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着ぐるみパニックーーーエイプリルフール

「リナリアお嬢様、朝でございますよ!起きてくださいませ!」

いつものように侍女のマリアに起こされたリナリアは、寝台からのそりと降りて続きの部屋にある洗面台に立った。

キラリと光るボタンを押すと温いお湯が出てくる。

口をゆすぎ顔を洗うと、マリアが差し出してくれるタオルで水気を拭う。

ドレッサーの前に用意してある今日の服を見てぼんやりした頭でふと呟く。


「……着ぐるみ?」


そう、そこにはもこもことした真っ白な着ぐるみがかかっていた。

「キグルミ….ですか?」

コットンで顔に化粧水をパッティングしていたマリアが聞き返す。

「お嬢様、キグルミとは何ですか?」

首を傾げながらマリアが聞いてきた。


「え?この目の前に掛かっている服って着ぐるみでしょ?....ん?ちょっと待って、今日着る服ってこの着ぐるみなの!?」

寝ぼけていた思考回路が一気に覚醒する。

いつものドレスは?

「いつもの服はどうしたの?」

たまにはズボンもはきたいとか、もっとゆったりした部屋着が着たいとか、そういう願望は有るが、コレじゃ無い。

まあたしかに、見た目美少女の私がこの着ぐるみを着てもそこまでおかしくは無い、むしろ可愛いはずだ。

いやいや、違う、そういう事ではなくて、何故、急に着ぐるみなんかが置いてあるのか?

そんなお祭りとかイベントの情報はリナリアとしてのこの十年の記憶には全く無い。


「お嬢様、まだ寝ぼけてらっしゃるんですか?今日のお衣装は一番のお気に入りのバニーちゃんですよ?それとも今日は他のにいたしますか?」

至極真面目な顔でマリアが尋ねてくる。

「ほ、ほか?いやあの、いつものワンピースとかで良くない?」

「?いつものワンピースですよね?」



なんだろう?

話が噛み合ってない気がする。

私は服がしまってあるクローゼットの部屋のカーテンを開けた。


「そ、そんなバカなっ!?」

そこには色とりどりのもこもこーーーもとい、着ぐるみがびっしりと掛かっていた。


うさぎから始まり、猫、犬、キツネ、クマ、リス、モルモット……




呆然としてるうちに私の一番のお気に入り(らしい)バニーちゃんを着せられて食堂に連れて行かれる。


そうだわ、きっと父様や母様ならこんなのおかしいって言ってくれるはず!


バンッっと勢いよくドアを開けて食堂に入る。

「父様母様っ私の今日の服装……」

変ですよねっ!?って続けたかったのに、目に飛び込んできた情景に思わず言葉を飲み込んだ。


「おはようリナリア。今日もバニーちゃんか?私の娘はいつも可愛いな!」

クロクマのもこもこの父様が笑顔で褒めてくれる。

「なんですか!?朝から挨拶もなしに。お行儀が悪いですよ?」

シルバーフォックスのもこもこ母様がお小言を言う。

「おはよう姉様!」

レッドウルフのもこもこのユリウスが片手を上げて挨拶してくる。





そう。

みんなモコモコだ!



「いいいいいいやああああああああああああああっっっっ!!!!」

私は叫んで失神した。



「リナリアお嬢様、朝でございますよ!起きてくださいませ。」

マリアの声でハッと目を覚ます。

良かった、夢だった。

「おはよう、マリア。ちょっと変な夢見ちゃって」

「まあまあ、それは大変でしたね。ですが、このお衣装を着ればそんな気分もきっとスッキリしますよ!」



衣装部屋から出てきたマリアは茶色のハムスターの着ぐるみを着て、真っ白のモコモコを両手に抱えていた!!



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