侯爵家騎士団見習いの訓練
リナリアが誘拐された翌日の一コマです。
本編にはちょっと雰囲気が合わなくて削除しました。
リナリアの居ないシャルマーニ邸で朝から剣術訓練をし、昼食の後も心配と不安でじっとしていられないユリウスは結局訓練場に来ていた。
訓練場では見習い未満の五歳から十歳までの子供達がズボンにハンカチを挟んで走り回っていた。
「アレは何をやっているんだ?」
子供達の監督当番なのか、近くで立っていた騎士に聞いてみた。
「全員鬼ごっこですよ。」
「『全員鬼ごっこ』?」
「はい。リナリアお嬢様が教えて下さった遊びなのですが、子供達にとても人気で…一日一回は皆がやりたがるのです。」
……姉様……
まさかこんな目と鼻の先で僕の知らない遊びを広めていたなんてっっ!!
僕、聞いてないよ!?
「最初は暇つぶしにちょうど良いかと思って見てたんですが、この遊びは思った以上に優れているのですよ!」
「え?そうなの!?」
「はい。先ず周りを見て状況を把握する事や、誰を狙えばいいのかの判断、自分に向かってきそうな鬼の予想、逃げ続けるスタミナに小回りやフェイントをかける瞬発力、相対した時の相手の目線でタイミングを測って躱したりと、良くこんな遊びでここまで盛り込めるものだと思うくらい良くできた遊びです。」
そう聞くと確かにとてもすごい遊びだと思う。
「あと、ハンカチを取られるとその場で座るルールなので、その日最後まで立っていた子はおやつが一品夕食に付くらしく、皆ものすごく真剣にやってますね。」
「そ、そうなんだ…」
「でもそれだとチビ達には可哀想だからと、個人戦の日とチーム戦の日、ペアを組んだでこぼこ戦なんてのも有りますね。」
「でこぼこ戦…」
なんだそれ?
「年齢、性別、能力を加味してペアを組ませるんですよ。できるだけどのペアも同じくらいになるように組むんですが、この場合ハンカチを持つ方を保護対象とみなしていかに守るか、という攻守交代式を採用したりします。将来侯爵家の騎士として護衛任務に付く時の予行演習っぽくなると、とても人気の対戦方法なんですよ。」
「……」
たかが遊び。されど遊び。
僕が驚いて言葉を失っていると更に教えてくれた。
「コレは鬼ごっこですが、他に『隠れんぼ』や『パルクール』なども有りますよ。あ、あと『スラックライン』は騎士団でもやってます!王宮の騎士団でも取り入れられるんですよね?私達も王宮騎士団に負けないように訓練しなければ!」
話しているうちに興奮し始めた彼は、鼻息も荒く全身に力を入れる。
僕は若干引きながらも初めて聞く名前に興味を引かれ聞いてみた。
「『隠れんぼ』?とは?」
「ああ、『隠れんぼ』は決められた範囲内で如何に長く見つからずに目的を達成するかという遊びです。」
「…ふむ…?」
「チーム分けして、隠れる側は出来るだけ見つからないように決められたお宝を持ち運んでゴールに置く。探索側はゴールに置かれる前に全員を見つける。制限時間有りなのでなかなか面白いですよ。」
「へ、…へぇ…」
「『パルクール』は階段や障害物、植木等の高低差の有る障害物レース?といったところですかな。あらかじめコースを決めて誰が一番早く滑らかにゴールできるかというのが勝敗の決め手ですね。……ああ、ちょうど今あの子達の動きがパルクールっぽいですね。」
そう言って指さされた子達を見ると、追いかけられてる子が、まるで曲芸師か野生のサルか?というようなスゴイ動きをしていた。
え?壁に登って横に走ったぞ!?
はっ?飛びついた枝で相手を引き付けて相手の背後に飛び降りて、更に相手のハンカチを奪った…だと!?
僕はあまりの凄さに瞬きを忘れた。
「ちょっ…あの子凄すぎない?」
「あ〜…ハハッそうですね。あの子は群を抜いて才能がありますね。隠れんぼも大体見つからないし。あ、でも隠れんぼの天才はリナリア様ですよ!本気で分かりませんから!」
…姉様……何やってるの!?
凄すぎだよっ!
あああああ……
こんな遊びのような訓練では逃げたり隠れたりできるのに…
なんで自分は呆気なく誘拐されてしまうんだ…
僕は頭をガシガシと掻きむしりたい衝動に駆られた。
いや、やらないけど。
「…じゃああの子なんかは将来騎士団に入団確実だろうね。」
「……それが……あの子に関しては旦那様から騎士団への勧誘を禁止されてまして……あっちに取られちゃうんだろうな…」
言葉の後半は独り言なのか小声だ。
あっち……陰の者の方か…
確かに、そんな能力っぽいもんな。
それにしても、遊びでここまで鍛えれるのか……
姉様の前世の世界は、ホントにどんな過酷な世界だったんだろう……
∧_∧
((・∀・∩ 体が勝手に!!
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バムッ
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