のメンバーは全員クルシス島という島の出身です。
クルシス島の大きさは淡路島の3分の2くらいです。